日本豆腐協会(日豆協)は6月19日、都内で第49回通常総会を開き、2024年度事業経過報告や2025年度事業計画など全議案を承認した。理事・監事選任では、新たに理事を1人追加し、ハウス食品グループ本社の大西耕太郎氏が、新監事には山食の山口敦史氏がそれぞれ選任された。
また、全国豆腐連合会(全豆連)主催の第9回「全国豆腐品評会」への後援と「日本豆腐協会賞」を設けることも発表された。
三好兼治会長(三好食品工業社長)は開催あいさつで、「前身の包装豆腐懇談会から数えて来年で50周年となる。これも会員皆さまのご支援のたまものだ」と謝意を述べた。

日本豆腐協会 三好兼治会長(三好食品工業社長)
足元の環境については、「国際情勢はロシアとウクライナの戦争終結の先が見えない。先週からはイランとイスラエルの戦争が激化しており、先行きが見えない状況だ。こうした地政学的なリスクが高まり、原材料の大豆の価格が高止まりし、安く安定的に入る時代ではなくなっていることを深刻に考えている。日本の直近の問題として、どこも人手不足で経営面を圧迫しており、特に飲食店は倒産件数が過去最高ペースで推移している。昨年シカゴ相場が高騰したことで、高い原料がいま入っていると思うが、製造コストの圧迫が深刻だ。豆腐は他の食品と比べて価格が安く、価格の優等生とされているが、裏を返せば過当競争で無理が続いているとも言える。当協会は業界の持続可能性を高めるための取り組みをしている」と述べた。
全豆連との連携について、「『全国豆腐品評会』に参加し、品質と技術力向上の可視化に貢献していく」とした。納豆連(全国納豆協同組合連合会)とも連携し、農水省主導の適正な価格の協議会に参加していること、豆腐製造技術の海外への展開も積極的に広げていくことにも言及した。
「和食がユネスコ世界文化遺産に登録されて11年となるが、日本のおいしい豆腐を広げることに貢献したい。豆腐の共通規格については賛同が得られず浸透していないが、各国が自国の基準を作る中、明確に日本の豆腐はこうだと打ち出す必要がある。簡素化された規格について、全豆連とも協議を再開したい」と展望を語った。その上で、「50年の歴史を踏まえ、業界の発展と持続可能性の確保に努める。会員相互の意思疎通が必要となり、業界全体として困難を乗り越えていきたい」と結んだ。
◆民間団体が行うコスト指標作成など事業公募予定、品評会は豆腐料理コンテストも検討
講演では「適正取引推進に向けた調査推進コンソーシアム」によるアンケート調査実施について、農水省大臣官房新事業・食品産業部企画グループの中島明良氏が説明した。農水省からの要請として、「令和7年度のコスト調査を実施するに当たり、精度向上のため調査の充実が必要だ。2024年は5社から協力を得たが、流通や卸に納得してもらうためにも協力社数を増やしたい」と話した。また、民間団体が行うコスト指標作成などの検討・実証を支援する事業を公募する予定で、「国の設計から民間主導にしていきたい」と構想を語り、協力を呼びかけた。
続いて「全国豆腐品評会」の概要や課題について全豆連の高田禎仁実行委員らが講演した。同品評会は2015年にプレ開催し、メディアの反響も大きかったことから毎年開催となった。目的は日本の豆腐製品の価値向上だという。
課題としては、初期には300社・700点が出品されていたが、規模が減少傾向にあることだという。東日本と西日本に集約しているが、より合理的な運営が必要だとした。また、審査における課題として、少量でインパクトのあるもの、濃厚で甘味やうま味のある豆腐が評価されがちなことを挙げ、豆腐料理のコンテストができないかについても検討しているという。
なお、日本豆腐マイスター協会主導で大阪・関西万博に出展した。会場で配布した「ニッポン豆腐百選2025」は「全国豆腐品評会」の本選出場企業を中心に紹介しているが、毎年継続して発行することを予定しているとした。
〈大豆油糧日報 6月23日付〉
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