◆リアルの温かみとテックの力を融合し、新しい購買体験と店舗運営の実現目指す


ローソンとKDDIは6月23日、東京・高輪ゲートウェイシティの新拠点に、リアルの温かみとテックの力を融合させた未来コンビニ「Real×Tech LAWSON」1号店を開店した。店名は、「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」。AIサイネージやリモート接客、店舗内サイネージによる買い物演出、自動調理ロボなど先端技術を導入し、顧客に新しい買い物体験を提供する。


同日には、ローソン竹増貞信社長とKDDI松田浩路社長らが出席し、ローソンとKDDI、三菱商事による共同経営体制下で目指す新型店舗の1号店を記念した会見を行った。竹増社長は、「テクノロジーで店舗オペレーションの生産性を上げていく。人が持つパワーも活かし、お客様に新しい価値を提供したい」と語った。
ローソン×KDDIが未来型コンビニ1号店、「Real×Tech LAWSON」高輪ゲートウェイシティに開業
(左から)竹増社長と松田社長
(左から)竹増社長と松田社長
発表によれば、同店舗ではローソンのお店、高輪のマチが持つ多様なデータを、KDDIの持つ通信やテクノロジーの「つなぐチカラ」で連携・循環させ、顧客に新しい体験を提供していく。

一人ひとりにあわせたおすすめ商品を案内するなど、店舗内のサイネージを通じた顧客とのコミュニケーションや、演出を楽しみながら買い物ができる空間の実現、暮らしに関わるさまざまなサービスの相談が可能なリモート接客など、リアルな店舗にデジタル技術を融合することで、より温かみのある買い物体験を目指す考えだ。

◆AIカメラとサイネージの活用で演出、買い物を楽しく


「新しいお客さま体験」では、AIサイネージを活用する。AIカメラによる行動解析により商品棚前の顧客の行動に合わせたレコメンドを実施。商品棚の前に滞在する時間が長ければ商品選択に悩んでいると判断し、ランキングやおすすめ商品を表示する。また、商品に手を伸ばした際には「そのお弁当と一緒にお茶をご購入いただくと50円引き」など、関連商品のレコメンドやおトクな情報を表示。

従来のコンビニ店頭でも掲示物などを通じて商品情報を提供しているが、状況や行動にあわせ最適なタイミングで情報を伝えることで、購入を迷っている顧客や商品に関心を持つ顧客に対し、より適切なレコメンドやサポートを届ける。

商品棚のプライスレールにタッチ式サイネージを導入し、棚上サイネージと連動した接客も実施。顧客が気になる商品のプライスレールに触れると、ゴンドラ上のサイネージに商品紹介が表示され、より詳細な情報を受け取ることができる。まずは、商品の背景情報を伝えることが購買行動につながりやすいサステナブル商品の商品棚において導入する。


サイネージ連動による空間演出・空間ジャック画像では、生成AIを活用した壁面緑化演出により、時間帯(朝・昼・夜)に応じて異なるコンテンツを表示する。また、人気商品「からあげクン」の揚げたて情報を店内の全サイネージをジャックして表示し、すぐに知りたい情報をタイムリーに届ける。

高輪ゲートウェイシティに実装されている都市OSとの連動では、マチの情報をリアルタイムで伝える拠点としての機能を強化、サイネージでは高輪のマチの情報(天気、電車遅延、マチの混雑情報など)をリアルタイムで配信する。

◆専門スタッフによる遠隔接客サービス「Pontaよろず相談所」

ローソン×KDDIが未来型コンビニ1号店、「Real×Tech LAWSON」高輪ゲートウェイシティに開業
遠隔接客サービス「Pontaよろず相談所」
遠隔接客サービス「Pontaよろず相談所」
リモート接客体験の提供(Pontaよろず相談所)は、専用ブースからリモートで専門スタッフに相談できる仕組み。通信・服薬指導・金融・清掃・家事代行など、暮らしに関わるさまざまなサービスについて、ビデオ通話を通じて各分野の専門スタッフと会話できる。

また、高輪の街や店舗の情報を自然な会話で伝える生成AIを搭載したコミュニケーションロボット「AI Ponta」も店内に設置する。

◆ローソン初の自動調理ロボのほか、飲料陳列ロボや自動掃除ロボを導入


店舗運営においてもテクノロジーを活用し、2030年度までに店舗オペレーション30%削減を目指す。ロボティクスで品出しや店内清掃、調理などの業務支援を行い、人気商品の「からあげクン」などの調理には調理ロボを導入する。将来的にはボタン一つでの揚げ物調理も視野に入れ、揚げたて商品の提供による顧客満足度向上にもつなげる。

業務負担の軽減だけではなく、ロボットの運用データや店舗内の防犯カメラ映像などからAIエージェントが業務量を算出・分析して業務効率化をサポートするシステムも取り入れ、店舗が抱える人手不足などの課題解決に取り組む。限られた人手でも持続可能な店舗オペレーションを確立することで、コンビニの生活インフラとしての役割を支え続けるとともに、従業員がより働きやすい店舗づくりを目指す。

ローソンは、この店舗での実証実験を通じ、全国既存店舗への展開を検討する予定だ。

なお、KDDIは7月1日に同ビルに新本社をグランドオープンする。
同次にKDDI新本社内(高輪本社 社員専用フロア)にもローソン店舗を開店し、今回の第1号店と同様にさまざまなリテールテック機能を取り入れていく予定としている。

【ローソン高輪ゲートウェイシティ店の概要】
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