原田産業(埼玉県上尾市)は穀物選別機のパイオニアとして世界的に有名で、大豆を原料としているみそ、しょうゆ、豆腐、納豆といった各メーカーが製造している商品の品質を支えている。

同社はコーヒー豆の選別も得意としており、最近特に注力しているのは、選別機の改良を進め、小ロット・多品種での製造を行っているコーヒーメーカーの稼働率を上げる提案だ。


それとともに、大豆用の脱皮機を使ってコーヒー豆の薄皮(シルバースキン)を除去することで、味の向上と作業効率の向上を図れることを提案している。

コーヒー工場では生豆の原料を切り替える際、コンタミにならないよう、選別機に残った残豆を全て掻き出すことに時間が取られるため、稼働率が落ちてしまうという。そこで残豆の処理が早くできるように、各機械に改良を加えている。
原田産業、穀物選別設備の稼働率向上、大豆用脱皮機使いコーヒー豆の薄皮除去を提案
原田産業営業部 堀井浩男部長
原田産業営業部 堀井浩男部長
堀井浩男営業部部長は改良のポイントについて、「残豆の量自体を減らすための工夫を施し、また残豆の排出を早くすることことで選別設備の稼働率を少しでも上げたい」と説明する。

同社が注力しているもう一つの提案がコーヒーの品質向上だ。コーヒー豆にはシルバースキンという薄皮があり、製品に混入するとエグみが強くなり後味が悪くなるとされている。
このシルバースキンは焙煎すると剥がれやすく、焙煎中に一部機外へ排出され、焙煎粕(チャフ)として回収されるが、焙煎後のチャフの廃棄処分もコーヒーメーカーが抱える問題のひとつだという。

そこで同社はコーヒーの生豆を削って焙煎前にシルバースキンを除去できる「臼式脱皮設備」を製造・販売している。同社の「臼式脱皮設備」は乾式の大豆用脱皮機で、長年培ってきた大豆の皮剥き技術を利用して削ることを提案している。

コーヒー工場は中堅クラスのメーカーでも約50種類のコーヒー豆の品種を扱っている。産地によって甘い豆もあれば、酸味のある豆、深みのある苦い豆まで幅広い。1つのドリップコーヒーを作るのに数種類の豆が使われ、さらに豆の焙煎にも浅炒りから深炒りまで焙煎の製品は7種類あるという。
それらを組みわせると商品のパターンは無数になる。

コーヒー豆は焙煎すると酸化が進むため作り置きができず、コーヒーメーカーは基本的に在庫を持たず、使用する最低限の原料しか入荷しないため小ロット多品種の問題は避けられないという。

現在、コーヒー豆の相場は地球温暖化や後継者不足などから高騰しているが、「直近では選別時の良品のロスを減らし歩留まりアップにも取り組んでいる」(堀井部長)。
編集部おすすめ