日清オイリオグループの前期(2025年3月期)のオリーブ油の実績について食品事業本部ホームユース事業戦略部の南村一生次長は、「年度はじめに休売した影響で、ピュアを中心に数量減があった。その影響もあって、金額ベースで前年度実績を割る厳しい一年だった」と振り返る。


一方でオリーブ油の価格が高騰する中、エキストラバージンオリーブ油とキャノーラ油をブレンドしたミックスタイプが想定以上にエントリーユーザーに受け入れられ、ボリュームを獲得できたとしている。
【オリーブ油の販売施策を聞く】「BOSCO」はブランド力生かした提案 日清オイリオG
「BOSCO」
「BOSCO」
「BOSCO」は存在意義を再確認できたという。「400gで1,500円くらいの価格になっても、売上は100%以上を維持している。買い控えが発生し、量は減っても買い続けてくれるお客さまがいるのはありがたい」と述べる。
【オリーブ油の販売施策を聞く】「BOSCO」はブランド力生かした提案 日清オイリオG
「日清」ブランドのオリーブオイル
「日清」ブランドのオリーブオイル
2024/2025年産のオリーブ生産量は、スペイン産は量が回復し価格も下がると見られるが、イタリア産はEXVの歩留まりが悪く、価格はそこまで下がらない見通しだ。「BOSCO」は主にイタリア産、「日清」ブランドはスペイン産を使用していることから、今期は「日清」ブランドはお買い得価格で提供し、「BOSCO」はブランド力を生かした価値提案を強化する。ミックスタイプはオリーブ油の代替のみならず、クッキングオイルからのスイッチを狙う位置付けとしており、「加熱してもオリーブ油の香りを保っている。大容量で気兼ねなく使ってもらえる」ことを提案していく。

価格が落ち着いてくるにつれ、安価な海外輸入品も増える見通しだ。「ピュア以上の風味がミックスタイプにはあり、オリーブ油本来の価値を崩さずに価格対応できる。クッキングオイルからミックスタイプ、オリーブ油へと移行できる販促提案を行っていく」と話す。

◆「ボスコエキストラバージンオリーブオイル」紙パック投入、容器の選択肢を増やす


今期の販促策としては、入り口の部分では5月中旬に「ドラえもんデザイン」を数量限定で発売した。
4月からは料理愛好家の平野レミさんを起用し、ウェブ動画公開とInstagramキャンペーンを実施した。「平野さんのイメージを借りて、気軽にオリーブ油を使ってもらう提案だった」と狙いを語る。

5~6月にかけては、スナップディッシュと共同で「おうちにアルモンデアヒージョ」と題したSNSキャンペーンも開催した。「米価高騰の中でパンやパスタの需要が増えている。フードロスの問題や、さまざまな食材の物価が上昇する中、アヒージョは何を入れてもおいしい。パンにつける、パスタにかけるなど時流に沿った提案ができた」と振り返る。

読売新聞社との共同企画として、8月12日まで「話し、弾む、BOSCO」キャンペーンを実施した。「やはり『BOSCO』がいいという評価を浸透させたい。他の施策とは温度感を変えた企画で、『BOSCO』が食卓にある暮らしを生活者に投稿してもらう取り組みだ」とする。8月24日まで、「BOSCOオリーブオイルをかけチャオ!ドラえもんスペシャルキッチン」のイベントでも「BOSCO」の露出を図っている。

新商品では「ボスコエキストラバージンオリーブオイル」の紙パックタイプを投入する。「紙容器の需要は全体の中で多くはないが、一定の需要はある。
『BOSCO』の地位は確立しているが、容器の選択肢を増やしたい。最大カテゴリのトップブランドとしてのセオリーだ」と説明する。

南村次長は、「昨年は価格が高騰したが、生産量の回復を受けて価格が緩んでくると価格訴求が行われる可能性がある。オリーブ油は風味も産地も異なり、価格も千差万別だ。価値を理解してもらい、価格に納得してもらう売場に戻すことを流通に提案する。生活者がオリーブ油の違いが分かって、ニーズに合ったものを選べる売場、販促に戻したい」と力を込める。

〈大豆油糧日報〉
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