やまみは8月21日、2025年6月期の決算説明会をオンラインで開き、山名清会長と山名徹社長が説明した。2025年6月期は増収減益で着地し、売上高は前期比10.9%増の210億6,400万円、営業利益は16.9%減の17億2,700万円となった。
減益となったものの、売上高は第4四半期としては過去最高を更新した。

売上高の2ケタ増は、富士山麓工場の販売好調、本社工場の油揚げラインの設備更新、厚揚げライン増設と生産能力向上が寄与した。

売上原価は、2024年手当した輸入大豆を2025年2月まで使用したことに加え、エネルギー価格の高騰が続いたことで15.1%増となった。ただ、原材料価格の高騰が一服し、第4四半期の営業利益は31.5%増となった。通期で材料費率は2.1ポイント上昇、光熱費比率は1.5ポイント上昇している。

拠点別収益では、本社工場は厚揚げ・油揚げラインの設備更新を行った期間、生産を停止したため6.7%増収にとどまった。関西工場は代行生産を行い9.1%増収となった。富士山麓工場は取引先に同社製品の競争力や品質が認知されたことで、新アイテムの追加など幅広く商品の納入が増え、28.0%増収と高水準の伸びを示した。「工場ごとの稼働は、本社工場が約70%、関西工場も約70%、 富士山麓工場が50~55%のイメージ」(山名社長)。

製造が難しいが需要高い製品を生産自動化し市場シェア10%、売上高600億円達成へ


商品別動向では、数量は約8%増となった。本社工場や関西工場圏を中心に高付加価値商品への切替が進展し、平均販売単価も2%程度アップした。商品別売上高は、充填豆腐が32.9%増、厚揚げが15.8%増、カット3P豆腐が10.2%増、油揚げが6.6%増となった。
一方、焼き豆腐は2.4%減、木綿・絹豆腐が11.4%減となっている。取引先に好評で収益性も高いカット3P豆腐や厚揚げなどへの集約を推進した。

充填豆腐の伸長について、「8・6・4個タイプが伸びた。製造できる会社が少なく、需要とマッチした。特に前期は、3個パックの充填豆腐と生産ラインが兼用だったため、生産数の制限があり、前年抑制していた反動もあった」とする。現在はラインを増設済み。

新商品は「国産大豆まるっとうふ」を秋冬限定パッケージで展開するほか、通常の充填豆腐より固めで大きめの「北海道産大豆 豆騎士(マメナイト)」(500g)、油抜き不要の「ちょっといいもの 北海道産大豆の油揚げ」を投入する。

国産大豆への切替状況は、「現時点で輸入大豆65%、国産大豆35%を占めており、年5%くらいの変化率だ。3~5年以内には5:5にしたい。輸入も国産も、お互いに調達のリスクがあるため、その割合で止めたい」とした。

2026年6月期は、売上高は9.2%増の230億円、営業利益は15.8%増の20億円を見込む。関東圏での同社製品の優位性が徐々に認知され増収に寄与、また原材料価格の高騰が一服すると見通す。
上期は原材料価格高騰が一服し10.6%増収、23.9%営業増益に、下期は7.8%増収、8.7%営業増益の見通しだ。

本社工場・関西は設備更新による生産能力増を背景に、これまで納入できなかった取引先への営業を強化する。富士山麓工場は認知度が向上し、既存取引先への新規アイテム導入効果により高水準な増収を維持する。

中期経営計画では、「売上高270億円、営業利益27億円を2028年6月期で達成するように目指す。市場全体10%、売上高600億円を達成する。当社が得意としている、品質が安定したものがローコストで届けられる部分を着実に磨くことで、少しずつ近づいてくると思っている」とした。引き続き、製造の難易度は高い一方で需要が高い製品の生産自動化に取り組む。
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