神奈川県海老名市の「7HAM」は、日本初の豚肉を使わないハム・ソーセージ専門店として、牛肉と鶏肉、独自配合のスパイスで仕上げたハム・ソーセージを製造・販売している。欧州や中東など世界各国のレシピをもとに、スパイスや肉の配合など独自にアレンジして作り上げた商品はいずれも個性豊かで、日本で一般的に流通しているハム・ソーセージにはない深い風味がある。
工場はハラール認証を取得しており、商品は小売店やオンラインなどで販売している。2022年9月には直売所をオープン、地元の親子連れを中心に老若男女問わず幅広い層に支持されている。
【シリーズ工場訪問】7HAM、日本初の豚肉を使わないハム・ソーセージ専門店、しっかりした味付けと独自配合のスパイスによる唯一無二の豊かな風味が特徴
田中らみん代表取締役(らみんグループ代表取締役)
田中らみん代表取締役(らみんグループ代表取締役)
工場の操業は2022年1月。田中らみん代表取締役(㈱らみんグループ代表取締役)は、以前からハム・ソーセージに興味があり、ドイツやイタリア、トルコ、イランなど海外をまわって、各国・地域のハムを食べてきたという。「欧州や中東でもハムは多くの人々に好まれており、さまざまな種類のハムが存在している。これら海外のハムを日本人好みにアレンジして販売すれば、もっとハムが好まれるようになるではと考え、7HAMを立ち上げた」(田中氏)という。

店名は、日本の消費者にとってシンプルで耳に心地よく、記憶に残りやすいようにと、世界のさまざまな文化で幸福や神聖を象徴する数字の「7」からアイデアを得た。「日本で『7』は、1週間の七日や自然の要素と結びつき、生命の循環や自然との調和を象徴している。この意味が、健康、純粋さ、革新を食におけるバランスという点で当社のブランドの哲学と一致すると信じており、『7HAM』という名前が日本において、品質、健康、信頼の代名詞となることを目標にしている」(田中氏)。

日本で生産されるハム・ソーセージは、比較的シンプルな味わいのものが多く、主に朝食や弁当のおかず、あるいはサラダやサンドイッチの具材として使われている。これに対して、7HAMがつくるハム・ソーセージは、「モルタデッラ」(ボロニアソーセージ)のような本場の味わいに近く、しっかりした味付けと鼻に抜けるスパイスの風味が特徴だ。

そのため、生ハムのように、お酒のおつまみとして楽しまれるケースが多いほか、ベーコンのように焼いてパンに挟んだり、パスタの具材やポテトサラダに混ぜ込んだりするなど、幅広く使えることができる。
各国のレシピを織り交ぜながら、日本人の口に合うように、肉とスパイスの配合をアレンジすることで、ここだけしかない唯一無二の味わいに仕上げている。
【シリーズ工場訪問】7HAM、日本初の豚肉を使わないハム・ソーセージ専門店、しっかりした味付けと独自配合のスパイスによる唯一無二の豊かな風味が特徴
「スペシャルハム」
「スペシャルハム」
商品はハムで9アイテム、ソーセージで3アイテムの合計12アイテムをラインアップしている。なかでも、牛肉メインの生地に塩漬け肉とピスタチオを練り込んだ人気商品の「スペシャルハム」をはじめ、牛肉が80%を占めている「ビーフジャンボ80%」、鶏肉の柔らかさと牛肉のうま味をしっかり味わえる「チキンビーフジャンボ」、鶏むね肉メインとした生地に、小さくカットしたニンジンとマッシュルームを混ぜ込んだ「ミックスハム」、塩漬けにした牛肉と鶏もも肉を贅沢に使った「ロイヤルミックス」の5つが人気商品という。
【シリーズ工場訪問】7HAM、日本初の豚肉を使わないハム・ソーセージ専門店、しっかりした味付けと独自配合のスパイスによる唯一無二の豊かな風味が特徴
「ロイヤルミックス」
「ロイヤルミックス」
また、ソーセージは、鶏肉をメインに使用し、しっとりした食感であっさりした味わいが特徴。多めの油を使い、揚げ焼きのように弱火でじっくりと焼くことで、周りがカリッと、中身がふわっとした食感を楽しむことができる。

いずれもミックススパイスを使用せず、混ぜる前の生地と塩せき肉の段階からそれぞれ独自に配合したスパイスを使用しているため、各商品で全く異なる味わいと香りを楽しむことができる。「製造する手間は非常にかかるが、いずれの商品も使用するスパイスと配合、肉との組み合わせを考え抜いたオリジナルレシピで仕上げており、そのこだわりがしっかりと出せていると思う。

商品に使用しているスパイスは香りの役割が強いため、小さな子どもでも安心して食べることができる」(総務部・森岡菜月氏)と自信を込める。商品開発には、海外および国内の業界関係者のアドバイスを得ながら、試行錯誤と改良を重ねてきた。畜肉原料はハラール認証を受けた国産・輸入の双方を使うが、スパイスについては、国内で入手できる種類が限られるため、仕入れ先を探すのに非常に苦労したという。
【シリーズ工場訪問】7HAM、日本初の豚肉を使わないハム・ソーセージ専門店、しっかりした味付けと独自配合のスパイスによる唯一無二の豊かな風味が特徴
ハラール認証を受けた自社工場で製造から包装、発送まで行う〈1〉
ハラール認証を受けた自社工場で製造から包装、発送まで行う〈1〉
商品は主にハラールショップなどの小売店やオンラインなどで販売している。より多くの消費者に手に取ってもらえるよう、22年9月に直売所をオープン。
店舗では量り売りのほか試食もでき、それぞれ好みの商品を確かめてから購入することができる。来店客の年齢層は広く、なかでも子ども連れや夫婦で来店するケースが多いという。
【シリーズ工場訪問】7HAM、日本初の豚肉を使わないハム・ソーセージ専門店、しっかりした味付けと独自配合のスパイスによる唯一無二の豊かな風味が特徴
ハラール認証を受けた自社工場で製造から包装、発送まで行う〈2〉
ハラール認証を受けた自社工場で製造から包装、発送まで行う〈2〉
「当初は豚肉を使用していないため、ハラールフードとして売り出していた。現在はスパイスの風味の良さから、一般のお客様からお酒との相性が非常に良いといった評価を多くいただいており、おつまみやパーティーの手土産として購入されるケースも多い。また、ハラール認証を受けているため、健康や安全といった部分に価値を見出して購入されるお客様も増えている」

「今後は百貨店やホテル・レストランなどの業務用向けも含めて、幅広い層に向けて販売していければと思う。シェフやバイヤーなどに7HAMの商品がどんなものか知ってもらうべく、試食会なども開いていきたい」と田中氏。

現在の生産量は1カ月当たり200~300㎏程度だが、販売チャネルを広げることで、将来的には2千t規模まで拡大していきたい考え。9月には羊肉を使ったハムを製造するなど、これからも大手メーカーにはできない、オリジナリティあふれる商品をラインアップしていく方針だ。

[店舗概要]住所:神奈川県海老名市東柏ケ谷6-22-6メゾン相模大塚1階、TEL:046-283-0229、FAX:046-283-8726、受付時間:午前10時~午後7時。

〈畜産日報 8月27日付〉
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