サントリー食品インターナショナルは8月22日、東京で「サントリー天然水 ちょ備蓄(びちく)プロジェクト」の発表会を開いた。同社は防災月間に向け、備蓄は「特別なこと」ではなく、「日常の買い置き」も立派な備蓄であると位置づけ直し、生活者の行動変容を促す取り組みを始める。


冒頭、同社ブランドマーケティング本部の溝本将洋部長は、「サントリー天然水は飲用価値だけでなく、インフラとしての役割を担うブランド」と説明。災害報道や水不足が報じられると需要が急増する事例を紹介し、「安定供給に努めてきたが、突発的な〝緊急買い〟により、必要な人が買えないリスクを完全に防ぐことはできない。日常の中で少しずつ備えておくことが重要」と呼びかけた。

同社が7月に実施したインターネット調査(全国の20~60代の男女2301人対象)では、73%以上が「買い置きをしている」と答えた一方で、自宅の備蓄が「十分」と感じる人はわずか2.9%にとどまった。溝本部長は「備蓄は特別なものという思い込みや心理的ハードルが、行動を妨げている」と指摘する。
サントリー食品、「ちょ備蓄」提案 防災備蓄を日常化――飲料メーカーが日用品まで呼びかける理由
溝本部長(左)と木村教授
溝本部長(左)と木村教授
続いて行われたトークセッションには、兵庫県立大学教授で防災心理学者の木村玲欧教授が登壇。日本の防災備蓄の課題について「人は物事を〝0か100か〟のゼロヒャクで考えがち。備蓄を完璧に揃えなければ意味がないと思い込み、結果的に何もしないまま時間が過ぎてしまう」と解説した。その上で「普段の買い置きこそ備蓄の第一歩。小さな成功体験を積み重ね、だらだらとでもいいので継続することが大切」とした。

質疑応答では、「なぜ飲料メーカーが水以外の食品や日用品まで含めた備蓄を呼びかけるのか」との質問も出た。これに対し溝本部長は、「このプロジェクトは水の備蓄を推奨するものではなく、備蓄そのものに対する心理的ハードルを下げたいというもの。
水はもちろん重要だが、日用品や食品を含めた幅広い備えを提案することに意義がある」と答えた。

会場では実際の家庭の備蓄写真も紹介され、木村教授は「本人は足りないと思っていても、すでに一歩は踏み出している。普段使う食品やお菓子を少し多めに買って、循環させてもらえたら」と述べた。

「ちょ備蓄」という呼びかけについて木村教授は、「親しみやすい言葉で意識改革を促せる点に意義がある。フェーズフリーやローリングストックと同様に、日常と防災をつなぐ考え方だ」と語った。

溝本部長は、「〝ちょっと多めに〟という小さなアクションが、大きな力に変わる。〝サントリー天然水〟として取り組みを広げていきたい」と締めくくった。

「ちょ備蓄」プロジェクトは、特設サイトやSNS、店頭での発信を通じて展開され、今後は全国3000店舗規模での実施を目指す。生活者との強い接点であるスーパーなどの売り場でも備蓄の訴求を行うことで、防災備蓄の意識・行動変容を促しそうだ。
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