不二製油は新中期経営計画「United forGrowth 2027」(25~27年度)を策定し、8月29日にオンライン説明会を開いた。最終年度の27年度に事業利益450億円、ROE10%以上、同社独自基準のFUJI ROIC6%以上を掲げ、持続可能な成長を目指す。
大森達司社長は「グループの価値創造の根幹は、植物性素材で人と地球が抱える課題を解決することにある。従来は顧客や消費者の課題解決が中心だったが、現在は農産地や地球環境、社会全体の課題まで対象を広げている。バリューチェーン全体が持続的に成長することで、サステナブルな食の未来を実践していく」とした。
前中計(22~24年度)は、CBEやコンパウンドチョコレートの販売が伸長した一方、カカオ相場高騰で米ブラマー社の収益が悪化。これに伴い、営業利益は99億円(IFRS 適用で133億円)にとどまり、ROEは1.0%に低迷するなど財務目標は未達に終わった。一方で、非財務目標はCO2排出量の削減、サステナブル調達(パーム油)ともに前倒しで達成した。
前中計で業績を圧迫したカカオ相場については、「22年以前のような水準には戻らないが、24年度に見られた1万ドル超の急騰は収束し、26~27年度にかけて平準化していく」(田中寛之取締役)との見方を示した。
新中計では、基本方針に「ガバナンスの深化」、「成長領域の更なる強化」、「挑戦領域の確立」を掲げる。4月に事業持株会社制へ移行したことを踏まえ、事業軸と機能軸による管理を強化し、グループ一体でのガバナンスを強化する。
成長領域の強化については、「CBEやコンパウンドチョコレート、大豆ミート、分離大豆たん白といった分野は、すでに当社がトップシェアを持つ領域であり、徹底的に競争力あるものに磨き上げる必要がある」と述べた。
業務用チョコレート事業の目標数値は、ブラマー社のコンパウンド製品の販売数量は24年度比1.5倍、ブラマー社を除く業務用チョコレートの販売数量は同10%増を目指す。
主な設備投資では、ブラマー社では、26年度稼働予定のカナダ・キャンベルフォード工場の新ラインで、シュガーフリーや低糖タイプ、プロテインリッチタイプなどの付加価値型コンパウンドチョコレートを増産し、27年度に販売数量を24年度比1.5倍に拡大する計画だ。日本では、阪南事業所に新チョコレート工場を建設中で、26年度の稼働を予定する。老朽化した工場に代わって、耐震基準を満たす新建屋を整備するとともに新設備を導入し、生産効率を高める。ブラジルでは、ハラルド社の第2工場に新ラインを増設し、25年度から稼働開始する。欧州では、ノンカカオ製品の需要に対応するため26年度下期に新ライン稼働、豪州でも26年度に新工場を稼働する予定だ。
大森社長は挑戦領域について、「プラントベース食品が中心で、豆乳クリームバター『ソイレブール』、カカオ成分ゼロのミルクチョコレートタイプ『アノザM』などが該当する」と説明。挑戦領域の利益貢献度を24年度の5%から27年度に15%へ拡大する方針を強調した。さらに、独自の乳酸菌発酵技術を活用した「本熟フロマージュ」や、新機能性食品素材「ソヤセル」などを展開するほか、動物性代替脂の新ブランド「Melavio」を近く立ち上げる予定だ。
フラッグシップの「GOODNOON」ブランドについて、「挑戦領域の収益比率を24年度の5%から27年度に15%へ拡大する中で、最も尖った存在が『GOODNOON』ブランドだ。海外主要拠点でも商標登録を進めており、海外各社でもブランドの思想に合う製品があれば展開し、世界へ広げていきたい」との考えを示した。調味料事業(植物性ダシ製品)については、「動物性食品を避ける人々に対し、ホテルや外食業界からも『ベジタリアン向けメニューを導入したいがどうしたらよいかわからない』という声が寄せられている。
〈大豆油糧日報2025年9月1日付〉
前中計ではカカオ相場高騰で米ブラマー社が大幅赤字となり、営業利益は目標を大きく下回ったが、新計画では同社の収益改善を最優先課題に据える。同時に、チョコレート用油脂(CBE)やコンパウンドチョコレートなど同社が高いシェアを持つ主力製品群を成長領域として強化するとともに、挑戦領域の利益比率を事業利益ベースで24年度の5%から15%へ高める。
大森達司社長は「グループの価値創造の根幹は、植物性素材で人と地球が抱える課題を解決することにある。従来は顧客や消費者の課題解決が中心だったが、現在は農産地や地球環境、社会全体の課題まで対象を広げている。バリューチェーン全体が持続的に成長することで、サステナブルな食の未来を実践していく」とした。
前中計(22~24年度)は、CBEやコンパウンドチョコレートの販売が伸長した一方、カカオ相場高騰で米ブラマー社の収益が悪化。これに伴い、営業利益は99億円(IFRS 適用で133億円)にとどまり、ROEは1.0%に低迷するなど財務目標は未達に終わった。一方で、非財務目標はCO2排出量の削減、サステナブル調達(パーム油)ともに前倒しで達成した。
前中計で業績を圧迫したカカオ相場については、「22年以前のような水準には戻らないが、24年度に見られた1万ドル超の急騰は収束し、26~27年度にかけて平準化していく」(田中寛之取締役)との見方を示した。
〈動物性代替脂の新ブランド「Melavio」立ち上げ予定、「GOODNOON」世界へ広げていく〉
新中計では、基本方針に「ガバナンスの深化」、「成長領域の更なる強化」、「挑戦領域の確立」を掲げる。4月に事業持株会社制へ移行したことを踏まえ、事業軸と機能軸による管理を強化し、グループ一体でのガバナンスを強化する。
成長領域の強化については、「CBEやコンパウンドチョコレート、大豆ミート、分離大豆たん白といった分野は、すでに当社がトップシェアを持つ領域であり、徹底的に競争力あるものに磨き上げる必要がある」と述べた。
業務用チョコレート事業の目標数値は、ブラマー社のコンパウンド製品の販売数量は24年度比1.5倍、ブラマー社を除く業務用チョコレートの販売数量は同10%増を目指す。
主な設備投資では、ブラマー社では、26年度稼働予定のカナダ・キャンベルフォード工場の新ラインで、シュガーフリーや低糖タイプ、プロテインリッチタイプなどの付加価値型コンパウンドチョコレートを増産し、27年度に販売数量を24年度比1.5倍に拡大する計画だ。日本では、阪南事業所に新チョコレート工場を建設中で、26年度の稼働を予定する。老朽化した工場に代わって、耐震基準を満たす新建屋を整備するとともに新設備を導入し、生産効率を高める。ブラジルでは、ハラルド社の第2工場に新ラインを増設し、25年度から稼働開始する。欧州では、ノンカカオ製品の需要に対応するため26年度下期に新ライン稼働、豪州でも26年度に新工場を稼働する予定だ。
大森社長は挑戦領域について、「プラントベース食品が中心で、豆乳クリームバター『ソイレブール』、カカオ成分ゼロのミルクチョコレートタイプ『アノザM』などが該当する」と説明。挑戦領域の利益貢献度を24年度の5%から27年度に15%へ拡大する方針を強調した。さらに、独自の乳酸菌発酵技術を活用した「本熟フロマージュ」や、新機能性食品素材「ソヤセル」などを展開するほか、動物性代替脂の新ブランド「Melavio」を近く立ち上げる予定だ。
フラッグシップの「GOODNOON」ブランドについて、「挑戦領域の収益比率を24年度の5%から27年度に15%へ拡大する中で、最も尖った存在が『GOODNOON』ブランドだ。海外主要拠点でも商標登録を進めており、海外各社でもブランドの思想に合う製品があれば展開し、世界へ広げていきたい」との考えを示した。調味料事業(植物性ダシ製品)については、「動物性食品を避ける人々に対し、ホテルや外食業界からも『ベジタリアン向けメニューを導入したいがどうしたらよいかわからない』という声が寄せられている。
誰もが同じ料理を楽しめる『オールパーパスメニュー』を提案していく」とした。
〈大豆油糧日報2025年9月1日付〉
編集部おすすめ