農水省は5日、小泉進次郎農林水産大臣と山本佐知子農林水産大臣政務官の出席の下、コメ加工品の輸出拡大に向けた試食会を開催した。
試食会にはビーライン、デイブレイク、フェイス、ニチレイフーズ、B.Continue、フィット&リカバリー、cool-Japanの7社が参加し、小泉農水大臣は各ブースを巡り、商品についての説明を受けてから試食を行った。


寿司チェーンを展開するビーラインは、デイブレイクの持つ高度な冷凍技術を活用し、冷凍寿司の商品化を、富山県とも連携しつつ目指していく。試食として提供したのは、富富富米を使用したガンドブリ(成魚前のブリ)と甘エビの寿司だ。輸出に向け、賞味期限などの問題にもこれから取り組んでいく。

デイブレイクも同じく冷凍寿司を提供。4,000件を超える冷凍テストで蓄積したデータやノウハウを用いて開発された冷凍寿司は、ビーラインとは異なるレシピで製造しており、難易度が最も高いとされている冷蔵解凍を実現した。2025年春から米国日系スーパーで販売を開始し、今後米国市場への本格導入を狙う。

フェイスは京都でグルテンフリーのたこ焼き専門店「都たこやき」をオープンした企業で、米粉たこ焼きを提供した。このたこ焼きは国産米粉・玄米粉のみで作られており、小麦・卵は使用されていない。配合を工夫し小麦粉とほぼ変わらない食感を実現。海外観光客へも人気で、将来的には輸出を目指しているという。

ニチレイフーズからは冷凍炒飯が提供された。輸出先国の規制に対応するため、チャーシューの代わりに大豆ミートを使用している。
それまでカツ類などで実用化されていた大豆ミートを、今回初めてチャーシューの代替として炒飯に使用することとなり、開発には2年ほどかかったという。すでに米国・オーストラリアへの輸出実績も。

B.Continue は国産米を使用した和食の冷凍弁当を自社で開発・製造している。試食会に提供された冷凍弁当は、「鮭ほぐし海苔弁当」と「ひじき枝豆炊き込みご飯弁当」。米国・カナダへ2024年11月から輸出をしており、今年8月までに約36,000食を販売した。

フィット&リカバリーは米粉パンと玄米ヴィーガンラーメンを提供した。中小企業技術革新制度(SBIR)を活用し開発された、氷点下での超微粒粉砕技術を活用し、米本来のおいしさを残している。米粉パンはGoogle Japanの社食で評価され、米国本社へも売り込み中。小麦粉を使用した場合と遜色ない味になっている。

cool-Japanは石灰と水の反応による蒸気を利用した独自の解凍手法で、シャリは温かく、ネタは冷たい握りたてのような冷凍寿司を提供した。今年3月のボストン・シーフードショーに初出展し、多数の引き合いがあった。米国の高級シーフードECサイトで販売が開始。


大臣は冷凍寿司を食べては「これ本当に冷凍されてたものなんですか」と驚き、冷凍炒飯の大豆ミートを使用したチャーシューには「本当は豚肉ですよね」と冗談を飛ばした。

すべてのブースを回った後の会見では、「米増産という言葉の中で、農家の皆さんは本当に増産をして大丈夫か。余らないんだろうか。そういったときに間違いない一つの選択肢は輸出をしっかりと伸ばして、需要の拡大をやっていくこと。今35万tと高い目標だが、今日これだけ素晴らしい、米の関係の製品を拝見・試食もして、これは達成できるなと間違いなく(感じた)。今までの冷凍寿司や米粉パンなどに対してちょっと違うかなっていうイメージを持ってる方がいるとすれば、それを覆すだけの力を持ってる。美味しさを持ってる、そんな魅力ある製品がいっぱい出てきたので、農水省としても、後押しをしていく」

「人口減少と高齢化がこれからも進んでいく日本の中で最終的にどこのマーケットを取るのかっていったら、世界のマーケットを取る以外にない。そういった基本的な将来像と認識を共有した上で、事業者の皆さん、関係者の皆さんと心を合わせていけば、必ず難しいと思われる目標も達成できるだろう。そして日本の食は、間違いなく世界でトップを取れる、日本の誇るべき宝ですからそれを信じて、課題とか不安を乗り越えていきたい」と述べた。

〈米麦日報 9月8日付〉
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