――今期(2月期)の通期見込みは

前年比から4~5%増加し460億円の見込みだ。猛暑で足元の販売は鈍化しているが、通期でみれば好調だ。
厚揚げが伸長していることも好調要因の1つだ。製造する会社が減ってきているためだ。油を使うため設備に負担が掛かり更新が必要となる。ランニングコストが掛かるため、再投資をするか判断するタイミングで断念する会社が多い。

――新商品の反応は

「フォアグラのようなビヨンドとうふ」は想定より好調だ。フォアグラを食べたことがある人にも、ない人にも好評だった。豆腐なので、本物を目指している訳ではなく、その点が評価されている。3大珍味の1つなので、食べてみたい人に向けて作った。

一方、「ごはんにのせて食べるのっけやっこ」、「ごはんにかける冷や汁」は不発だった。ご飯関連商材が市場で売れていることから挑戦してみたが、「おつまみやっこ」のようなそのまま食べる需要の方が強かった。

〈高級イメージのあるゆばを手軽に、新商品で厚揚げの新たな食べ方を提案〉


――好調だった商品は

「ひとり鍋」は絶好調だ。猛暑の影響は受けていない。
スンドゥブは辛いので夏でもフィットする商品だ。

「おつまみ湯葉」2品も好調だった。ゆばは高級なイメージを持たれがちだが、気軽に食べられる商品にした。おつまみ系の商品は絶好調そのものだった。

購入分析は必要ないと考えている。豆腐は幅広い年齢層に購入される食品だ。当社も昔はターゲット層を設定していたが、必ずしもその年代に刺さるものでもない。今はもっと汎用性のあるものを販売して、消費者に見てもらいたい。

――グループ会社の進捗は

三和豆水庵は3月から黒字化できた。これで12社全て黒字化を達成した。うち6社は債務超過を解消した。

ゆばが特に看板商品のため、ゆば商品を広げている。
ゆばで特徴を出せるのは三和豆水庵が一番得意だと思う。この特徴を活かした商品を発売していきたい。秋冬に「湯葉グラタン」、「ゆばスープ」、「湯葉鍋」を発売予定だ。

――下期の施策は

厚揚げの新たな食べ方を提案する「厚揚げ惣菜シリーズ」など新商品を約18品発売する予定だ。
相模屋食料・鳥越社長インタビュー 通期売上は460億円を見込む、厚揚げの伸長も寄与
炒めておいしい絹厚揚げ オイスターソース
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とろける湯葉グラタン カレーソース
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また、下期に限らず、新商品開発や、子会社の再建活動を通して、豆腐市場を盛り上げる取り組みを続けていく。価格改定の予定はない。

――輸出の取り組みは

コロナ以降は輸出していない。現状で手一杯なため特に注力していない。国内の市場を盛り上げることを優先している。

――国産大豆を使用した商品の割合について

国産を使用する商品は増えている。三和豆水庵の新規商品は国産で進めている。

ゆばも以前は輸入大豆で作っていたが、グループ入りしてからは国産に切り替えた。
ゆばは輸入大豆が多く、国産大豆は差別化商品として位置づけられている。

輸入大豆は安定供給できるか読めない。日本で豆腐を作るなら、国産大豆を使うことを当たり前にしたい。

〈大豆油糧日報2025年9月25日付〉
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