9月12日、「バロー尼崎潮江店」が開業した。今回の出店でバローは兵庫県初進出を果たした。
岐阜県に本社を置くバローは現在、大阪府7店、京都府4店、奈良県1店、滋賀県16店を展開している。滋賀県はバローからしたらお膝元に一番近い近畿地区となっていることもあり、店舗数も多い。そして12日、ついにバローとして兵庫県に初進出を果たした。昨年のトーホーストアの閉店劇でバロー傘下の店が兵庫県内に一気に増加したことも記憶に新しい。昨年10月にはチルド、冷凍、ドライ食品などを扱う「枚方物流センター」を開設し、今後さらに関西で存在感を強めていく姿勢が見て取れる。すでに関西ではバロー自体を目にすることはなくともバロー傘下の店が生活圏内に入り込んできている。
〈基本に忠実な進化型スーパーマーケット〉
阪急オアシスが営業していた「アミング潮江ウエスト2番館」の1階に後を受け継ぐ形で「バロー尼崎潮江店」が開業した。JR尼崎駅北口から徒歩4分とほど近く、周辺は競合が多いエリアだ。
道路を挟んではす向かいには大型のショッピングモール「あまがさきキューズモール」がある。平和堂が運営する「アル・プラザあまがさき」や尾家産業が運営する業務用食品専門店「ももひこや」、食品を中心にした阪神百貨店「あまがさき阪神」のほかカルディや成城石井も内部に含む。
また、東側の県道74号を渡ると兵庫県や大阪府内でも人気の「スーパーマルハチ 尼崎駅前店」が、南口には「マックスバリュ金楽寺店」があり、2km圏内まで広げると「コストコホールセール 尼崎倉庫店」「ロピア 尼崎島忠ホームズ店」まである。さらに尼崎市内には18日、バローと同じくEDLPの価格戦略を取る「オーケー武庫之荘店」も開業した。これまでも他県の食品スーパーの出店も受け入れられてきた土壌があるため、今回のバローもすぐに受け入れられるのではないだろうか。
開業から翌週の平日の昼間でも多くの客で賑わっていた。すでにオープニングセールのポップなどはなかったが、広告の品や目玉と表記されている商品はどれも安さを前面にアピールした価格設定になっていた。惣菜も充実しており、ベーカリーコーナーではひっきりなしにパンが焼き上げられている。人気の「手作りピザ」コーナーも充実している。
向かいの「サンディ」は生鮮や惣菜が多いわけではないため、差別化できているように感じる。また、近隣では一番売り場面積の広い平和堂「アル・プラザあまがさき」とも商品展開が異なる。バローは中部地方の食品スーパーらしさも残しつつ、地場で求められる商品もバランスよく配置している。店内の雰囲気は「ロピア」に近いが大容量品がメインではなく、どれも手に取りやすいサイズ感で販売されている。お客にとって「ちょうどいいスーパー」であることが売り場の端々から伝わってくる。
バローは34年3月期には全体で1兆2000億円にまで成長することを目標に25年から27年3月期までの中期経営計画の成長戦略において「関西500億円構想」を掲げている。すでに滋賀県内のシェアの約1%は獲得しているため、さらにこの先10年間では滋賀県を除く関西エリアの市場規模を約27兆円と想定した場合の1%のシェア獲得を想定して約2500億円売り上げを目指していく。現在の中期経営内では関西エリア向け新プロセスセンター計画や大阪市内の一等地への惣菜店開業など、さらに関西エリアで拡大を見越した動きに注目が集まる。
かつて大手食品スーパーの社長にインタビューをした際「食品スーパーの運営は明確な勝ちへの道筋があるわけではなく、基本に忠実にしていくことが大事だ」と聞いた。バローの店舗を見ると、スタッフが多く活気がある店内は「基本に忠実に」食品スーパーのあるべき姿そのものだった。さらに時代や顧客ニーズをつぶさに捉えた進化型でハイブリッドな一面も垣間見えた。
〈食品産業新聞2025年9月25日付〉









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