〈豆腐が手元に届くまでのコストを学べる「値段のない豆腐屋さん」開店、アサヒコ・さとの雪食品・アサムラサキが協力〉
農水省は10月9日、フェアプライスプロジェクトの一環として、千代田区のKITTE 丸の内1階アトリウムで「値段のない豆腐屋さん~みんなが納得の『フェアな値段』を考えよう~」の開店セレモニー&体験会を行った。イベントは12日まで実施した。
同イベントは、豆腐が消費者の手元に届くまでのコストについて学び、豆腐の値段はいくらが妥当であるか値付け体験ができる消費者参加型イベントだ。
当日は、アサヒコの池田未央社長、専門家として日本総合研究所創発戦略センターチーフスペシャリストの三輪泰史氏に加え、ゲストとしてタレントの菊地亜美氏を迎え、トークセッションや値付け体験を実施した。
冒頭、主催者を代表して農水省大臣官房新事業・食品産業部の渡邉浩史企画グループ長があいさつした。「近年、物価高騰、国際情勢の変化や円安などの影響でコストが上がり、消費者の生活にも影響が出ている。一方で、食料の供給側においても資材費やエネルギーコスト、人件費などが上昇し、大変厳しい状態におかれている。皆が厳しい状況の中で、これからの食料供給をどうやって持続的に確保していくのかについて、関係者全員で考えていかなければいけない時期に来ている。豆腐は、物価が上がっていく中でも比較的価格の変動がない商品として、これまで物価の優等生と言われてきた。それは豆腐の生産者や流通が、ロス削減や生産効率化を図るなど、値段が上がらないように努力を重ねてこられたためだ。ただ近年、豆腐製造事業者も営業が難しくなり、倒産や廃業が増えてきている。今回の体験を通じて、持続的に豆腐を手にすることができるようにするためのフェアな値段はいくらなのかを体験する機会になればと思う」と述べた。
〈豆腐作りに必要なコストは計122円、「値段以上の価値を感じてもらえる商品作りを」〉
体験フローは、まず入口で渡されるスタンプカードに、自分のイメージする豆腐の値段を書く。次にパネルや展示、動画を通して、大豆生産・豆腐製造・流通の段階でどんなコストがかかっているのかを学ぶ。
トークセッションでは、豆腐の値段や、豆腐ができるまでの過程について触れた。その中で、豆腐は通年で価格が安定している一方で、原料の大豆は時期によって上下することが指摘された。また、豆腐にはさまざまな価格帯があるが、池田社長によると「消費者にアンケートを取ると、豆腐の選択基準は必ず最初に値段、次に容量、そのあとに初めて原料や作り方のこだわりが入るという順番だ」という。
イベント終了後、本紙取材に池田社長が答えた。「豆腐が手元に届くまでに122円のコストがかかり、利益も乗せるとなると132円以上でないとサプライチェーンを維持することはできないことを流通や小売、お客様に伝えないとならない。メーカーとしては、値段以上の価値を感じてもらえるような商品作りをしないとならないと感じる。『豆腐バー』は成功事例の1つだ」と話した。
〈大豆油糧日報2025年10月16日付〉









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