マルコメは今年9月に無添加生みそを製造する新熟成棟を竣工し、好調な「糀美人シリーズ」と「タニタ食堂の減塩生みそシリーズ」を中心に、更なる市場拡大を目指していく。みそ業界ではさまざまなコスト増が負担となる中、同社も昨年10月と12月に、家庭用、業務用で価格改定を行った。
これまでの経験上、値上げ後は数量が顕著に落ちていたというが、今回はそれほど影響がなかったことも、投資の決断の後押しとなったという。魚沼醸造というしっかりとした糀の製造工場を構えていることが、糀甘酒や生塩糀パウダーといった糀製品の伸長にもつながっている。「次の100年を醸成する」というスローガンを社内に発信しているという青木時男社長に、今年の方針を聞いた。

――9月に稼働予定の新熟成棟について

無添加は「糀美人シリーズ」、「タニタ食堂の減塩生みそシリーズ」をそろえている。だし入りみその時代は3代目青木佐太郎前会長が作り上げたが、私の時代には、だし無しの無添加で、だし入り以外の市場を開拓し、おかげさまで数量も増えてきた。
無添加は、仕込みも手の込んだ作り方をしているので、大規模製造であっても品質が変わらない仕込みができないかを模索し、技術的にクリアできた。従来にはなかった仕組みで、今年の秋に稼働する予定だ。厳しい時代に新たな投資をすることに驚く声も聞かれるが、祖業のみそには、しっかり取り組んでいく必要がある。
昨年9月には、グループ会社かねさの新工場を竣工したことで、顆粒みその生産量は年間1億食規模に倍増した。即席みそ汁がますます伸びていく状況なので、今後は本格的に増強体制に入っていきたい。

――今期(3月期)の業績は

数量も金額も伸ばしている。過去に値上げを行った経験上、値上げ後の数量の落ち込みは相当厳しく、半年ほど影響が続いていた。
ところが、昨年10月に生みその値上げを行った際には、従来と比べて数量の減少がそこまでなかった。食品業界でほとんどの商品が値上げされているので、みそだけ価格が上がった状況ではなく、消費者の印象も軽減されたのではないか。新熟成棟に投資することも、思い切って実行できた。

――糀製品も非常に伸びている

糀甘酒は2014年から参入し、グループ会社の魚沼醸造の工場も新設した。順調に稼働しており、米糀粉末は、パンをはじめ、さまざまなカテゴリから引き合いがある。糀のポテンシャルはすごいものがあると感じる。さまざまな業種へ向けて提案しており、問題点の解決に取り組むことですでに多くの成果が出ている。今後も糀の発酵技術を加味することによって、さまざまな製品の品質が良くなることを提案していく。米糀は添加物ではなく原材料となり、植物性由来の発酵技術を使うことにニーズがある。発酵技術はまだまだポテンシャルを使い切っていない。さらに深堀りしながら、いろんな業種、業界とアライアンス、タイアップしていける可能性があると考えている。こういった取り組みができるのも、魚沼醸造というしっかりとした工場があってこそだ。

〈「次の100年を醸成する」スローガン社内に発信、発酵技術をさらに高みから活用〉


――新年の抱負を

昨年、102歳で3代目青木佐太郎前会長が亡くなった。100年以上生き続け、あれだけのイノベーションを起こし、われわれにとってはレジェンド。私が今年、社内に発信しているのは「次の100年を醸成する」というスローガン。長期的に俯瞰しながら、発酵技術をさらに高みから活用していく展望を、この言葉に凝縮して伝えている。長期のスパンになるが、いろんなことを継承し、続けることが最大のミッションだ。革新的なことを行っても、続かないと先輩たちの思いをつなぐことができない。ではどうつないでいくか。その時代に適用できるよう変化を取り入れ、柔軟に、フレキシブルに対応することが言葉の背景となる。

〈大豆油糧日報 2026年1月28日付〉
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