外食大手トリドールホールディングスの傘下でハワイアンカフェ「コナズ珈琲」を展開する株式会社KONA’Sは、従業員同士の成長と感謝を可視化する新制度「MAHALO(マハロ)」を導入する。社員とアルバイト約4,350人を対象に、1年間の成長を評価してポイントを付与し、そのポイントを自身の成長に貢献した同僚へ送る仕組みだ。


ポイントはインセンティブにも連動し、条件によっては最大100万円を超える支給も可能になる。人材定着や組織力強化につなげる狙いで、トリドールグループが掲げる「心的資本経営」を体現する取り組みの一つと位置づける。
「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
Konas Coffee(コナズ珈琲)ロゴ
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2013年に誕生した「コナズ珈琲」は、トリドールHDの粟田貴也社長が「丸亀製麺」の出店に向けてハワイを訪れた際、現地の温かみのある雰囲気のカフェに感銘を受けたことをきっかけに生まれたブランドである。現在は全国52店舗まで拡大し、トリドールHDにおいて「丸亀製麺」に次ぐブランドへと成長している。

株式会社KONA’Sの売上高は2025年3月期に前年比32%増の114億円となり、当初計画より1年前倒しで売上100億円を突破。店舗数も毎年最大8店舗ほど増加しており、新店効果に加え、近年のアサイーボウル人気も追い風となった。
「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
「コナズ珈琲 板橋店」提供メニューの一部
「コナズ珈琲 板橋店」提供メニューの一部
KONA’Sの阿部和剛社長はMAHALO制度について、「この制度は“人を育てる文化”を強化するもの。自分の成長だけでなく、人を育てることがミッションという意識が広がれば、組織は持続的に発展する」と語る。

■「成長」と「感謝」を結びつける新制度


MAHALO制度の最大の特徴は、「どれだけ成長したか」だけでなく、「誰のおかげで成長できたか」という視点を評価に取り入れた点にある。

従業員は1年間の成長度合いに応じて3段階で評価され、MAHALOポイントが付与される。その後、獲得したポイントを自身の成長に貢献したと考える同僚へ分配する仕組みだ。

ポイントは1ポイントから送ることができ、社員とアルバイトの区別なくやり取りが可能。一方で、自分自身に送ることはできず、誰から送られたかは公開されない仕組みとしている。

「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
株式会社KONA'Sの阿部和剛社長
株式会社KONA’Sの阿部和剛社長

■最大100万円超のインセンティブも


同制度は報酬とも連動する。コナズの給与体系は基本給とボーナスに加え、業績に応じたインセンティブが支給される仕組みとなっており、この原資は平均で約30万円とされる。

MAHALO制度の導入により、高い評価とポイントを獲得した場合には、100万円を超えるインセンティブ支給も可能になるという。

■背景にある「心的資本経営」


制度の背景にあるのが、トリドールが掲げる「心的資本経営」だ。

これは、従業員の幸福が顧客の感動につながり、店舗が繁盛し、その利益を従業員に再投資する――この好循環によって企業成長を実現するという考え方で、同社では「ハピカン繁盛サイクル」と呼んでいる。

この取り組みにより、離職率は前年より12.9%低下し、利用客からの「お褒め件数」は24.5%増加。業績面でも、全セグメントで過去最高の売上収益を更新した。

粟田貴也社長は「感動をつくるのは従業員であり、企業が利益を追求するほど、働く人の幸せが最も重要になる」と説明する。
「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
トリドールHDの粟田貴也社長
トリドールHDの粟田貴也社長

■「人が人を育てる」文化を制度化


KONA’Sの阿部社長は制度設計の背景について、「現場では日常的に“誰かのおかげで成長できた”という声が上がっている。誰かの成長の裏には必ず支えている人がいる。その関係性を可視化したかった」と話す。

同制度は単なる感謝制度ではなく、「成長」を起点に組織づくりを進める仕組みとして「グロースビルディング」と位置づけられている。

評価は相対評価ではなく絶対評価を採用し、1年間でどれだけ成長したかという「成長幅」を重視する。アルバイトであれば業務習得の進度、社員であればマネジメントや新たな業務領域への挑戦などが評価の軸となる。

また、社員だけでなくアルバイトを含む全従業員を対象としている点も特徴で、組織全体で成長の連鎖を生み出す狙いがある。

「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
「コナズ珈琲 板橋店」内観
「コナズ珈琲 板橋店」内観
さらにトリドールでは、従業員の幸福度を「ハピネススコア」として可視化し、AIとの対話などを通じて測定している。これらのデータは顧客満足や売上とともに管理され、従業員の幸福度向上が来客数や売上の増加につながる関係性を分析している。

人手不足やコスト上昇が続く外食業界では、省人化や効率化の動きが加速しているが、トリドールは「あえて非効率」を掲げ、人が生み出す体験価値を重視する戦略を取る。

MAHALO制度は、こうした文化をさらに強化する取り組みといえる。

阿部社長は「自分の成長を実感できると同時に、誰かの成長にも貢献している状態をつくりたい」と話す。

MAHALOポイントは将来的に昇給や昇格などの人事評価にも反映する方針で、トリドールグループ全体への展開も視野に入れる。

■コナズは4業態体制へ


KONA’Sでは主力の「コナズ珈琲」に加え、マラサダ専門店「PALM WAGON」、新カフェブランド「KNOWS COFFEE」、ハワイアンカフェバー「goodNess」の展開を進めている。

コナズ珈琲が持つハワイの世界観や体験価値を都市部や日常利用のシーンへ広げ、ブランドの裾野拡大を目指す。
「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
「コナズ珈琲 板橋店」にはマラサダ専門店「PALM WAGON」を併設
「コナズ珈琲 板橋店」にはマラサダ専門店「PALM WAGON」を併設
「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
マラサダ専門店「PALM WAGON」
マラサダ専門店「PALM WAGON」
「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
KNOWS COFFEE イオンモール津田沼South
KNOWS COFFEE イオンモール津田沼South
「最大100万円も」コナズ珈琲、“誰のおかげで成長したか”評価する新制度
「KNOWS COFFEE」提供メニューの一例
「KNOWS COFFEE」提供メニューの一例
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