あさくまは、2026年3月期において売上高100億4500万円(前年比20.3%増)を計上し、28年ぶりに売上100億円を達成した。営業利益は5億1900万円(同188.9%増)、経常利益は5億2600万円(同185.1%増)と大幅な増益となり、営業利益率は5.2%(前年2.2%)に改善した。
〈コロナ禍には売上減、一時は50億円台に〉
あさくまは2019年の上場後、新型コロナウイルスの影響により売り上げが一時50億円台まで落ち込んだ。主力業態「ステーキのあさくま」では、象徴的なサラダバーが非接触の観点から敬遠され、客数が大きく減少した。
しかしその後、既存店の立て直しと商品施策の強化を進め、業績は回復基調へと転じた。
〈“不満足ゼロ”を掲げ、QSC改善へ〉
廣田陽一氏が社長に就任した2022年6月当時は、コロナ禍で現場のQSC(品質・サービス・清潔)が崩れ、清掃や教育に割く時間も十分に確保できない状況だった。廣田氏はまず“不満足をゼロにする”ことに注力した。公式アプリのアンケートに寄せられた顧客の声を参考に、メニュー改善や味の調整、サービスの見直しを繰り返した。
改善を続けるうちに顧客の声も徐々に良くなり、ランチセットの導入や新メニュー開発も進んだという。
〈サラダバー刷新で“体験価値”を強化〉
2023年2月にはサラダバーの見直しを行い、“体験価値”の向上に踏み切った。店舗ごとに異なっていたメニューを本部主導で統一し、品数の増加、補充頻度の改善、温かい惣菜の導入などを進めた。現在は「45品目!!食べ放題サラダバー!」として展開している(一部店舗を除く)。こうした改善の積み重ねに、コロナ明けの需要回復が重なり、客数は大きく伸長した。
〈イベント施策も既存店伸長を後押し〉
さらに、毎月実施する「肉の日」や「匠肉祭り」などのイベント施策も既存店の伸長を後押しした。「肉の日」ではサーロインステーキを50%増量し、客単価は100円以上上昇、ステーキ注文率は通常の3倍以上に伸びた。ステーキ食べ放題の「匠肉祭り」は、休眠顧客の掘り起こしにつながっているという。
こうした取り組みの結果、2026年3月期第4四半期には既存店売上前年比が3カ月連続で120%を超え、主力業態「ステーキのあさくま」は、既存店売上38カ月連続前年超えを達成した。
〈都市型モデルでオフィス街のランチ需要開拓へ〉
2025年~2026年にかけては複数業態で出店を進め、2026年2月には、21年ぶりの大阪出店となる「ステーキのあさくま 西梅田ハービスプラザ店」をオープンした。
「ステーキのあさくま」は、これまでロードサイドを中心に店舗を展開してきたが、同店は初めての都市型立地に対応した、ビジネスランチ特化型の新モデルだ。オフィス街のランチ需要に応え、従来10~15分かかっていた料理提供時間を短縮したビジネスランチメニューを開発した。さらに、飲み需要に応えるためワインの品揃えを従来の8種から19種へ拡充した。
また、従来の“サラダバー付き”の提供形式を見直し、すべてのメニューを単品で注文できる方式を採用。ライスやドリンクバー、サラダバーなどを自由に組み合わせて注文できる。
〈新業態「カレーのあさくま」を第二の柱へ〉
「カレーのあさくま」は、「ステーキのあさくま」で長年支持を集めてきた“牛すじカレー”を専門店として独立させた新業態だ。
清水一成会長は、「全く新しい業態を作るのではなく、“あさくまブランドの中でスピンオフできるもの”を考えた結果、カレーに行き着いた」と説明する。2025年7月にオープンした大須店では、既存顧客に加えて新たな来店層の獲得に成功したという。
2026年3月17日にオープンした2号店「栄スカイル店」では、商業施設内という立地を踏まえ、平日の女性客の利用も想定し、日常使いしやすい空間づくりを重視した。名古屋という中心商圏で「あさくま」ブランドの接点を広げるとともに、主力ブランドに次ぐ“第二の柱”としての確立を目指す戦略的出店だという。
〈あさくま 200億円体制確立に向けて〉
あさくまが掲げる「今後3年で売上200億円体制」の実現に向けて、最も重要な要素は“人材”だと廣田陽一社長は語る。
同社では近年、外国籍スタッフの採用を積極的に進めており、現在は社員の約半数を占めるまでに拡大。また、新卒採用も増加傾向で、メディア露出や業績回復により応募層が広がっている。
廣田社長は「社員一人ひとりが夢を持って働ける環境を整えたい。そして何より、あさくまを愛してくださるファンの期待を裏切らないこと。このお店をなくさないことが私たちの使命だ」と語る。









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