住宅ローンの金利が上昇トレンドに入った。これに伴い、住宅ローン返済中の人たちの動向が気になるところだ。


住宅金融支援機構と三井住友信託銀行の三井住友トラスト・資産のミライ研究所は、住宅ローンを返済中の人たちの調査結果をとりまとめ、いずれも2026年1月にその結果を公表した。今回は、2つの調査結果から、住宅ローン返済中の人たちの実態を見ていこう。

【今週の住活トピック】
住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)調査(2025年10月調査)】結果を公表/住宅金融支援機構
「金利上昇に直面する住宅ローン世帯の選択」を公表/三井住友トラスト・資産のミライ研究所

市場金利の上昇で住宅ローンの金利も軒並み上昇!返済の見直しは必須か?

さて、日本銀行は、マイナス金利などの金融緩和から金融引き締めへと政策を転換した。これに加えて、グローバルな経済情勢や日本の物価上昇などにより、市場金利は長期金利も短期金利も上昇を続けている。住宅ローンの金利は、市場金利に連動するため、軒並み上昇している。

住宅ローン利用者の多くは、超低金利だった変動金利型の住宅ローンを借りている。住宅金融支援機構の【住宅ローン利用者調査(2025年4月調査)】によると、79%が変動金利型を選んでいた。変動金利型では、年に2回金利を見直すので、原則として、金利が上がると借りている住宅ローンに適用される金利も上がってしまう。

となると、気になるのは、すでに住宅ローンを借りていて、返済中の人たちのことだ。住宅ローンを返済中の人たちは、金利上昇局面にあたり、返済計画の見直しを検討しているのだろうか?

金利タイプで異なる、ローン返済への不安材料

まず、2025年10月に実施した、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」結果を見ていこう。調査対象は、2025年3月までに個人向け住宅ローンを借り、返済中の5000人で、【住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)調査(2025年10月調査)】として、その結果を公表した。

返済中の住宅ローンについて「借り入れ当初と比べた住宅ローンの負担感」を聞くと、「ほとんど変わらない」が56.0%と過半数を占めた。が、負担感が大きくなったと感じる人も、「大きくなった」(14.8%)、「やや大きくなった」(23.0%)と4割近くいた。負担感が大きくなったと感じる人は、「変動金利型」のほうがやや多いという傾向も見られた。

次に、負担感が大きくなった人たちに、「負担感が大きくなった理由」を聞いた(【画像1】)ところ、住宅ローンのタイプにかかわらず、「物価が上昇して家計の支出が増えた」を挙げた人が最多だった。どの世帯でも、物価高による家計への影響が大きかったことがうかがえる。

「自身の収入が思うように増えなかった/減った」や「想定外の大きな支出が発生した」といった理由も上位に挙がったが、変動金利型で特徴的だったのが、「返済額が増えた(金利の上昇や優遇条件の終了など)」が28.2%と多かったことだ。金利上昇は、変動金利型の人に大きな影響を与えたということだろう。

物価上昇と金利上昇のダブルパンチ!住宅ローン利用者のお悩みと返済プランの見直し策を徹底解説

【画像1】出典:住宅金融支援機構【住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)調査(2025年10月調査)】より転載

また、全員に対して、今後の返済にあたり「不安に思っていること」を聞いた結果(【画像2】)では、全ての金利タイプで「物価の上昇」が最も多くなり、半数以上に達した。物価高、恐るべしだ。

一方、「変動金利型」、「固定期間選択型」、「ミックスローン」の3つのタイプでは、「借入金利の上昇」が2番手につけた。特に、変動金利型では「借入金利の上昇」が55.0%と半数を超えるほど多かった。

「固定期間選択型」は、3年、5年、10年などの当初期間だけ金利が固定されるものなので、選んだ期間が終了すると金利が変わる。また、「ミックスローン」は変動金利型と、固定期間選択型あるいは全期間固定型をミックスして、借入額を割り振って借りるもの。金利が変わるタイプが含まれているので、やはり金利上昇の影響を受けることになる。

これに反して、「全期間固定型」は、借り入れ当初に金利が固定されるので、金利上昇への不安は上位5つに入らなかった。

物価上昇と金利上昇のダブルパンチ!住宅ローン利用者のお悩みと返済プランの見直し策を徹底解説

【画像2】出典:住宅金融支援機構【住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)調査(2025年10月調査)】より転載

変動金利型で借りるなら、金利上昇リスクをしっかり考えたい

では、返済中の金利上昇リスクについては、どう考えていたのだろうか?
住宅金融支援機構では、「変動金利型で借りた人」を対象に、「借り入れた当初の金利変動リスク」についてどう考えていたかを聞いている。

その回答(【画像3】)を見ると、金利変動リスクについては「考えても仕方がない」「リスクをわかっていなかった」「リスクはないと思っていた」「多くが借りているから大丈夫だろう」などと、あまり真剣に考えていなかったことがうかがえる。「借入金利が上がったとしても、収入や貯蓄により十分対応できる」という、具体的な対応策を検討していた回答は27.7%だった。

物価上昇と金利上昇のダブルパンチ!住宅ローン利用者のお悩みと返済プランの見直し策を徹底解説

【画像3】出典:住宅金融支援機構【住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)調査(2025年10月調査)】より転載

また、「返済中の住宅ローンについて知りたいこと」を尋ねる(【画像4】)と、「(十分把握できているので)特にない」という回答が最多の29.8%だった一方で、「金利が上昇した場合の返済額シミュレーション」(27.7%)や「金利が上昇した場合の借入金利・返済額の変更ルール」(17.0%)などを知りたいという回答も見られた。

物価上昇と金利上昇のダブルパンチ!住宅ローン利用者のお悩みと返済プランの見直し策を徹底解説

【画像4】出典:住宅金融支援機構【住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)調査(2025年10月調査)】より転載

約7割が見直しを検討。対応策は繰り上げ返済?

次に、三井住友信託銀行の「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(以下、ミライ研)のレポートを見ていこう。

ミライ研では、2025年1月に、全国約1万人(18歳~69歳)を対象とした「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」を実施したが、そのうち、住宅ローンを利用している世帯の回答を分析したレポート「金利上昇に直面する住宅ローン世帯の選択」を公表した。

「住宅ローンが今後も上昇する場合、返済について何らかの検討をするか」を聞いた(【画像5】)ところ、72.9%が「検討する」と回答した。そのなかでも、年齢の若い世帯のほうが検討するという回答の比率が高いことがわかる。これは、金利上昇の影響は、「借入額が多いほど」「返済期間が長いほど」大きくなることと関係がありそうだ。

ただし、50代や60代でも見直しを検討するという回答が6割を超えている。金利上昇は、住宅ローン返済に与える影響が大きいこともうかがえる結果だろう。

物価上昇と金利上昇のダブルパンチ!住宅ローン利用者のお悩みと返済プランの見直し策を徹底解説

【画像5】出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所のレポート「金利上昇に直面する住宅ローン世帯の選択」より転載

次に、「見直しを検討する」と回答した人に「具体的な対応」について尋ねる(【画像6】)と、「家族と相談する」(36.2%)、「一部繰上返済をする」(34.9%)、「返済にどの程度の差が出るか自分で確認する」(25.1%)が多かった。

物価上昇と金利上昇のダブルパンチ!住宅ローン利用者のお悩みと返済プランの見直し策を徹底解説

【画像6】出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所のレポート「金利上昇に直面する住宅ローン世帯の選択」より転載

また、「全額繰上返済」と「一部繰上返済」のいずれか、または両方を検討しているかどうか聞いてみると、「いずれか、または両方検討している」という回答が44.2%になり、繰り上げ返済という対応策が広く選ばれていることがわかった。

住宅ローン返済中に金利が上昇!どう対応したらよい?

では、住宅ローンの金利が上昇して、返済に影響が出たらどうしたらよいのだろう?選択肢はいくつかある。

まず、「家計の余剰資金を返済に充ててそのまま継続する方法」。住宅ローンの金利が上がるときは、金融商品の利回りも上がることが多い。低金利の住宅ローンで毎月返済額を抑える一方で、投資も並行して行い、その利益を活用して返済に充てるという方法もあるだろう。

次に「貯蓄を使って繰り上げ返済をして、返済額を軽減する方法」。繰り上げ返済では、返済期間を短くしたほうが利息削減効果は大きいが、毎月の返済額は変わらないので、返済額を軽減するのも方法のひとつだ。

ただし、毎月の貯蓄にせよ、まとまった貯蓄にせよ、教育費などの将来必要な貯蓄を返済に回したりすると、ライフプランに影響するかもしれない。返済に充てられる貯蓄かどうかがポイントになる。

最後に「借り換えや条件変更などで返済額を軽減する方法」。借り換えは、諸費用が必要になるうえ、状況によっては返済額を軽減できない場合もあるので、しっかり確認したい。借り換えるより、借りている銀行で現行の条件(金利タイプや返済期間など)を変更できないか相談したほうが、有効な場合もあるので、金融機関に相談することも選択肢だろう。

今回は「住宅ローン返済中」の場合を前提にしているが、当初の借り方で金利上昇に備えておくことも大切だ。「借入額が多いほど」「返済期間が長いほど」「金利が高いほど」利息は増える。当初の借入額を抑えたり、低金利な住宅ローンで返済期間を短くすることで元金を早く減らしたり、あらかじめ長期間金利を固定するタイプを選んだりといった方法から自分に合うものを選んでおくと、金利上昇時に慌てなくて済むだろう。

いずれにしても、金利や住宅ローンの仕組みに関する正しい知識と長期的なマネープランを持っておく必要がある。先のことはわからないと放置しておくと、困ったときに選べる選択肢を狭めることになりかねないので、早めに動いてほしい。

●関連サイト
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)調査(2025年10月調査)】」
三井住友トラスト・資産のミライ研究所「金利上昇に直面する住宅ローン世帯の選択」

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