●地産地消や環境への配慮に取り組む「サステナブルガストロノミー」として、大分県の『Otto e Sette Oita』を紹介します。
おんせん県として知られる大分県ですが、実は、ご飯が美味しい。
現在、県をあげての取り組みとして、「サステナブルガストロノミー」があります。それは「食材の産地や栽培方法、市場を通し、最終的に食卓に届くまでの各段階で持続可能性を意識した食・食文化」を指します。大分県ならではの食や文化を継承しつつ、時代に合わせたアップデートを図ることが目的です。
温泉そのものを使った料理「温泉キュイジーヌ」とは?

梯シェフは、福岡県生まれ。30歳で大分県湯布院町に移住しイタリアンレストランで料理長を経て、2014年に『Otto e Sette Oita』をオープン。温泉そのものを料理に使用し、“地獄蒸し”と呼ばれる温泉の熱源を利用した調理法を駆使し生み出される料理は、“温泉キュイジーヌ”と評価されています。

今回は、銀座にある『座来大分』にて特別に試食会が行われました。梯シェフが生み出す料理はほとんど大分県産の食材を使っています。今回の試食会でも銀座まで食材を運び、普段レストランで提供するクオリティーと同等のものを用意いただきました。

こちらは、ブランドかぼちゃの「坊ちゃんかぼちゃ」のペーストを温泉水でのばしたスープ。塩や出汁や一切使っておらず、かぼちゃと温泉の味だけで構成されています。
温泉というと硫黄臭をイメージしますが、まるで昆布でお出汁を取ったような深みのあるテイスト。

メインの肉料理は、さつまいも「紅はるか」と別府の『宝放舎』で育った牛のすね肉を長時間、地獄蒸しにすることで繊維までホロホロに。ナイフも軽く入れるだけで、崩れるくらい柔らかです。それでいて、すね肉の力強い旨みがしっかり残っていて、ねっとりとコクのある紅はるかとも調和しています。

イタリア産のパスタを温泉で湯がいています。あえて一般的な乾麺を使うことで、温泉の良質さと調理法の巧みさを感じます。味付けには鱧の下処理をする時だけ塩を使っていますが、それ以外は温泉由来の塩気に頼ったまさにサステナブルな一皿です。国東市産のオリーブオイルが華やかに香ります。
どの料理もシンプルだからこそ、ストレートに食材の良さや魅力が伝わりました。全国から飛行機を飛ばして食通が集まるという『Otto e Sette Oita』、ぜひ現地で味わいたいですね。
調査結果
大分県はそれぞれの地域で得意な農産物や海産物が異なる、とてもユニークな土地だそう。
(撮影・文◎亀井亜衣子)
●SHOP INFO
Otto e Sette Oita
住:大分県別府市井田2組 地図を見る
営:12:00~15:00 (L.O.14:00)、18:00~22:00 (L.O.20:00)
休:火、水曜