●大晦日の「年越しそば」に最もふさわしい乾麺の蕎麦はどれなのか? スーパーで買える8種類の乾麺を食べ比べてみた。
大晦日の恒例行事と言えば、何と言っても「年越しそば」。
筆者の場合、以前は蕎麦屋の生麺を購入していましたが、ここ数年はスーパーで乾麺の蕎麦を買うようにしています。どうしても正月の準備に追われて、遠くまで買い出しに行く時間が取れないんですよね。
スーパーの蕎麦コーナーにはたくさんの種類が並んでいて、そのいずれを食べてもだいたい美味しい。しかし毎年思うのが、「年越しそばとして最も美味しいのはどれなのか?」ということです。できれば、美味しいそばを食べながら年を越したいので、ハズレを引きたくないというのもあります。
ということで本記事では、手軽にスーパーで買えるそば(乾麺)を8種類ピックアップ。最強の一品を探すことに。対象の蕎麦は以下の通りです。
・山形のとびきりそば
・播州の糸
・五木食品 鴨だしそば
・滝沢更科 十割そば
・山本食品 特選そば
・木曽路御岳そば
・蕎麦通のそば
・滝沢更科 8割そば
ボリューミーで“蕎麦感”が強いガテン系|「山形のとびきりそば」(小川製麺所)

トップバッターは山形県にある明治創業の老舗企業・小川製麺所の「山形のとびきりそば」。スーパーでよく見かける乾蕎麦の一つです。
「山形のとびきそば」で特筆すべきは、そのボリューム! ひと束150gもあり、さらに太麺。なので丼ぶりに入れると、かなりみっちみちに収まります。もうこの時点でかなりの力強さを感じますね。
肝心の味は、見た目通り、田舎そばのような力強さを感じつつも、山芋が練り込まれているため、舌触りはなめらか。香りも良いです。すすっているとパワーがみなぎる気が。年越しもガッツリいきたい派の人におすすめです。
【評価】
手軽さ ★★★☆☆
ボリューム ★★★★★
香り ★★★★☆
味わい ★★★★★
総合 ★★★★☆
クリアで喉越しバツグンの爽やか系|「播州の糸」(マルツネ)

続いては、揖保乃糸を作るマルツネの蕎麦「播州の糸」。ゆでてみてビックリ。蕎麦なのに透き通っているのです。驚きました。箸でつかんで口に運ぶと、なんの滞りもなくツルンとのどを流れていきます。
喉越しは抜群な一方、“蕎麦感”はやや薄め。年越しそばというより日常的に食べたいと思わせる良い意味での軽さが魅力。大晦日に豪勢な夕食でお腹がパンパンな人には最適だと思います。
【評価】
手軽さ ★★★☆☆
ボリューム ★★☆☆☆
香り ★★☆☆☆
味わい ★★☆☆☆
総合 ★★☆☆☆
鴨の風味香るつゆが蕎麦に絡む佳品|「鴨だしそば」(五木食品)

熊本でラーメン・うどん・蕎麦などを手がける麺の総合メーカー・五木食品。九州の雄が手がけるのが、「鴨だしそば」。そばつゆも付いてきます。これは非常に嬉しいですね。
肝心の蕎麦は、12番角の極太そば。もっちり感満点で、すすると歯切れのいい食感を味わえました。鴨の風味が香るつゆも美味しく、蕎麦とマッチしているため、いくらでも食べられる味です。
【評価】
手軽さ ★★★★★
ボリューム ★★☆☆☆
香り ★★★☆☆
味わい ★★★☆☆
総合 ★★★☆☆
死角なしの旨さに脱帽&平伏|「滝沢更科 十割そば」(日清製粉ウェルナ)

「蕎麦の香りがすごい……!」
これが第一印象。ゆでている段階から、めちゃくちゃいい蕎麦であろうと予感させたのが、「滝沢更科 十割そば」。ゆでた後の鍋を見ると、お湯が完全に白濁していました。
いざ蕎麦をすすってみると、想像以上にウマし。豊かな香りが鼻を抜けて、蕎麦の旨味と風味が口の中に広がります。のど越しも歯ごたえもよし。食べた後の余韻も長く、食前から食後まで蕎麦の美味しさに浸ることができました。最高評価です!
【評価】
手軽さ ★★★★☆
ボリューム ★★★★★
香り ★★★★★
味わい ★★★★★
総合 ★★★★★
専用工場でつくられるこだわり十割そば|「特選そば」(山本食品)

続いて食べたのは、2連続となる十割そば。長野の蕎麦メーカー・山本食品が作る「特選そば」です。国内産そば粉100%使用し、なんと十割そば専用工場で造り上げるというこだわりようです。
実食してみると、これも「滝沢更科 十割そば」と同様、非常にそばの風味が強いです。そして蕎麦は太く、食感もごわっとしているおかげで、食べ応えも十分。ずずずっと食べていると強い甘みも感じられます。そばとしての総合的なクオリティが非常に高いと感じました。
【評価】
手軽さ ★★★★☆
ボリューム ★★★★★
香り ★★★★☆
味わい ★★★★★
総合 ★★★★☆
「乱れ織り製法」で手打ちそばのような食感|「木曽路御岳そば」(はくばく)

山梨の食品メーカー・はくばくが手掛ける「木曽路御岳そば」。太さの異なる3種類の麺は、表面に凸凹をつける「乱れ織り製法」というオリジナルの製法でつくられています。
不均一な長さがのおかげで、手打ち蕎麦を思わせる、みずみずしく新鮮な食感が楽しめました。ほんのりと上品な香りも心地よく、リッチな旨味を感じられるそばでした。
【評価】
手軽さ ★★★★☆
ボリューム ★★★★☆
香り ★★★★★
味わい ★★★★☆
総合 ★★★★☆
博多ラーメンのような細さが個性的|「蕎麦通のそば」(おびなた)

お次は、蕎麦どころ・長野県の会社・おびなたの「蕎麦通のそば」。ゆでる前に気づいたのが、博多ラーメンのような蕎麦の細さと色の白さ。これまで食べてきた蕎麦は太めが多かったので、どんな味なのか非常に楽しみです。
実際に食べてみると、そうめんのようなあっさりとした味で、のど越しが最高です。ボトルネックが一切なく喉奥に消えていきます。かなりすっきりしているので、年越しそばではなく、夏にざるそばにしてツルツルッと手繰るのがよさそうだと思いました。
【評価】
手軽さ ★★★☆☆
ボリューム ★★☆☆☆
香り ★☆☆☆☆
味わい ★★☆☆☆
総合 ★★☆☆☆
総合力に秀でた上品な味わい|「滝沢更科 八割そば」(日清製粉ウェルナ)

次に食べたのが、「滝沢更科 八割そば」です。4番目に食べた「滝沢更科 十割そば」が最高に旨かったので、こちらも期待できますね。
ゆでている最中、非常に心地いい蕎麦の香りに包まれました。うーん、十割と遜色ない香りに空腹が刺激されます。そば湯も白濁していて非常に濃いのも“十割”と同じです。
実際にすすってみると、プツッと切れる食感が気持ちよく、食べた後にそばの旨味が舌に長く残ります。八割そばなので、十割そばよりは“蕎麦感”は薄めですが、そのおかげで非常にすすりやすく、より上品な味わい。誰にでもおすすめできる逸品です。
【評価】
手軽さ ★★★★☆
ボリューム ★★★★☆
香り ★★★★★
味わい ★★★★☆
総合 ★★★★☆
まとめ

ということで、8種類のそばを食べ比べてきました。優勝は、圧倒的な強さで「滝沢更科 十割そば」に決定。もちろん、他の蕎麦もそれぞれ個性があって美味しかったのですが、頭2つ分ほど抜けていました。次点が、「山形のとびきそりそば」です。こちらは田舎そばのような食べ応えのある食感が、寒い大晦日の夜にぴったりだと思います。
(取材・文◎中たんぺい)