うどんのトッピングといえば、玉子や天ぷら、油揚げ、牛肉、山菜などが定番ですが、冒頭の写真をご覧ください。生のアボカドのスライスが、そのまま温かいうどんにのっています。
かけうどんに生のアボカドがのったこの「アボカドうどん」、東京・銀座の名物うどんの1つなんです。これを出しているのは、銀座7丁目にある『太常(だいつね)うどん 銀座本店』。

『太常うどん』の創業は2010年2月。比較的新しいお店だと思うかもしれませんが、実はその母体は、江戸時代から続く八百屋さん(卸業)。5代目の川北晃右さんが大のうどん好きで、自分が食べたいうどんを出したいと、この店をオープンしたんだそうです。

青果卸が本職となれば、当然、野菜や果物のプロ。だからこそ完成した「アボカドうどん」なんですね。とはいえ、その味はやはり体験してみないとわかりません。そこで実際に食べてきたので、その気になる味わいをご紹介したいと思います。
絶品「アボカドうどん」と野菜の天ぷらを実食!

平日のお昼、『太常うどん』に到着すると、外に行列ができていました。やはり人気店なんですね。しかし店の中を覗いてみると、ちらほら空席があります。

このお店、入店後にレーンに並んでまずベースのうどんを選び、それから好みの天ぷらをトッピングして、さらに進んでお会計をするシステム。いわゆるうどんチェーンと同じです。
うどんは「あつあつ」(薄口だしの温うどん)か「冷やし」(濃口醤油の冷やしうどん)から選ぶだけでOKですが、野菜の天ぷらが多種多様すぎて、選ぶのにみんな迷ってしまうのです。これがなかなか着席できない原因でした。

例えば、「みょうが」、「なす」、「かぼちゃ」、「いんげん」、「ごぼう」、「九条ネギ」、「ごぼうれんこん」、「かきあげ」、「アボカド」、「じゃんぼなめこ」……という感じで、八百屋さんだけあって、野菜の天ぷらの種類が非常に多い。そしてすべてが美味しそうなのです。
今回、筆者は名物メニュー「アボカドうどん」(750円)を食べに来たのでメニュー選びに迷うことはないハズでしたが、やはり天ぷらのコーナーの前にさしかかると、野菜天ぷらの魅力の前につい足が止まってしまいました。

結局、悩んだ挙げ句、「みょうが」、「かきあげ」、「ごぼうれんこん」の3つの天ぷらをチョイス。これらを「アボカドうどん」(あつあつ・750円)と一緒に食べることにしました。

名物の「アボカドうどん」は、普通盛りでもかなり多めです。そしてうどん1本1本が太め。
まずはつゆをひと口。関西風の薄味のつゆで、ダシがしっかり効いていて美味しい! このおつゆ、昆布や煮干し、鰹節や宗田節など多種多様な素材でとった出汁と、薄口醤油でつくっているそうです。

その優しいおつゆに沈む自家製うどんをすすってみると、フワッと小麦の香りが鼻を抜けていきます。食感は、讃岐うどんのようなコシの強さはないものの、モチモチとした弾力があって、つゆとの馴染みがとてもイイ!

そして主役であるアボカドをおつゆの底に沈め、時間が経ってから食べると、これがめちゃくちゃ美味しい。おつゆで温められて少し柔らかくなったアボカドは、舌の上でとろけるようななめらかさ。舌の上にじわじわとクリーミーなコクと甘みが広がっていきます。ここでうどんをひとすすり。麺ともよく絡んで、ものすごくウマい!

いや~、「アボカドうどん」が人気になった理由がよくわかります。そして、『太常うどん』の美味しさはアボカドだけではありません。そう、まだほかの野菜の天ぷらたちも控えているのです。

天ぷらはそのまま食べても、醤油をかけても、うどんに入れてもOK。カラリと揚がった「かきあげ」は、かじると玉ねぎの甘さが爆発! また「れんこんごぼう」も想像以上のシャキシャキ感で美味しいことこの上なし。

ちなみに、卓上に自家製唐辛子が置いてあるのですが、これが買って帰りたいと思うほど美味でした。これをうどんのおつゆや天ぷらにふりかけて食べると旨さが倍加します。

というわけで、青果卸が営むうどん屋さん『太常うどん』は超オススメです。銀座なのにリーズナブルだし、とにかく野菜の美味しさが格別でした。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:太常うどん 銀座本店
住:東京都中央区銀座7-15-17 だいつねビル1F
TEL:03-3541-2227
営:11:00~14:30(14:15LO)、17:00~21:00(20:30LO)
休:日曜