●「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこで、東京のB級グルメに精通する現役タクシー運転手・荒川治さんに、オススメのお店を教えてもらいました。
タクシードライバーの荒川です。今回はめちゃくちゃ美味しい洋食のお店を紹介したいと思います。
私は、B級グルメ、例えばラーメン、うどん、定食屋などが大好きですが、洋食、特にハンバーグには目がありません。未知の美味しい洋食屋さんの情報を仕入れると、その位置情報をしっかり頭にもスマホにも入れておきます。というのも、乗務中に近辺を通ることがあれば、休憩時間を利用してササッと食べようと思っているからです。
つまり私の都内道路マップには、美味しい洋食店やハンバーグ店のピンがあちこちに刺さっているわけです。そのピンの1つが、今回ご紹介する東京・西荻窪にあるステーキハウス『キッチン キャロット』です。
実はこのお店、銀座で乗せた西荻在住のお客さんに教えてもらったお店。ご自宅までお送りする際に、杉並区の美味しいお店について話に花が咲いたのですが、そのお客さんが「都内には美味しいハンバーグ屋がたくさんあるけど、僕は『キャロット』のハンバーグが一番ウマいと思う」とおっしゃったのです。
「あの店が美味しいよ」と言う人は多いですが、「一番ウマい」はなかなか聞ける言葉ではありません。すぐさま私の頭の地図にピンが突き刺さり、後日、さっそくその『キャロット』に行ったところ、大正解。今では休日にわざわざバイクを走らせて食べに行くくらい好きです。
というわけで、その『キャロット』の魅力をご紹介していきましょう。
『キッチン キャロット』はなぜウマいのか?
『キッチン キャロット』は西荻窪駅北口の「西友」を抜けた先にあります。レンガ造りの壁が目印の、街の小さな洋食屋さんといった感じのお店です。
メニューは、すべてライス・みそ汁付きの定食スタイル。おかずはハンバーグ、ステーキ、チキンソテー、クリームコロッケなど20種類ほどあります。
メニュー選びのポイントは、やっぱりハンバーグが入っている定食を選ぶこと。私は「ハンバーグ&クリームコロッケ」を選ぶことが多いですね。その時々のおなかの状態に応じてハンバーグ増量(300g、450g、600gのいずれか)も可能です。
あえてイチオシメニューを挙げるとするなら、“大人のお子様ランチ”とも言うべき「ステ盛りチキン」(2150円)でしょうか。1つの鉄板にステーキ、ハンバーグ、チキンソテー、クリームコロッケがのっており、おかずが盛りだくさん。これ一つで『キャロット』のメニューのほとんどを味わえるんですよ。
さて、主役のハンバーグはボールのような丸型で、濃厚なデミグラスソースがたっぷりかかっています。
空気の入り具合が絶妙で、柔らかく、しっとり、ふっくら。さらに牛肉とソースのダブルの濃厚な旨味で、正直、小躍りしたくなるほど美味しいです。
さらに、鉄板の真ん中にドカーンと鎮座するチキンソテーも素晴らしいんですよ。
鶏もも肉1枚を使ったチキンソテーは、カリッと焼き目のついた部分とプルンと柔らかい部分が共存しており、食べるととってもジューシー。酸味と甘味のバランスの良いトマトソースがめちゃくちゃ合います。
さらに赤身のステーキ。メニューには(牛とうがらしステーキ)と書いてあります。このとうがらしというのは唐辛子のことではありません。牛肉の肩甲骨あたりの赤身肉のことです。
握りこぶしほどある分厚い肉の塊をカットすると、中はピンク色のミディアムレアな焼き加減。
そしてこの“大人のお子様ランチ”の楽しみはこれだけではありません。チキンソテーの裏に、まだクリームコロッケが潜んでいるのです。薄衣でカリッと揚げられていて、中からとろ~りなめらかで濃厚なベシャメルソースが溢れ出します。
このほか、揚げたてのポテトフライやインゲンのソテー、スイートコーンなどの副菜もたくさんのっているのも嬉しいところ。ポテトフライはカリッ&ホクホク、インゲンの丁寧な茹で加減と塩加減などなど、どれもこれも丁寧に作られていることがよくわかります。
そして最後に。定食屋さんで欠かせないのがご飯とみそ汁の美味しさですよね。普通盛りで注文しても一般的なお店の大盛りくらいの量のごはんが登場します。そして絶妙な炊き加減のごはんも、ダシの効いた味噌汁も、パーフェクトにウマいです。
というわけで、タクシーのお客さんから教えてもらった『キッチン キャロット』。
●SHOP INFO
店名:キッチン キャロット
住:東京都杉並区西荻 3-13
TEL:03-3395-8989
営: 11:30~15:00、18:00~21:30(21:00LO )
※土日祝は11:30~21:30
休: 木曜
(撮影・文◎土原亜子)
●プロフィール
荒川 治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。