●使いながら災害に備えるローリングストックが注目されています。そこで、災害時に役立つ「普段使いのストックしておくべきもの」を料理研究家で防災士の資格を持つ島本美由紀さんに伺いました。

 大型台風などの自然災害に見舞われることが多くなっている昨今、防災の日もあったことから防災意識も高まっています。

 これまで何もしていなかったという人がまず手軽に始められることとは?

 今すぐにできる初めの一歩を、料理研究家で防災士の資格を持つ島本美由紀さんに伺いました。

【自宅避難の備え】便利で使い慣れたものを買い置きするクセをつけよう!

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”
普段から食べられるものなら常備しても無駄がない

 防災というと、テレビのニュースなどで見る避難所にいて自宅には帰れない光景を思い出しますが、それ以上に頻度も高く、誰もが遭遇する可能性が高いのが、台風やゲリラ豪雨、大雪など。自宅にはいられるものの電気や水道、ガスが止まってしまい、いつもの生活ができなくなる状況……まずは「自宅避難」に備えることから始めましょう。

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”
冷凍室にたくさん入っていると停電しても庫内温度をキープします
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自然解凍で食べられる冷凍サンドイッチ

 電気、ガス、水道の1つ、あるいは複数が使えなくなったとき、どうしたらいいでしょうか?

 直後なら冷蔵庫に残っているものを優先的に食べましょう。冷凍室はたくさん詰まっていたほうが停電時でも庫内の温度をキープしてくれます。冷凍食品だけでなく自分で作ったサンドイッチなども冷凍しておくと自然解凍で食べられるのでおすすめ。作り置きしておけば、普段はお弁当としても重宝します。

 市販の冷凍食品は、弁当用など自然解凍で食べられるものは加熱調理がいらないので災害時にも役立ちます。ただし時間が経てば溶けて日持ちがしなくなってしまうので早めに食べるようにしましょう。自宅避難期間が2日目以上になると、常温保存できる買い置き食材やちょっとした調理が必要になってきます。そんなときを想定して用意したいのがこちら。

【自宅避難の買い置き品】1.ラップ&フリーザーバッグ

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

 どこの家庭でも必ずあるラップは災害時にも多種多様な使い方ができます。食器に敷いて使えば食器が汚れないので洗わずに済みます。

それでも食器を洗う必要があるときは、丸めて食器洗いのスポンジ代わりにも。また、細長くすれば紐としても使え、油性マジックでメッセージを書けば伝言メモとして使えます。

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食器にラップを敷くことで洗い物を軽減。ラップを丸めてスポンジ代わりに使うことも

 フリーザーバックは防災グッズを小分け収納。袋が透明なので中が見えて取り出しやすいのがポイントです。しっかり封をすれば水の侵入を防ぐので、スマホの防水カバーにしたり、濡らしたくないものをしまったりするポーチとしても使えます。洗濯ができない時にフリーザーバッグを使えば、下着や靴下といった最低限の洗濯ができます。

【自宅避難の買い置き品】2.カセットコンロ

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

 カセットコンロは各家庭で1台は揃えておくべき防災アイテム。災害時でも温かいものを食べられると気持ちが落ち着くので熱源の確保が大切。ミニサイズなら卓上でスペースを取らず、コンパクトに収納可能。

 カセットコンロもガスボンベも寿命があるので、製造日を確認することも忘れずに。ちなみにカセットコンロの寿命は約10年、ボンベは約7年ですが、ずっとしまったままにしておくと、いざというときにうまく作動しなかったり、事故に繋がったりすることも。冬場に鍋料理を卓上で調理するなど、定期的に使用してボンベもローリングストックしましょう。ちなみにボンベ1本の燃料時間は60~90分です。

【自宅避難の買い置き品】3.アイラップ

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

 見た目は一般的なポリ袋と変わりませんが、冷凍も加熱もできる優れもの。一般的なポリ袋の耐熱温度が80~100度に対し、アイラップの耐熱温度は120度なので災害時の湯煎調理に使えます。

一つの鍋でお湯を沸かし、食材をアイラップに入れてまとめて鍋で加熱すれば、複数の料理が同時に作れます。カセットコンロの燃料や水の節約にもなり、災害時の洗い物も減らせます。ぜひ、カセットコンロと一緒に備えましょう!

まとめ買いや買い置きの延長線上にある「ローリングストック」のススメ

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

 数年前からよく耳にするようになった「ローリングストック」という言葉。日常的に使うもの、食べるものをちょっと多めにストックして、使ったり食べたりしたら買い足すという考え方で備蓄をしておくというものです。

 普段食べるために買っておき、食べたら買い足して常に買い置きがある状態にしておくというイメージ。そんなローリングストックにおすすめの食品がこちら。

【ストック】1.ロングライフ紙パック製品

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 最近注目されているのが、常温で長期保存ができるロングライフ紙パック製品。豆腐なら約6か月、牛乳なら約3か月常温で保存できます。

 豆腐はたんぱく質が豊富で醤油やポン酢、鰹節などをかけるだけなので手軽に調理でき、やわらかいので災害時に食欲がなくてもつるんといただけます。牛乳はそのままでも飲めるので、小さなお子さんがいる家庭にもおすすめ。ほかにも野菜ジュースや豆乳、最近ではコーンやカットトマトなどもロングライフ紙パック製品があります。紙パックなので災害時に出るごみもコンパクトに折りたためてかさばりません。

【ストック】2.ゆで時間の短いパスタやそうめん

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

 小鍋やフライパンで調理でき、短時間で茹でられるパスタとそうめんは、賞味期限が長いのでまとめ買いもしやすく、災害時にも便利です。短時間で茹でられるので、災害時は水や燃料の節約にも。

パスタは早ゆでできるもの(3分か5分)を選ぶのがポイント。レトルトのパスタソースなども合わせてストックしておきましょう。

【ストック】3.お湯を注ぐだけで食べられるご飯

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

 種類も増えてきたカップタイプやフリーズドライのご飯。お湯を注ぐだけで雑炊やリゾット、お茶漬けなどが食べられます。フリーズドライタイプは小さくてかさばらず、賞味期限も長いのでストックにぴったり。カップタイプは食べるときに食器が必要ないので便利です。

 辛いものやしょっぱいものは喉が渇くので水をたくさん飲みたくなり、トイレにも行きたくなるので、できればやさしい味わいのものをチョイスするといいでしょう。温かいものが食べられることも気持ちをホッとさせてくれます。

【ストック】3.肉や魚の缶詰や常温品

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

ブームにもなったサバ缶。骨までやわらかく煮込んであり良質なたんぱく質やビタミンD、青魚に含まれている健康成分も多く含まれているので栄養豊富です。そのまま食べられる焼き鳥缶もおすすめ。そのまま食べてもおいしく、缶を開けるだけでご飯のおかずになります。

 缶詰に比べると保存期間は短いですが、常温保存できるミートボールは袋からそのまま食器や箸がなくても食べられ、袋の上からミートボールを崩せばパスタソースにすることも。普段から食べ慣れた味を災害時にも食べられると安心できますよ!

【ストック】4.コーヒー、紅茶、日本茶

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”

 毎日飲んでいる飲み物も非常時に心を落ち着かせてくれ、コーヒーのカフェインは脳を活性化させ気分をリフレッシュする効果もあります。頻繁に飲む場合はノンカフェインのものを選んでも。

手軽に飲めるお湯を注ぐだけのインスタントや、紅茶や緑茶などもティーパックやパウダータイプを揃えておくと便利です。季節にもよりますが、避難時に温かい飲み物を飲んでホッと一息つく時間も大切です。

【ストック】5.キャンディやチョコレート

【保存版】普段使うもので災害に備える方法とは? プロが教える“常備したい防災グッズ&食品”
[食楽web]

 絶対に必要というわけではないですが、非常時に甘いものがあるとやはりホッとします。特別なものではなくていいので、キャンディやチョコレートなど常温である程度保存できるもの、自分の好きなものをストックしておきましょう。

まとめ

 いざという時に備えるものはいろいろありますが、まずは身近なものから。普段の生活の中でちょっと意識を変えるだけでも“備え”になります。食べることはどんな状況になっても大切なこと。今できることから始めてみてください。

(取材・文◎Ayako)

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