●一度はやってみたかった別府・鉄輪(かんなわ)温泉の「地獄蒸し」。温泉の蒸気を利用した蒸し料理は野菜やお肉はもちろん、ピザだって蒸せるんだ!

日本一の温泉県と言われる大分県。
その別府温泉の中でも、地獄めぐりなど人気スポットが多数ある「鉄輪温泉」は通りや建物などから、もうもうと湯煙が立ち上り、旅情をかき立ててくれると人気。町を歩けば、浴場や足湯などもあって散歩がとっても楽しい場所です。ここでぜひやってみたかったのが、地獄の蒸し料理! 名前だけだと何やら怖そうですが、豊富な温泉を利用して食材を蒸し上げるヘルシーな料理なんです。

鉄輪温泉は、明治から昭和に建てられたレトロな建物も多く、雰囲気も抜群。ここには8つの「地獄」があり、「別府地獄めぐり」ができる場所。地獄は真っ赤な池や眩いばかりの白、コバルトブルーなど温泉成分により異なったさまざまな色の源泉が見られます。ちなみに鉄輪温泉の住所は「別府市鉄輪字風呂本」といい、なんともお風呂への本気を感じます。
周辺にはたくさんの足湯や共同浴場があって、石段の道をタオル片手にぶらぶらと散歩するのが鉄輪温泉の楽しみ方です。

町を歩けばとにかく蒸気がいっぱい。旅館の煙突や共同浴場からはもちろん、道ばたからも蒸気が上ります。

温泉も楽しめる『地熱観光ラボ 縁間』の地獄の蒸し料理とは?

さあ、おまちかねの地獄の蒸し料理。やってきたのは、谷の湯通りにある『地熱観光ラボ 縁間(えんま)』。ここは敷地内から湧く源泉を利用して、地獄蒸し、足湯、温泉染め体験、貸切温泉など、さまざまな地熱体験ができる施設です。

メインダイニングは、なんと足湯付きの足湯テーブル。のんびりと足湯に浸かりながら、地獄の蒸し料理が楽しめるという仕掛けです。テーブルは屋外の中庭にありますが、冬場でも足湯に浸かればポカポカで、寒さはほとんど気になりません。

地獄蒸し料理は豊富な食材が味わえて楽しい!

入店したら、まずは受付カウンターへ。券売機には、地獄蒸し体験はもちろん、さまざまな地熱体験のメニューがあります。地獄蒸しの料理をオーダーするなら、蒸し釜使用料500円を購入、これで施設内のかまどを使用できます。
その後は、食べたい食材を選びスタッフにチケットを渡せばOK。蒸し料理のメニューは、肉や魚、野菜に加え、地獄の豆腐やしゃぶしゃぶ、プリン、そしてピザと豊富に揃うので、どれにするか大いに迷いましょう!


今回オーダーしたのは、豚バラと野菜盛り、そして海鮮ピザ。肉、魚、野菜は想像できましたが、ピザとはちょっと驚き!

地獄蒸しは、自分でかまどに入れる「体験タイプ」と、スタッフに「お任せ」の2つのタイプがありますが、せっかくなので体験タイプを選択。食材が揃ったらかまどに呼んでくれます。
温泉噴気のかまどで調理する「地獄蒸し」に挑戦!

さあ、食材が揃い調理していきます。調理と言っても食材をかまどに入れるだけ。だけどとっても楽しい! 蒸気の勢いがすごく、前が見えない状況にテンションが上がります。食材を入れたらあとはお任せ、時間になったら呼んでくれます。しかし、ピザを水蒸気で調理するとは。水っぽくならないのかと少々心配です。

豚バラは2分の蒸し時間とすぐに仕上がり、付属の調味料のポン酢でいただきます。熱々の豚バラとポン酢が美味くないはずはない!続いてピザが出てきました。見た目に水っぽさはなく、ふっくらと仕上がっています。食べてみると生地があまりにモチモチなので、米粉なのかと聞いてみると、小麦粉を使用しているとのこと。これが温泉の蒸気の効果なのか。


それにしても、ただ蒸しているだけなのに全ての料理が抜群に美味しいのはなぜなのでしょうか? そんな疑問をスタッフの安部さんに聞いてみると、「高温、短時間で調理することで、旨味がギュッと閉じ込められるんです」とのこと。何も調味料をつけなくても、ほんのりと塩味を感じるのも温泉の効果なのだとか。

温泉噴気のかまどで調理する地獄蒸しは、長期滞在の湯治客の自炊で利用したもの。今では鉄輪温泉の郷土料理になっています。噴き上げる蒸気のかまどは大迫力で、料理ですが同時にアクティビティーの要素も兼ね備えています。食材は手頃な価格なので、色々と試せるのがいい。地獄蒸し料理を楽しんだ後は、貸切温泉や伝統工芸の体験(要事前予約)もできるので、あわせてのんびり過ごせる施設でした。
●SHOP INFO

店名:地熱観光ラボ 縁間
住:大分県別府市鉄輪字風呂本228−1
TEL:0977-75-9592
営:10:00~22:00
休:不定休
https://enma-ch.com
●著者プロフィール
矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国、ウラジオストクなどのフォトガイドブックを執筆。近著は『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。