●昭和の時代、家庭でパンやケーキを焼くために生まれた南部鉄器のパン焼器「タミパン」が優秀!素朴でおいしいココアケーキが出来上がりました。

実家の蔵からお宝を見つけた

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ
「タミさんのパン焼器ミニ」※こちらのタイプは廃盤

 年末に実家の片づけをしていた時に出てきた南部鉄器と書かれた箱。中には、「タミさんのパン焼器」と書かれた鍋が出てきました。

 小ぶりなサイズですが、鉄器のどしっとした重みが歴史を感じさせる品で、一目で気に入りました。どうやらいただきものだったそうで、オーブンレンジを使っていたためか、ほとんど出番がなかったのだとか。

現代には、便利なオーブンやホームベーカリーもあるけど

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ

 このタミさんというのは一体何者なのか。この鍋の生みの親であり、南部鉄器の老舗『及源鋳造株式会社』の社長のおばあさま、近江タミ子さんのこと。パンが一般的ではなかった時代にジュラルミン製のパン焼器との出会いをきっかけに、同社で復刻したのが、「タミさんのパン焼器」なのです。

 著者が持っているものは廃盤になっていて、現在はIH対応の商品と、従来のガスコンロで使うタイプの2種類を販売しています。1999年以来、愛され続けているお道具なのです。

 こちらで優しい甘さのココアケーキを作ることにしました。

外側はカリっと、中はふっくらと焼きあがる

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ
ボウルに材料をすべて入れて混ぜ合わせる

 ガスコンロの直火でふっくらパンを焼くことができる、この鉄鍋。シンプルながらよく考えられた品です。

 使う前に油ならしをしてから、ココアケーキを焼くことにしました。小麦粉140g、卵1個、牛乳100ml、純ココア大さじ2、砂糖大さじ2、ベーキングパウダー小さじ1、バニラエッセンス数滴をボウルでぐるぐる混ぜ合わせます。

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ
鉄鍋の底と側面にバターを塗り、生地を流し込みました。

 本当にこれで焼けるのか。

一抹の不安を感じつつ、ふたをして、ごく弱火にかけて20分。

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ
5分経過後、どうなっているか心配でふたを開けると膨らんでいました!

 よし、大丈夫。ふたをし直して、あとは時間いっぱいそばで見守るだけ。好きな本を片手に、イスに座りながら。なんともいい時間です。

 途中からココアの良い香りが漂い、蒸気がふたの隙間から漏れるような音もしてきました。焼き上がりまで、もう少し。

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ
20分たったら火を消して、天地返し。天面が焼けたら、ぱかっと鍋を外します

 鍋をひっくり返すときにドキドキしましたが、これもまたこの鍋の面白さ。ふっくら焼きあがっていて、包丁を入れると側面はカリっと良い音がしました。

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ
仕上げにチョコソースをかけたら、なんとも素朴で、やさしい味

 オーブンで焼くよりも、カリっとして、中はふっくらと仕上がりました。この鍋でフランスパンやリュスティックを焼いたら、すごくおいしく作れそう! 次は何を作ろうか楽しみになる鍋です。

一生モノの鍋。昭和のパン焼器「タミさんの焼器」で焼いた、懐かしく素朴なココアケーキ
[食楽web]

 お手入れは一般的な鉄鍋と変わらず、洗う時は洗剤ではなくお湯を使い、洗ったあとは水分を飛ばし、油を薄くなじませておく。

ちゃんと手入れすれば長く使えますし、良き相棒になってくれるでしょう。

(撮影・文◎亀井亜衣子)

●DATA
OIGEN「タミさんのパン焼器」
https://shop.oigen.jp/?mode=grp&gid=1795136

編集部おすすめ