ゆったりとくつろげる空間で、杯を傾けながら、本を読み耽る。大人ならではの贅沢で幸福なひと時ですよね。
2017年11月にオープンした『Know by moto』がそれです。『Know by moto』は、『日本酒 スタンド 酉元(本来は1つの漢字。酉偏に元/以下同じ)』や『GEM by moto』など日本酒好きを唸らせる人気店を多く手がける酉元グループのお店です。

場所は新宿駅東口から徒歩1分という好立地で、ビル全体がリニューアルしたTSUTAYAビルA館地下1階。ビルの4F~6Fには24時間営業の『TSUTAYA BOOK APARTMENT(ツタヤ ブック アパートメント)』が、3階には新宿エリアで最大級のBOOK&CAFE(185席)のスターバックスコーヒーが入り、ビル全体が“本”をキーワードにした店の作りになっています。
本と日本酒に囲まれた大人のくつろぎ空間

階段を下り地下1階に到着すると、まず目に飛び込んでくるのが、大きな書棚。この書棚にはTSUTAYA BOOK APARTMENTが選書した日本酒にまつわる本が収納され、お酒を飲みながら好きな本を自由に手にとって読むことができます。なんとも贅沢ですよね。

ちなみに店名の『Know by moto』は、専門性が高いと思われている日本酒の敷居を下げ、初めての人も一緒に勉強して日本酒の知識(Know)を身につけていきましょう、というお店のコンセプトからつけられたそう。その名の通り、日本酒の知識が身につく本がたくさん揃っています。
ジャンルは日本酒のガイド本や日本酒を特集した雑誌、日本酒をテーマにした小説やエッセイなど幅広く揃います。もちろん手にとって読むだけでなく、購入も可能です。

木の温かみを感じられるシックな店内の真ん中には、なんと暖炉が。これはゆらめく炎にはリラックス効果があることに加え、シンプルな空間の中に一つ、目の焦点を合わせるポイントを設けることで、ゆったりくつろげるようになるからなんだそう。照明も読書に差し支えない程度の明るさがありながらも、若干ライトダウンされており、大都会新宿の喧騒を感じさせない落ち着いた空間になっています。

店内には中央の大きなテーブル席のほか、カウンター席、4~6人がけのテーブル席も完備。お一人様利用からグループ利用まで幅広いシーンで活躍しそうです。
全国から厳選した日本酒を常時約120種用意!

日本酒は全国からバランスよく厳選したものを常時約120種類用意。お客の好みに合わせセレクトし、冷、常温、燗酒などそのお酒に合った温度で提供してくれます。また、少しずつたくさんの種類を味わえるよう、65mlや120mlでの注文も可能。リーズナブルなものだと65mlで300円という日本酒もあるので、カフェ感覚で気軽に美味しい日本酒を味わえるのも嬉しいポイントです。

冷酒に使う酒器は、草花が描かれた小ぶりのグラスを使用。日本酒をより楽しんでもらえるよう、酒器や料理の器にもこだわっているそうです。
お店のイチオシ料理は「なめろう」

日本酒と本がテーマのお店ですが、料理のラインナップが豊富で、どれも手が込んでいるのがこのお店のもう一つの魅力。『日本酒 スタンド 酉元』で経験を積んだ料理長の天野直生さんによれば「奇をてらったものではなく、お酒に合うシンプルな料理を心がけています。見せ方や食べ方を工夫することで、料理の美味しさだけでなく楽しいという体験も提供できれば」とのこと。
中でもお店イチオシだというのが木グラスを器にしてパフェ状に盛り付けられた「なめろう」(580円)です。取材した日は旬のブリを「なめろう」でいただきました。
魚を、粘り気が出るほど細かく叩いて仕上げるのが一般的な「なめろう」ですが、同店では刺身のような食感も楽しんでほしいとブツ切りで調理。味噌の味付けも控えめで、代わりに酢味噌を少し加えることで、ブリ本来の味を楽しむことができるうえ、チーズのような深い旨みも感じさせてくれます。
また、パフェのような盛り付けにも秘密が。通常は薬味と混ぜて食べるのが一般的な「なめろう」ですが「次の料理への口直しのために、薬味は最後に食べて欲しい」という考えから、器の底にカイワレ大根やミョウガなどの薬味を敷く盛り付けにしたのだそう。

「なめろう」に合うお酒として紹介してくれたのは「純米吟醸 萩乃露」。山田錦の母株である山田穂を使用しており、やさしい甘さとやわらかさがありながらも、しっかりと深い味わい。「なめろう」と合わせることで、さらにコクが深まります。
驚きのビジュアルの「土サラダ」はお酒のアテにピッタリ!

『日本酒 スタンド 酉元』時代からバージョンを更新しながら提供されていた人気メニューがこちらの「土サラダ~土を食べるサラダ~」(580円)。なんとも驚きのビジュアルですが、土部分は黒糖コーンにピーナッツ、黒ゴマ、塩昆布を細かくして混ぜ合わせ、仕上げに味噌を加えて仕上げられています。
上に乗っている野菜は、酸味の効いたグラパラリーフや、葉っぱがつぶつぶしていてジューシーな味わいが面白いアイスプラントなど日本酒との組み合わせを意識したラインナップ。
見た目は奇抜ですが、味わいはなじみ深く、甘塩っぱくて食感も楽しい一品。
このサラダに合わせるのは、純米吟醸の「花見ロ万」。その名の通り、ふわりとほどける華やかな香りと後半にかけて感じられる甘さが特徴的でした。
旬食材を使ったおつまみメニューも充実!

また、旬の食材を使ったおつまみメニューもこのお店の魅力。例えば、旬のホタルイカや菜の花を使った「カマンベールチーズと蛍烏賊のアヒージョ」(980円)。合わせる日本酒は「川鶴 純米吟醸 限定生原酒 雄町」です。雄町米ならではのどっしりとした旨み、フルーティな味わい、華やかな香りが特徴的です。
アヒージョはホタルイカの塩気のみで味付けはしておらず、食感を活かすため菜の花は30秒ほど湯がく程度。ホタルイカの香ばしさと塩気、そして菜の花の苦味がフルーティーな川鶴と相性抜群。苦味、甘味、塩味と春らしい味のマリアージュが楽しめました。
日本酒に「フルーツサンド」?! 大人のスイーツタイムにうっとり

最後のデザートに登場したのは、なんと「フルーツサンド」! 本を読みながらお酒と食事を楽しむ人が多いので、ハンバーガーやサンドウィッチなど片手で食べられるメニューも人気があるそうで、中でも女性には見た目も美しいこの「フルーツサンド」が評判なんだとか。
注文を受けてから作るという「フルーツサンド」にはラズベリーやブルーベリーなどのベリー系フルーツを使用し、日本酒に合うよう生クリームにマスカルポーネチーズを合わせた特製クリームでサンドしています。オススメの日本酒として紹介してくれたのは「Afruge No.1 2015」。
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営業時間は午前11時~夜11時までの通し営業。なんと午前中からお酒が飲めて本も読めてしまうという、お酒好きにはたまらない空間です。平日限定でランチセットも提供しているので、ディナータイムだけでなく、ちょっとしたカフェ利用やランチ利用、仕事帰りのちょい飲みや、飲み会後のもう一軒にもピッタリ。読書と日本酒という大人ならではの贅沢な楽しみを、思う存分満喫してみてはいかがでしょうか?
(取材・文◎中森りほ)
●SHOP INFO

店名:Know by moto
住:東京都新宿区新宿3-26-14 新宿TSUTAYAビルA館B1F
TEL:03-3225-7788
営:11:00~23:00
休:不定休
http://www.fsknet.co.jp/impression/know_by_moto.php