名古屋屈指の繁華街、栄エリア。この栄エリアをさらに東南へ進み、空港線を越えた先にあるのが新栄エリアです。

しかし、この怪しげに感じるエリアこそが、筆者的にはやけに興味をそそられるところ。名古屋に長期滞在した際に、朝の散歩を兼ねて何か美味しいものがないかと行ってみることにしました。
栄エリアで働く中国人向けのガチ中華店

空港線沿いには複数のガチ中華店が並んでいます。「読めない漢字」や「中国語」が並んでいることから、おそらくは栄界隈で働く中国人向けに出されている店なのでしょう。ただし、幹線道路沿いということもあり、これらは比較的日本人でも入りやすそうです。

「ガチを超えるガチな店はないだろうか」と、さらに新栄の奥に進んでみることにしました。朝方ということもあり、付近に人影は少ないものの、どことなくアジアの朝の街並みのようで、なんとなく緊張感を持ちながら歩きます。

その静かな新栄の片隅に、「まず日本人客はいないだろう」と思しき店を見つけました。その名は『柏味(ハクミ)食堂』。スナックの居抜きのような奥まった店構えに少々ビビりながらも入ってみることにしました。
中国の定番朝食をいただける『柏味食堂』

入店すると、店員さんが中国語で話しかけてきました。筆者は中国語がほんの少し喋れるので「日本人だ」と話すと、店員さんは「あぁ」と、ことさら驚きもせず、朝食メニューをドンと置いて行きました。

メニューも読めない漢字ばかりでは? とやや不安に思っていましたが、メニューは日本語表記もあり、オーダーに苦労はありませんでした。
ここでラインナップされているのは中国の朝食の定番メニューばかりで、「本来の日本にはない味」を楽しめるはずだとテンションが上がります。

ここで筆者がオーダーしたのはピータン粥(490円)、揚げパン(140円)、塩漬けの鴨玉子(100円)。いずれも中国のど定番朝食メニュー。さて、どんな味わいを楽しませてくれるのでしょうか。
粥に揚げパンを浸していただく中華式朝食

オーダーしたメニューが1分もかからず、ドーンとテーブルにサーブされました。店員さんの愛想はゼロですが、ここはもはや日本ではなく中国です。さほど不愉快な気分にはなりません。

さっそくピータン粥からいただきました。さっぱりしていながらも、滋味深く優しい味わいで、朝の胃袋にはピッタリ。細かく刻まれたピータン、かぼちゃなどの食感も楽しく、いくらでも啜ることができそうな美味しさです。
ここで中国式に揚げパンをお粥につけていただくと、これがまた美味。カリッと香ばしく揚げられた揚げパンにしっとり絡まるお粥もまたなんとも美味です。
塩漬け鴨玉子も、塩味補強のアクセントとなり、「ガチ中華の朝食スタイル」はなかなかに洗練されていると実感しました。
名古屋滞在のアクセントになるガチ中華式朝食

ここ『柏味食堂』に来店中、日本人客が訪れることはなく、当然筆者もカタコトの中国語しか話しませんでしたが、後で知ったところでは、日本語対応可能で、そう多くはないものの日本人客も気軽に訪れているお店でもあるようです。
名古屋の朝食と言えば、喫茶店のモーニングが有名ですが、長期滞在の場合こればかりだとちょっと飽きてしまうのも正直なところ。
ときには、観光ガイドでは積極的に紹介されない新栄のようなディープエリアを巡り、今回のような「ガチを超えるガチな店」で朝食を楽しむのも良いアクセントになります。ちなみに『柏味食堂』は朝6時からオープン。早起きさえすれば、名古屋を後にする日の朝にも気軽に利用することができるでしょう。
(取材・文◎松田義人(deco)))
●SHOP INFO

柏味食堂
住:愛知県名古屋市中区新栄1-12-5 New Chateau 静
TEL:052-717-306
営:6:00 - 17:00
休:火