皆さんの旅の目的地はどこでしょう?

「大阪・関西万博」を訪れ、少し足を延ばして和歌山県を旅するなら、世界遺産の熊野古道や熊野那智大社、那智の滝を巡る体験だったり、南紀白浜の美しい海岸だったり、和歌山だけでしか味わえないグルメだったり。

 大人になると、旅の目的地を普段体験できないような癒しの「宿」に求めるのも、忘れ難い思い出になるものですね。

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
上空から見た『碧き島の宿 熊野別邸 中の島』 [食楽web]

 今回訪れた『碧き島の宿 熊野別邸 中の島』はここに滞在するだけで、ゆったりと流れる時間の中、その土地の魅力を存分に体験できる宿でした。

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
ホテル専用の船に乗って宿へ向かう優雅さが魅力。下は船内の様子

 四方を海で囲まれた、中の島という島に一つしかないこちらの旅館は、JR紀勢本線紀伊勝浦駅から徒歩7分、勝浦港の観光桟橋より専用船で向かいます。

 船上からは、紺碧の海に浮かぶ大小様々な島。その奥には絶景スポットとして知られる「紀の松島」もあります。旅の醍醐味を感じられるおよそ5分の船旅に心が弾みつつ、安らかな気持ちが満ちていきました。

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
南紀随一の景勝地「紀の松島」は、遊覧船でも巡れるので合わせて楽しむのもおすすめ

温泉、地産グルメ、絶景…和モダンなリゾートには最高の旅体験が詰まっていた

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ

 船がついたのは美しい海と島の緑に包まれた温泉宿。この地で愛されてきた「ホテル中の島」が高級和風リゾートとして生まれ変わった『熊野別邸 中の島』は、新しいながらも伝統を感じさせる落ち着きある佇まいでした。

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
ラウンジ磐座。コーヒーやおもてなしのドリンク、おやつなどが楽しめる

 エントランスを抜けると受付の向かいに、心地いいラウンジが出迎えてくれます。ラウンジは宿の顔のひとつ。一歩足を踏み入れ、別世界を感じさせる優雅な空間が広がっていると、いい宿だなあとしみじみと感じるもの。まずはお部屋に向かって荷を下ろしたあと、ここでゆっくりするもよし。温泉に浸かってから、お食事の後にくつろぐのも一興です。

オーシャンビューの客室の静寂に癒される

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海と島を望む10畳の客室。夕陽の眺める時間も愛おしい

 この日泊まったのは、「潮聞亭」の10畳の和室。部屋に入った瞬間に目に飛び込むオーシャンビューの景観は、島の緑とともにマイナスイオンが感じられる美しさ。

筆者は窓際の広縁がある宿がとっても好きなのです。この空間で景色を眺めながら、お茶やお酒を嗜むひとときの尊さったら。「なんて気持ちいいところ。来てよかったなあ」

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全客室露天風呂付きの新館「凪の抄」は和モダンな装い

絶景風呂全国1位の露天風呂! 波音を聞きながら源泉掛け流し天然温泉へ

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写真は露天風呂「紀州潮聞之湯」。大浴場や露天風呂は入替制、露天風呂には湯浴み着もあり。入浴時間は15:00〜24:00、6:00〜10:00。写真提供:熊野別邸 中の島

 このお宿の楽しみ方は、忙しない日常から抜け出す開放感とご当地グルメにどっぷりと浸り、癒されること。お部屋でくつろいだあとは、島を巡る散策路を歩いて島の景色を眺めたり(後でご紹介しますね)、宿自慢の掛け流し天然温泉で日常を洗い流しましょう。

 実はこちらの天然温泉、NIKKEIプラス1のなんでもランキング「絶景風呂 空も海も一つに」で第1位に選ばれるほどの絶景。宿泊客でごった返すこともなく、露天風呂は海と繋がっているような圧倒的ロケーション。波音を聞き、ほんのり硫黄の香りがする優しい天然温泉に浸かる贅沢にため息……。美肌効果や保湿効果の高い温泉なので、朝風呂もたっぷりと楽しむとしましょう。

夕食は聖地・熊野の食材を存分に味わう割烹料理を

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ

 すっかり温泉に癒された身体が欲するのは、旬の地元食材を使った体に染み入る料理。ダイニングへ続く伸びやかな通路を歩みながら、どんな料理に出会えるのかなと心が躍ります。いざ、聖地・熊野のこだわり食材を使った割烹へ!

生まぐろ、ブランド牛、熊野の奉納米。おもてなしを感じる地産地消の料理たち

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
8種類の前菜がのった「八咫烏の導き」

 聖地「熊野」が近いこともあり、熊野の食材を存分に使いながら、この宿ならではの割烹料理に仕立てています。それはこの地に来たからこそ味わえる海の幸あり、郷土料理あり。

 この日いただいたのは、「熊野絢爛割烹 白龍 極」。最初に運ばれてきたのは、前菜が散りばめられた「八咫烏の導き」。訪れたのは4月だったので春の旬の食材もたっぷり。菜の花と湯葉のお浸し近大イクラ添え、桜鯛柏の葉寿司、独活白煮近代キャビア添え、鹿尾菜の白和え。おもてなしを感じる、目でも楽しい一品一品に心が弾み、お酒も進みます。

和歌山はやっぱり魚介がおいしい!

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
上:「桜びんちょう鮪と鰆のしゃぶしゃぶ」、下:「伊勢海老 本日の熊野灘、枯木灘で獲れた鮮魚」

 お刺身にしゃぶしゃぶ、海老のフライ、お寿司……。様々な形で提供される魚介類がやっぱり、新鮮で美味! 特に感動したのは、「桜びんちょう鮪と鰆のしゃぶしゃぶ」。魚の旨味を残しつつもさっぱりと味わえ、身はほろりと柔らかい。大人になるとこういうシンプルなおいしさに感動するものです。

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
上:熊野海老のフライ。左奥は鮑炭煮麺、右奥は熊野牛の野田焼き、下:ごはんの最後には和歌山の名物、ケンケン鰹の桜海苔巻も。結びの神米を使用。豪華な「伊勢海老の合わせ味噌仕立て」と一緒に

 旬のお野菜、勝浦の名物・生まぐろにケンケン鰹、ブランド和牛に熊野の奉納米……料理人の技が光った他では味わえない一皿一皿で、気づけば食べたかった和歌山の味覚を丸ごと体験することができました。これこそ、お宿のごはんの魅力そのものですよね。

清々しい朝風呂、自然散策、和の朝食。宿の朝がまたいい

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
山上遊歩道。見晴し台や足湯スポットも

 朝は島の尾根沿いにある全長450mの山上遊歩道へ。


 森の中のような道を澄んだ空気を吸いながら、四季折々の草花を眺めることができます。途中、見晴らし台から紀の松島や熊野灘を見渡せる太平洋の景観は、旅情をかき立ててくれます。

いい宿はモーニングも絶品です

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
ビュッフェコーナーにはご当地パンや紀州名物、梅干しの食べ比べなども

 遊歩道を歩き、朝風呂を堪能したおなかはペコペコ。筆者のいい宿ポイントの一つが、モーニングの素晴らしさなのですが、こちらの工夫を凝らした和モーニングに大満足! 日本の食が世界中に旅人に愛される理由がよくわかる内容でした。

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
行き帰りには和やかなスタッフがお出迎え。

 日常の喧騒から離れて……とよく言いますが、いつもと異なる時間がゆったりと流れる、一島一旅館の宿『熊野別邸 中の島』。島の中にいながら、和歌山の素晴らしさに取り憑かれる宿でした。

【周辺観光】一度は訪れたい聖地・熊野へ。世界遺産の熊野那智大社と那智の滝

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
こちらの御本殿は国指定重要文化財

『熊野別邸 中の島』を訪れたらぜひ、和歌山観光も楽しみたいですよね。お宿からもアクセスしやすい和歌山最大の観光スポットは、聖地・熊野。

「熊野那智大社」は熊野速玉大社・熊野本宮大社、那智山青岸渡寺とともに熊野三山と呼ばれています。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にも登録され、世界中から聖地巡礼やトレッキングを楽しむ観光客が訪れています。

一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
熊野の山々を見渡す絶景をゆったりと眺めるひとときも格別です
一島一旅館だけの大人の旅へ。船で行く孤島の宿『熊野別邸 中の島』(和歌山)で体験した絶景・名湯・絶品グルメ
那智の滝

 熊野那智大社の別宮・飛瀧神社の御神体として崇められている「那智の滝」もお見逃しなく。那智大滝は「一の滝」とも呼ばれており、落差133mで日本一の名瀑として知られています。

熊野の山から流れ落ちるその圧巻の姿は、心の澱みまで洗い流されるよう。

 和歌山の魅力を丸ごと感じられる宿とグルメ、観光スポット……この地だけの大人の旅へぜひお出かけください。

◎熊野観光情報を合わせてチェック!
https://www.wakayama-kanko.or.jp/features/kumano_area

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●DATA
碧き島の宿 熊野別邸 中の島

住:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1179-9
TEL:0735-52-1111
https://kb-nakanoshima.jp/

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