簡単そうに見えて、こだわればこだわるほど難しいのがチャーハンづくり。ごはんと具材を炒めるだけの料理なのに、お店で食べるチャーハンとの違いに一喜一憂……。

レストラン級のチャーハンを目指し、日々、試行錯誤している人も多いと思います。

 しかし、あるチャーハン好きに言わせると「名店を食べ歩いてわかったことは、チャーハンには正解がないし、店の味を家で出すのは至難の業なので、家で作るのは“焼き飯”と割り切って、おとなしくお店に食べに行ったほうがいい」とのこと。

 その言葉に従い、そのチャーハンマニアが教えてくれたお店を食べに行こうというのが本記事の主旨です。そのチャーハン好きは、都内のフィットネスジムでトレーナーとして働く秋山龍栄さん(仮名・43歳)さん。都内でチャーハンがおいしいと言われる店はほぼ制覇し、さらに有名店のチャーハンを家で再現までするガチ勢。

 そんな秋山さんが今回オススメしてくれたのは、秋山さんが脱サラ前に勤務していた会社の近くにあった新橋の町中華『三陽』さんです。

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?
新橋駅から徒歩5分ほどの場所にある『三陽』

 秋山さんいわく、「ここのチャーシューチャーハンは、想像の斜め上を行く他ではあまりないタイプ。めちゃくちゃ旨いんですよ」とのこと。ではさっそくその『三陽』さんのチャーハンを紹介していきましょう。

チャーシューを色々な角度から楽しめる!

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?
『三陽』の「チャーシューチャーハン」(スープ付き)950円

 新橋といえば、今も昔もサラリーマンの街。会社員たちのために、路面店、ビル内に飲食店がひしめいています。そんな新橋で会社勤めをしていた秋山さんは、その頃からチャーハンを食べ歩いていたそうです。

今回、『三陽』さんの「チャーシューチャーハン」を推す理由を聞いてみました。

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?
新橋駅烏森口から徒歩5分ほどの路地裏にある『三陽』

――『三陽』さんはどんなお店ですか?
「新橋駅の烏森口を出て烏森通りを進んだ路地裏にある、創業1982年の老舗の町中華屋さんです。新橋は、名店と言われる高級中華料理屋さんや、それこそチャーハン専門店もあるので色々食べ歩きましたが、僕がサラリーマン時代、特によく通ったのがこの『三陽』さんでした。

――ジャンルとしては町中華なんですね。
「そうですね。町中華なので色々なメニューがあり、僕の上司はここのタンメンが好きだったし、同僚はオムライスを頼んでいたり……みんなそれぞれ好きなメニューがあったと思います。もちろん、僕はチャーハンです!(笑)」

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?
種類豊富な『三陽』のメニュー

――やっぱり(笑)。チャーハンに種類はあるんですか?
「ベーシックなのは〈チャーハン〉(700円)ですが、〈チャーシューチャーハン〉(950円)というのもあって、僕はそればかり食べていました。ぶ厚いチャーシューが3枚、チャーハンの上にどかんとのってるんですよ。さらにその上にメンマやほうれん草といったトッピングも」

――“チャーシューチャーハン”というと、角切りのチャーシューがゴロゴロとのってるイメージですが、チャーシューがそのまま添えられてるのは珍しいかもしれませんね。なんだか、チューシュー麺のような感じも……
「そう! まさにチャーシュー麺のトッピングみたいでしょ。でも大きな違いとして、チャーシュー麺は汁(スープ)がありますが、チャーハンには汁がないわけです。

つまりこの場合のチャーシューは汁を吸わない。だからこそ、面白い部分もあるんですよ」

――どういうことでしょう?
「最初はこのチャーシュー、ひんやり冷たいんです。だから、ハムを食べているよう感じ。でも熱々のチャーハンにのっているので、時間の経過とともにチャーシューにチャーハンの熱が伝わって、脂部分がトロンとしてきて、肉もどんどん柔らかくなってくるんです。イメージとしては、前菜の冷たいハムを食べた後、温かいメインの肉を食べるみたいな感じです。この変化がとても面白いんです」

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?
チャーシューにチャーハンの熱が移り、時間の経過とともにどんどん柔らかくなってくるチャーシュー

――なるほど、チャーシュー麺はスープを吸って柔らかくなりますが、このチャーシューチャーハンの場合、ご飯の熱で柔らかくなるんですね。
「その通りです。そして、このチャーシューは醤油で甘辛く煮込んだタイプではなく、昔ながらのあっさりした味わい。味の濃いチャーハンと一緒に食べるとちょうど良い塩梅になります。別に付いてくるスープに浸してもおいしい。まさにチャーシューを色々な角度から楽しめるチャーハンなんですよ」

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?
しっかりしたご飯粒で、ふっくら。

――深いですね~。では、肝心のチャーハン自体はどんな味ですか?
「ここのチャーハンはしっとりタイプです。

でもごはん自体、粒立ち感はしっかりしているので、噛むと食感がしっかり感じられます。そしてラードがしっかり効いていて旨味が濃い。この濃さがあっさりチャーシューとピッタリ合うんです」

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?
大きくて分厚いチャーシューがのっていて、なんだか嬉しくなります

 というわけで後日、筆者も『三陽』さんに行ってきました。お店はカウンター7席とテーブル3つの小さなお店。カウンターではご年配の男性お二人が切り盛りしていました。

 2人の連携で手際よく完成した「チャーシューチャーハン」。いただいてみると、確かに最初は冷製チャーシューで、次第に温製チャーシューになる。その変化がとても楽しく、またチャーハンとの相性も最高でした。

 ぜひ、皆さんも、『三陽』さんの「チャーシューチャーハン」を食べてみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

東京の炒飯マニアが激推しする新橋の町中華『三陽』の「チャーシューチャーハン」の魅力とは?

三陽

住:東京都港区新橋2-13-4
TEL:03-3591-5957
営:11:00~15:00(火のみ~14:30)、17:00~22:30
  土11:00~18:00
休:日

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