●日本全国を仕事で飛び回るBEAMS JAPANの名物ディレクター・鈴木修司さん。尊敬してやまない『男はつらいよ』の寅さんのように、年の1/3は旅の空という鈴木さんが、旅先で見つけた「フーテンの寅みやげ」を紹介します。

 こんにちは。ビームスジャパンの鈴木修司です。この連載も10回目となりました。寛大に読んでくださる読者の皆様に感謝です。

 今回は山口県から島根県へとまたがる旅に出かけてきました。この旅で出合ったお土産は、山口県の油谷島で、昔ながらの釜炊き製法で塩をつくる『百姓庵』の“塩”です。

 これまで各地の塩の生産地を訪ねてきましたが、油谷島のものはひと味違い、“旨み”を強く感じる塩なのです。地図で見るとよく分かるのですが、油谷島は油谷湾を囲むように日本海に突き出ているので、上質な塩を作るのに適した環境です。

 ちなみに百姓庵では、季節で味わいの違う塩(四季の塩)なんてのも生産しています。オンラインショップでお取り寄せもできるので、ぜひ味わってみてください。

下関の名店で「フク」に舌鼓

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
下関の名店『大衆酒場 三枡』”で頂いた“フクの唐揚げ”

 少し話を戻しますが、山口宇部空港に着くのがお昼過ぎになってしまったので、油谷島に備えて、下関に前泊することに。となれば、名物“フク(ふぐ)”を食べないわけにはいきません。

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
絶品の“フク雑炊”、これ以上の締めメシはないと思うほどの美味しさです

 以前から行きたいと願っていた名店『大衆酒場 三枡』さんに運良く入れて、大満足の夕食となりました。

駅前の渋い立地、歴史と文化も感じる居心地、フクを中心にした魅惑的なメニュー、申し訳ないくらいの良心的な価格、名店の条件をすべて備えていました。

●DATA
大衆酒場 三枡

住:山口県下関市竹崎町2-13-11 三枡ビル
TEL:083-223-8608
営:15:00~20:00
休:水

川棚温泉で瓦そばを味わう

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
隈研吾建築の文化交流施設、“川棚の杜”

 翌日、油谷島に向かう前に、川棚温泉(下関市豊浦町)に立ち寄りました。温泉に入る時間はなかったので、足早に温泉街を散策しましたが、コンパクトで魅力的な場所でした。

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
川棚温泉の名物、“瓦そば”

 昼食は、『元祖瓦そば たかせ本館』さんでご当地グルメの「瓦そば」を。筆者は蕎麦よりうどん派なのですが、派手な見た目とは裏腹に、計算し尽くされた美味しさに感激。川棚温泉に行ったらぜひ食べるべき逸品だと思いました。

●DATA
元祖瓦そば たかせ本館

住:山口県下関市豊浦町大字川棚町5437
TEL:083-772-2680
営:土日祝のみ11:00~15:00(14:30LO)
※GW・お盆・正月の繁忙期は営業時間、定休日が変更となる場合あり。事前にお問い合わせを。

いざ油谷島へ

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
一目で豊かさを感じる油谷湾

 始めて訪れた油谷島ですが、美しく豊かな風景を見るだけでも価値ある場所です。三方を原生林の山や森に囲まれ、そこから十分な栄養が流れ込み、日本海とつながる汽水域は、多くの生命を育んでいます。

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
海の恵みが体感できるサウナ、ではなく塩の生産現場

 冒頭でお話した『百姓庵』さんで、独自の製法やこだわりについて取材。やっぱり百姓庵さんの塩は格別です。海水を活かす思想や技術あってこそのものだと思った次第です。

城下町・萩を経て“日本一の居酒屋”へ

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
敬愛する吉田松陰を祀る松陰神社の境内に移設された“松下村塾”

 次に向かったのは大好きな城下町・萩。

何度来ても良い街です。歴史好きなので、勝手にいろいろと夢やロマンを感じて、定期的に来たい場所です。

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
萩市民のソウルフード『どんどん』のうどん[食楽web]
【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
日本一の居酒屋と名高い『田吾作』

 この旅の目的のひとつに、島根県は益田にある居酒屋『田吾作』への訪問がありました。日本一の居酒屋として名高い名店中の名店です。

 日本海の魚介を中心にした料理、厳選された多種多様な地酒、優しい心遣い、居酒屋好きにはたまらない佇まい、島根県周辺の手仕事の器……訪れてみて、誰もが褒め称える理由がすぐに理解できました。

 気分が良くなり過ぎて長居してしまい、話が盛り上がったご主人、お店に方々に深く感謝しております。

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由
メインの「カサゴの煮付け」が絶品でした

 下関のフクから始まる海尽くしでしたが、“海の幸”ならぬ“海の福(フク)”を感じた日本海の旅となりました。

●DATA
田吾作

住:島根県益田市赤城町10-3
TEL:0856-22-3022
営:12:00~14:00、17:00~
不定休

●著者プロフィール

【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが油谷島の「塩」を絶賛する理由

鈴木修司(すずきしゅうじ)

BEAMS JAPANクリエイティブディレクター。三重県松阪市生まれ。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトを発掘。大学などで講師を務めることも。著書に『銘品のススメ』、監修書籍に『都道府県おでかけ図鑑』などがある。

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