京都旅といえば、JR東海の『そうだ 京都、行こう。』のCMやコピーを思い出す人も多いでしょう。
夏は大変暑い京都ですが、CMを観ているととても涼しげですよね。その理由は、京都では季節の移ろいによって、空間の装飾を変える「しつらえ」文化が根付いているから。
今回は、このJR東海のCMに登場する場所を巡る旅をご紹介します。歴史ある社寺の庭園の苔や青紅葉、伝統ある京町家、そして旬の京都グルメなど「初夏のしつらえ」をテーマにした夏の京都の旅へ、いざ出発!
名店『瓢斗』で味わう絶品しゃぶしゃぶランチ

京都に到着したら、まずは地下鉄・四条駅から6分の場所に位置する出汁しゃぶ『瓢斗』へ。同店では、洗練された和の空間で、京都の旬の味覚をコースで堪能できるお店です。

しゃぶしゃぶと言えばポン酢かゴマだれが定番ですが、「出汁しゃぶ」は、京都で懐石料理やおばんざいに欠かせない「お出汁」をしゃぶしゃぶのつけ汁として味わう、京都ならではの食べ方です。

料理は、先付、お椀、造り、凌ぎなど、コース仕立てになっています。
「椀もの」は、自慢のお出汁を使用した「翡翠豆腐」。枝豆と葛粉で作られた翡翠豆腐は、プルンとした食感が特徴。
ミョウガとゆずの皮がアクセントになり、出汁の旨みが増しています。この手間暇をかけた一杯に京都らしさを感じました。

そして「凌ぎ」は青とろサバを使用した「瓢斗名物 鯖寿司」。鯖寿司も京都に来た時に味わっておきたいグルメの1つ。
脂ののった鯖とシャリの間に、ガリと大葉を挟み、表面を炙って香ばしく仕上げられ風味豊か。程よい酸味で後味サッパリ。

しゃぶしゃぶは、厳選された国産豚肉と季節の野菜などをコンロで加熱して食べます。わずか1㎜にスライスされた豚肉は、ふわふわとしたとろけるような食感。赤身と脂身のバランスも良く、甘みが口の中で広がります。
しゃぶしゃぶした豚肉は、国産天然昆布や鰹節、煮干の出汁と“かえし”を合わせた「お出汁」に浸けていただきます。出し汁にたっぷり入れたネギを豚肉で包み込んで食べるのがポイント。
豚肉の旨みと出汁が沁みた生うどんで〆る

お鍋の〆は、豚の旨みが滲み出たお出汁に生うどんを入れていただきます。うどんにはカレーパウダーが添えられ、シンプルにお出汁だけで味わった後は、カレーパウダーを入れて味変しても◎。
お出汁文化が根付く京都ならではのこだわりの食べ方で、お出汁を余すことなく全て味わうことができました。
●SHOP INFO
瓢斗(四条烏丸店)
住:京都府京都市中京区山伏山町550-1 明倫ビル1F
TEL:075-252-5775
営:平日 11:30~14:00(13:00L.O.)、 17:30~23:00(22:00L.O.)
土日祝 11:30~15:00(13:30L.O.)、 17:30~23:00(22:00L.O.)
休:年末年始、不定休
京町家の夏のしつらえ『重要文化財杉本家住宅』

地下鉄四条駅から徒歩約5分に位置する『重要文化財 杉本家住宅』は、国の重要文化財にも指定され、建物内外の庭は「京町家の庭」として国の名勝指定を受けている建物です。
江戸期の土蔵とともに、明治期から昭和初期にかけて整えられた茶室などが保存されています。

「そうだ 京都、行こう。」のCMにも起用された主人専用の「座敷」は、庭から覗く青紅葉やつくばいなど、京町家のたおやかなしつらえに心が癒されます。
夏は暑く冬は寒い盆地である京都には、夏を涼しく過ごす生活の知恵が文化として根付いていることがよくわかります。
訪れた日も暑かったのですが、自然の光が射す庭や絹すだれが風でそよそよと揺れるたびに、実際の温度よりも涼やかに思えてくるから不思議です。

杉本家のオリジナルグッズを販売しているコーナーもあり、江戸時代から杉本家で親しまれてきたほうじ茶、煎茶、和紅茶、抹茶も販売。
邪気を取り払うとされる申(さる)のお守り「御守り申す」(2300円)は、仕事のトラブル、学びのつまづきを取りサルお守りとして人気が高まっているそう。

お守りには邪気を払うといわれている「小豆」入り。可愛い顔を眺めていると、なんとなく癒されるので、仕事のデスクに飾っておくのもいいかも。そのほかにも、添え文やレターセットなどの紙物やエコバッグもお土産に人気です。
●DATA
重要文化財杉本家住宅
住:京都市下京区綾小路通新町西入ル矢田町116番地
営:一般公開日:金・土・日(毎月最終週は休館)
休:臨時休館の可能性があるため、公式サイトで一般公開日をお知らせ
入館料:大人 1500円、高校生以下 800円(特別催事によっては金額が異なる場合あり)
ポスターのメインビジュアルに採用された「妙心寺」

JR花園駅から徒歩約12分の場所に位置する『妙心寺天球院』は、臨済宗妙心寺派に属する禅寺です。

通常非公開の寺院ですが、「そうだ 京都、行こう。」のポスターのメインビジュアルに起用されたことから、今回特別に拝観できるプランが登場。
1日あたりの参加人数の上限も定められているため、ゆったりと鑑賞して回れます。

万丈から望む庭の景色は、CMのポスターにも採用されました。自然の光や鹿おどしから流れる水の波紋など、静寂の中で得られる癒しを全身で感じながら、ゆったり深呼吸。忙しく過ごす毎日の中で、たまにはこんな時間も大切ですよね。
方丈内部には豪華絢爛な、狩野⼭楽・⼭雪筆による「竹に虎図」、「梅・柳に遊禽図」、「籬に草花図」、「牡丹・槇図」、「牡丹唐獅子図」などの金碧画や、「⼭水人物図」などの水墨画などもじっくり眺められます。

めったに公開されることがないといわれている襖絵や杉板絵など、僧侶がガイドを務めてくれるプランでじっくりと観覧してみてはいかがでしょうか。
●DATA
「そうだ 京都、行こう。」2025年初夏プラン「妙心寺天球院 方丈特別公開自由拝観」
実施日:23日(土)、24日(日)、31日(日)
価格:1人1000円(拝観料含む)
https://ec.travel.jr-central.co.jp/tp/optionalFacilities/6232M20/plans
美しい青紅葉と苔が織りなす風光明媚な「常寂光寺」へ

常寂光寺は、『百人一首』で知られる小倉⼭の中腹にある日蓮宗のお寺です。自然豊かな⼭腹に堂宇があり、境内には市街地ではあまり見ることができない珍しい苔も豊富に生息しています。

今回のキャンペーンでは、苔庭が美しい6つの寺院を連続した2日間巡れる拝観プランがあり、苔の名所である6つの寺院を巡る「苔庭めぐりパスポート」を提供。

パスポートは、寺院巡りをする前に手に入れておくと、対象寺院(三千院、勝林院、圓光寺、常寂光寺、祇王寺、東福寺/本坊庭園)で拝観料を支払うための列に並ぶことなく回遊できてとても便利。夏の京都で効率よく寺院巡りをしたい時はパスポートが最適です。
●DATA
「そうだ 京都、行こう。」2025年初夏プラン「京都 苔庭めぐりパスポート」
期間:2025年6月1日(日)~9月29日(月)
対象寺院:三千院、勝林院、圓光寺、常寂光寺、祇王寺、東福寺(本坊庭園)
価格:1人1000円
※9月30日(火)までの連続した2日間で利用可能
※事前にジェイアール東海ツアーズ 京都支店(京都駅八条口)で電子チケットから「苔庭めぐりパスポート」への引き換えが必要
旬・技・心が響く京フレンチ「LE UN 鮒鶴京都鴨川リゾート」

阪急河原町駅から徒歩約5分の場所に位置する『鮒鶴』は、140年の歴史をもつ料亭として知られ、過去には文人墨客のサロンとしても利用された京都屈指の由緒ある建物です。

登録有形文化財に指定されている五層楼閣様式の建物をリデザインし、現在は『LE UN 鮒鶴京都鴨川リゾート』と名乗り、京フレンチダイニングとして営業中。京都の風土に根差した食材や和食の精神を大切にしながら、心に響く一皿で訪れる人たちの舌を唸らせています。
ここでは、京野菜など地産池消をテーマにした本格フレンチを ゆったりと広いお席で東山の美しい景観を眺めながらいただけます。

伝統建築と近代意匠が調和する空間で味わう美食は、五感が刺激され、普段では味わえない特別感に浸れます。

前菜は、北海道産の大粒帆立と2種のキャビアを合わせたポッシェ(低温調理)。2つの魚卵が持つ塩味とまろやかな味わいが肉厚な帆立の甘みを引き立てます。

2品目は、ひんやりとしたかぼちゃのポタージュにふわふわと泡立てられたミルクが添えられた一品。暑くてバテきった身体に染み渡り、ほんのり優しい味わいに癒されます。

白ワインでプレゼ(蒸す)した金目鯛に、西京味噌のソースや京ネギや大葉などの薬味を添えた一皿。ふっくらと蒸された金目鯛と西京味噌のまろやかなソースの味わいは絶妙。

国産牛フィレ肉のポワレは、焼いているうちに肉から出てくる脂をスプーンでかけながら焼き、フィレ肉の中に旨みを閉じ込めています。表面はカリッと、中はジューシーに焼き上がった肉と甘酸っぱいマデラソースがベストマッチ。

最後は季節の果実と特製デザート。バニラムースの上に、メレンゲとシャーベットがのせられています。季節の果物であるマンゴーとマンゴーソースが夏らしさを演出。添えられたメレンゲもさくさくと軽く、しっかりと存在感のあるミルキーな味わい。
バニラムースの中に、チョコレートムースとしっとりとしたフィナンシェが忍ばされていました。マンゴーソースとチョコレートの相性も抜群。
夏は鴨川の風物詩である「川床」を設置し、川のせせらぎを聞きながら京都を代表する名所を遠くに望むロケーションでフレンチが楽しめますので、この季節は川床もおすすめです。
●SHOP INFO
ルアン 鮒鶴京都鴨川リゾート
住:京都府京都市下京区木屋町通松原上ル美濃屋町180
TEL:075-351-8541
営:11:30~15:30(14:00L.O.)
17:30~22:00(20:00L.O.)
休:火曜
※川床期間(5月~9月末)は定休日し。ディナータイムを延長し最終入店21時、閉店23時
この夏も観光客で賑わう京都ですが、本物の京都らしさに触れられるスポットをお探しならぜひ『そうだ 京都、行こう』の公式サイトをチェックしてみてください。
>>JR東海「そうだ 京都、行こう。」
●著者プロフィール
牡丹餅あんこ
フリーライター・編集。グルメ誌、旅行誌、女性誌、Webの取材、撮影、執筆、編集、イラストを担当。さまざまな土地のお土産やご当地グルメを歩いて探すのが好き。