●県北部に中国山地、南部が瀬戸内海に面した広島県は、地域ごとに海山里さまざまな食材に恵まれた、まさに日本の縮図ともいえる存在です。今回は県庁所在地である広島市からフェリーやクルマで1時間ほどの距離にある瀬戸内の島・江田島(えだじま)を訪問。

そこで出会ったご当地ならではの絶品グルメを紹介します。

 東京・羽田空港から空路で約1時間余り。県の内陸部にある広島空港からクルマを走らせること約1時間で目的地である江田島に到着します。道中、呉市に入り窓の外を見ると、港には自衛隊のさまざまな艦船が停泊。

 圧巻の風景を目にしつつ、湾をまたぐいくつかの巨大な橋を渡り、江田島へ。実は江田島は島でありながら橋で結ばれていて、陸路でのアクセスも可能。広島港からフェリーでも1時間弱で到着できる、まさに都会近郊のリゾートアイランドなんです。

コース仕立てで瀬戸内の“旬の白身魚”を心ゆくまで堪能

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
地元民にも愛されている『割烹大学』の外観

 昼食がてら腹ごしらえに訪れたのが、瀬戸内の白身魚をはじめとする「瀬戸内さかな」が美味しくいただけると評判の『割烹大学』です。いかにもご当地らしい、風情のある佇まいの玄関を開けるといけすがお出迎え。近海で揚がったと思しき魚が悠々と泳いでいました。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
いけすには近海で獲れた白身魚などが悠々と泳いでいる

 これは期待できそうだとばかり、テーブルに座りメニューを一読。あれこれ悩んだ末、江田島ならではの美味をひと通り味わいと考え、コース仕立ての「江田島御膳」(4000円)を注文することに。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
「瀬戸内 鯛 鱧 胡麻醤油あしらい一式」

 まず供されたのが、湯引きした鱧や鯛のお造り。

あっさりとした上品な鱧は食感もあり、瀬戸内に来たという高揚感を高めてくれます。胡麻醤油との相性も抜群でした。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
「江田島 さわら 木の芽味噌 薩摩揚げ 占地のキッシュ」
【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
「鱧の香り揚げ 茄子、南瓜、蓮根せんべい」

 続く揚げ物はサワラとさつま揚げ。木の芽味噌が香ばしく、揚げ物と絶妙にマッチしています。さらにハモの香り揚げもあっという間に完食! まだ昼間ながら、そろそろ地酒が飲みたくなってきましたが我慢……。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
「広島和牛 低温調理 ごまだれ」

 お待ちかねのメイン料理は広島和牛を低温調理した一品。胡麻だれに付けて口にすると、舌でとろけるような柔らかさと優しい旨みが口中に広がりまさに絶品です!

 その後はシャコや穴子の炙りなどが入った、さっぱりサラダで口直し。お食事として登場したのは鱧の椀物と生しらすご飯です。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
「江田島産 鱧のお椀物 順才 素麺」

 椀物はだしが利いた汁が染み込んだ鱧とそうめんがまさに至高! じゅんさいのとろみが繊細な旨みを閉じ込めています。

 途中で地元産のオリーブオイルをひとかけすると旨みがさらにアップし、味変が楽しめました。このオリーブオイルも、地元「江田島いとなみ舎」のもの。温暖な気候だけに、江田島でもオリーブの栽培が盛んなのだとか。

うーん、気になります!

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
「江田島 生しらす御飯」

 一方、ご飯は新鮮な生しらすをトッピングしていただきました。こちらもしらすならではの潮の良い香りと味わいでみるみるうちにご飯が進み完食! 締めのデザート食べたときにはもう満腹。まさに江田島尽くしで口福のひと時でした。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
京都や広島市内で研鑽を積み、家業を継いだ店主の佐々木鉄次さん。地元・江田島の食材に対するこだわりはひと際強い

 料理長曰く、市場や直接地元の漁師から仕入れる魚介類はもちろん、野菜や柑橘類も江田島産に極力こだわっているとのこと。これぞとれたて、鮮度抜群の食材を十二分に堪能させていただきました。

 しかし、せっかく江田島に来たからには、これで終わるのはちと寂しい。続いて今度は江田島の名物・牡蠣を食べに向かいます!

●SHOP INFO
割烹大学

住:広島県江田島市大柿町大原1174-2
TEL:0823-57-2409
営:11:00~14:00、17:00~21:00
休:火曜

江田島といえばやっぱり名物「牡蠣」でしょ!

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
海辺の至るところで目にする牡蠣棚は江田島の風物詩

 江田島の白身魚や野菜を存分に味わった筆者。逗留する宿に向かっている途中、車窓からウインドサーフィンやSUPなどを楽しんでいる人々の風景を眺めながらくつろいでいると、ふと気付きました。「まだ広島名物の牡蠣を食べていない!」と。江田島は県内有数の牡蠣の産地。海辺を見ると至るところで牡蠣棚を目にするほど。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
江田島の海辺にはいたるところに牡蠣棚が

 しかしご存じの通り、広島産の牡蠣の旬は冬場が中心。

「でもどうしても食べたい!」。そんなワガママな願望を叶えてくれる店がありました。その名も『OYSTER CAFE 江田島』です。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】

 瀬戸内海の目と鼻の先で営業しているこちら、2Fがレストランなのですが1Fに牡蠣の加工工場を併設しています。だから年間を通して瀬戸内海で獲れた鮮度バツグンの牡蠣を用意できるのだとか。

 店内に入ると、瀬戸内海のパノラマが窓越しに一望できる絶好のロケーション。否応なく気分が高まります。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
季節によって江田島産はじめ瀬戸内海各地で獲れた牡蠣を供している。こちらは県内の田島産

 最初にオーダーしたのはやっぱり生牡蠣。この時期なのに大ぶりの牡蠣がお皿にずらり。さっそくレモンを牡蠣にたらし、口にちゅるん! そうそう、この喉越しとその後にくる牡蠣の旨みがたまりません。

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
旨みが凝縮された牡蠣フライ。あっさり系のタルタルとの相性が見事!

 お次は定番の牡蠣フライ。揚げたてサクサクの一品をガリが入ったさっぱりテイストのタルタルソースにつけていただきます。

口で噛んだ途端、ぷりっぷりの牡蠣から旨み全開の肉汁がジュワ~。これぞ求めていた牡蠣フライそのもの!

【広島グルメ紀行】牡蠣にハモも!広島の隠れた名所・江田島で瀬戸内の海の幸を味わう【前編】
「瀬戸内しらすと季節野菜のスパゲティ ペペロンチーノ」

 そして、しらすがこれでもかとトッピングされたパスタをいただき大満足! もはやお腹は腹十二分目を突破する勢い。果たして夕食までにお腹が空くのか……。贅沢な不安をよぎらせつつお店を後にしたのでした。(後日配信の後編に続きます)

●SHOP INFO
OYSTER CAFE 江田島

住:広島県江田島市江田島町秋月2-49-52
TEL:0823-27-6173
営:平日11:00~15:00(LO14:30)、土日祝11:00~17:00(LO16:30)
休:水曜
※紹介したメニューは10名様以上で要予約の「団体様向けランチコースプラン」(4000円)

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