●フレンチの巨匠・三國清三シェフが、自身初となる家庭料理レシピ集を刊行。70歳を超えてコックコートを脱ぎ、エプロン姿で挑んだ「家庭の味」に込めた思いとは?
日本を代表するフランス料理の巨匠・三國清三シェフの最新刊『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』。

本書では、「肉じゃが」や「豚の生姜焼き」「アップルパイ」など、家庭で繰り返し作ることの多い全80品のレシピを手軽さにこだわり紹介しています。同書発刊に伴い、三國シェフがフランス料理ではなく、身近な食材で作る家庭料理に込めた思い、料理上手になるための“ミクニ流極意”について語ってくれました。
毎日家庭料理を作る大変さを経験したからこそ生まれた、ミクニ流のおかずレシピ

今から5年前、コロナ渦で多くの人々が在宅となり、「家庭での朝昼晩のご飯作りはさぞ大変だろう」と感じたことから、YouTubeチャンネル『オテル・ドゥ・ミクニ』を始めたという三國シェフ。
新刊『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』に収録された家庭料理レシピも、20歳からの4年間、スイス・ジュネーブの日本大使館料理長を務めた際に経験した“日々の食事作り”への思いがベースにあるのだそう。
「大使館では朝昼晩の食事、それに奥さま方が(カードゲームの)ブリッジをやるから夜食もあり、それを365日、4年間作ったんです。家族に毎日作るのと同じで、僕も1週間分の献立を毎週、奥さまと考えるわけです。そんな家庭料理を作り続ける大変さを知っていたことが、今回のレシピの発想につながっていますね」(三國シェフ、以下同)

また、幼少期に両親とも忙しく、「弁当といえば、四角い弁当箱にご飯だけ詰めたものだった」と振り返った三國シェフ。「僕にはおふくろの味という記憶はない。だからこそ自由にいろんなものを作りました」と明かします。
材料はスーパーで手に入るものだけ! ポイントは「火入れ・盛り付け・アクセント」

収録された全80品は、すべて『YouTube』未公開のもの。メニュー決定後、さらに半年をかけ、手軽に作れるようスタッフと何度も試作を重ねた新レシピです。
「レシピの中に手に入らない材料があるとみんな作らないので、スーパーで必ず手に入るものを使いました。基本的には自然な素材(無化調)で、たまに出来合いのソースなども使っています。
今回のレシピでは、普段のおかずをミクニ流に仕上げるためのコツも紹介しているのが魅力的!

「奥さんたちは忙しいので、フライパンが温まるまで待てないですよね。だから、材料を入れてから火をつけるというテクニックを取り入れています。それでちゃんと火が通るんですよ。見栄えよくするために、盛り付けは高さをだすこと。そして、味のアクセントに白と黒のこしょうを使い分けるのが、料理のプロとしてのやり方です」
“料理上手”に必要なのは、自分に合う道具と繰り返し作ること

本著には切り方や味付け、火の通し方に加えて、調味料や道具についても掲載されています。
記者:「おすすめのキッチングッズや調味料は?」
三國シェフ:「そんなものはないんですよ! 便利な調理道具なんて嘘です(笑)」
と笑いながら話す三國シェフ。
「ハサミでも包丁でも、値段なんて関係なく、自分が使いやすいものを使い続けるとフィットしてくる。それが、上手に料理するために必要な道具です。そして、料理上手になる一番の方法は、何度も何度も自分で作ってみること。失敗しなきゃ上手くならないですから。あとは食べに行って、おいしいと思ったものを自分なりにアレンジしてみることですね」
そんな三國シェフは先日、四谷にレストラン『三國』をオープンしたばかり。
「今度の店はカウンターだけなので、お客様を目の前にしてまさに真剣勝負。店が終わると疲れてしゃがみこみます。気力と体力には自信があったんですけどね、シェフの先輩方が70歳手前で引退される理由がよくわかりました。本当に大変……でも、大変だけど頑張りたいですね」
ますます躍進する三國シェフが本気で向き合った、毎日作って食べたい究極の家庭料理。ぜひおうちのキッチンで、ミクニ流の知恵と味わいを楽しんでみてください。
●書籍情報

書籍名:ザ・シェフ三國の究極家庭おかず
定価:1,980円(税込み)
発行:主婦の友社
https://www.amazon.co.jp/dp/4074606704
https://books.rakuten.co.jp/rb/18286774/