●蕎麦が好きでお酒が好きな小宮山雄飛さんが、美味しいお蕎麦屋さん、そして蕎麦屋呑みの魅力を伝える連載。今回は北千住の名店『千寿 竹やぶ』を訪問。
北千住駅から歩いて15分ほど。決してアクセスがいいとは言えない立地ながら、予約してでも行きたいという蕎麦好きで連日混み合う、都内屈指の人気店『千寿 竹やぶ』。
入り口には「本日の蕎麦産地」が紙で掲げられており、十割・粗挽き・田舎、3種それぞれ、その日使っている蕎麦の産地が貼り出されている。この貼り紙を見るだけで、蕎麦好きはワクワクと期待が高まるのです。
そんな蕎麦への熱い想いをいったん落ち着かせて、まずは蕎麦前をゆっくり楽しみます。
この日は、お店のオススメの酒、青森の「男山」(1,000円)を冷やで。そして1品目の料理は「カキの焼きみそ」(660円)。
アツアツの溶岩石の上に、細かく切られた牡蠣の身と味噌、そしてネギ。しっかり混ぜて食べると、味噌の香ばしさと牡蠣の香りがたまりません。クルミや蕎麦の実が食感のアクセントになっていて、日本酒とめちゃくちゃ合う一品。蕎麦前には、こういうお腹にたまらない、ちょっとした一品が嬉しいのです。
そしてこちらで絶対押さえておきたい一品が「千寿葱と鴨の相焼き」(1,690円)。
千住といえば千寿葱が有名ですからね!
埼玉産の鴨は朝締めの逸品。赤味がかった身は、驚くほど柔らかく味が濃厚。鴨の脂を吸った葱がまた美味しい。文字通りの“カモネギ”状態。まずはそのまま、後半は添えられた卵黄をつけると一段とまた、まろやかで濃厚な味に。
こちらに合わせるお酒は「下町ハイボール」。下町というネーミングですが、使用している焼酎は、まるでウイスキーのように香り高い「百年の孤独」と「桜岳」。しっかりとした味わいの鴨にぴったりです。
3種の蕎麦が味わえる「天付き蕎麦三昧」を満喫
さて、蕎麦好きとしては、十割・粗挽き・田舎、3種の蕎麦を食べ比べてみたくなると思いますが、平日限定で、ぴったりのメニューがあります。それが「天付き蕎麦三昧」(3,700円)。
3種の蕎麦を、それぞれ半量のもりそば2種、半量のかけそば1種で楽しめて、なおかつ「そばがき」と「海老のかきあげ、野菜の天ぷら2種」が付いてくるという、なんとも贅沢なプチコースなのです。
最初に運ばれてきた「そばがき」はむっちりなめらかな食感で、もり用のつけ汁よりも醤油が効いた汁につけていただきます。こちらのお店、器がどれも独特で楽しいのですが、薬味の器もめちゃくちゃ個性的で、3種の薬味がなんとも可愛く見えます。
続いては天ぷら。メインの「海老のかきあげ」はサクッと軽い食感で、上に散らしてある揚げ玉がアクセント。シルクスイート(さつまいも)と菜の花の天ぷらも薄衣で、素材そのものの味をじっくり楽しめます。
そしてお待ちかね、〆は3種のお蕎麦の食べ比べです。
まずは看板メニューの「十割」から。本日は茨城の常陸秋そば。細めの蕎麦は、十割でもしっかりカドが立っていて、蕎麦の風味とのどごし、両方しっかり味わえます。辛口ながらバランスのよいつけ汁との相性も最高です。
ぶっちゃけ、これだけ普通に1枚思いっきり食べたいところですが(笑)、今回は少量ずつの食べ比べです。
「粗挽き」は秋田の在来種を使用。粗く挽いた蕎麦粉を使うため、1割~1.5割のつなぎを使用しているとのこと。
粗挽きらしいざらっとした舌触りと、みずみずしい食感が同時に味わえて、これまた美味しい! これもこれでしっかり1枚食べたい(笑)。
最後は「田舎」、この日は秋田の固有種を使用。温かい、かけでいただきます。黒い外皮ごと挽いた、ワイルドな見た目とは裏腹に、平打ちで文字通りひらひらと軽い食感で、これもぺろりと行けてしまう美味しさです。透き通ったかけ汁は、出汁の風味を感じるすっきりした味わいが特徴で、飲み干せる美味しさ。
ここで、こちらのお店の僕が好きなポイントをもう1つ。
卓上に置いてある唐辛子は、一味でも七味でもなく、オリジナルにブレンドした、三味。
蕎麦の風味を邪魔しないようにと、あえて七味ではなく、唐辛子と柚子、完熟山椒の3種類だけをブレンド。これが実に美味しいんです。蕎麦の風味をしっかり味わってもらうための、細かいこだわりがすごいです。
わざわざ食べに行きたくなる名店
蕎麦も蕎麦前もこだわりの美味しさで魅了してくれる、東京を代表する名店『千寿 竹やぶ』。3種の蕎麦がどれもウマいので迷ってしまうという悩みだけありますが、北千住までちょっとした旅気分も味わいながら、美味しい蕎麦を食べに行ってみてください。
(撮影◎橋本真美)
●SHOP INFO
千寿 竹やぶ
住:東京都足立区千住河原町7-12
営:11:30~15:00(L.O. 14:15)、17:00~21:00(L.O. 20:15)
※火曜は昼のみ営業
休:水・第3木曜
●著者プロフィール
小宮山雄飛
ホフディランのVo&Key担当。ミュージシャンの傍ら、グルメ番長として食のシーンでも活躍し、様々な雑誌やWEBサイトでの連載、レシピ開発なども行う。著書には『旨い!家カレー』『レモンライス レシピ』『小宮山雄飛 今日もひとり酒場』など。テレビ、ラジオ番組の出演なども多数。









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