一部でプロ級の舌を持つと噂のタクシー運転手・荒川治さんに教えてもらう「東京B級グルメ案内」。今回は、荒川さんが子どもの頃から通い続けている洋食屋『レストラン オオタニ』(東京板橋区・大山)へ。

さっそく道案内をお願いしましょう。

 子どもの頃、親に連れて行ってもらった外食の経験って、いつまでも心に残っていたりしませんか? 今回ご紹介するお店は、私にとってそんな子どもの頃からの思い出が沢山ある洋食屋さんです。

 それは川越街道沿いにある板橋区・大山の『レストラン オオタニ』。昭和40(1965)年に創業し、今年で53年目を迎えるお店です。物心つく前から両親に連れて行ってもらっていて、かれこれ50年ほどのお付き合い。休日の昼食夕食はもちろん、誕生日、親戚の会食、クリスマスなど、お祝いの時に利用させていただいていたので、子ども心に「オオタニ」と聞くだけで、いまでも何か楽しいこと、いいことがあると思ってテンションが上がるお店です。ひょっとしたら今の私の味の基準となったお店と言えるかもしれません。

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

 お店は2階建てで駐車場付き。創業当時はまだファミレスがない時代でしたから、日本でいち早く、欧米の“ドライブイン”の発想でお店を作ったそうです。だから私たち家族や親戚が集まりやすい場所でもありました。今でも外観、内観ともに、山小屋を彷彿させるレトロな雰囲気でとっても落ち着くんですよ。

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

ライスが止まらないハンバーグやポークソテー

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

「洋食メニューなら何でもございます」というくらい種類が豊富です。サンドイッチ、スパゲティー、カレー、ハンバーグ、ビーフシチュー、ポークソテー、チキンソテー、ステーキ介のフライなど50種類くらいはあります。

 しかも1つひとつのこだわりがとにかくすごいんです。創業当時から、食材は国産で美味しくて安心できるものを使用し、お皿の上のケチャップ、ソースマヨネーズ、タルタル、ドレッシングにいたるまですべて手作り。目には見えない生姜やニンニクまで国産の一級品を使うと言います。

「なぜこんなにこだわるの?」と支配人の大谷功一さんに聞いたことがあるんです。すると、「長く通ってくださるお客様が多いので、味を落としたらすぐわかるし、怒られちゃいますからね」と言っていました。

 お料理は、本当に全部を食べて欲しいくらいどれも美味しいのでとても迷います。今回は子どもの頃から大好きだった「ジャンボハンバーグ」からご紹介します。ジャンボというだけあって、肉量300gはゆうにあります。合いびきの肉はほとんど国産を使用しており、その肉の旨みに加えて、絶妙な手ごねによるふんわり感があって、理想的なハンバーグです。

 ソースはトマトのベースでコクが深く、鉄板でジュ─と焦げたこのソースをライスにかけただけで2~3杯は食えますね。そうそう、ライスは別料金で330円ですが、おかわりし放題。その米自体も旨いんですよ。

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

 また、ハンバーグと同じくらい好きなのが、ポークソテーや若鳥のチキンソテー。初めての方に食べていただきたいのは「ポークソテー オオタニ風(ガーリックソース味)」です。こちらも熱々の鉄板で登場します。ぶ厚いポークソテーの下にはスパゲッティが敷かれています。

 まずはガッツリ、肉とライスを全部平らげます。それからライスをお代わりして、今度は鉄板に残ったガーリックソースのスパゲティをライスにのっけて食べます。これが旨いの、なんのって。肉と、肉汁ソースと、2度美味しさを味わえるんです。やっぱり「オオタニ」さんのソースはどれも本当に優秀でご飯が止まりません。

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

写真よりも大きくて美味いがモットー!

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

 もう1つご紹介しておきたいのは、私が家族や友人たちと集まったときに注文する魚介のフライ系です。よくお願いするのが「ミックスフライB」で、エビ、白身魚、紅シャケの3つのフライをみんなでシェアします。

 こちらは、メニューに料理写真が出ているのですが、それを見て参考にすると、登場したエビフライの巨大さにびっくりしますよ。

先日は目測で20cmくらいの特大で、衣の中のエビがムチッと太く、ぷりっぷり。

 そういえば、大谷さんは、「うちの料理写真はあまり大きく派手に載せないように控えめにしている」と言っていましたっけ。「写真を見てよだれが出そうなくらい美味しそうなのに、頼んでみたら全然違ったなんて、がっかりさせたくない」って。お店の方のそういう感覚は本当に大事ですね。

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』
旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

 また、フライでもう1品食べて欲しいのがエビコロッケです。このコロッケは、中心にエビが1本入っていて、小エビ、タラバガニのすり身が入ったグラタン状になっているんです。濃厚さ、クリーミーさ、魚介の旨みがたまらないんですよ。2個入り1600円なので、ぜひシェアしてでも食べて欲しい1品です。

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

 最後に、こちらの名物にもなっている生ジュースをご紹介します。冷凍は一切使わず、旬の果物を生絞り。1年間で約30種類の果物を使うそうで、短い果物は1~2週間で終わっちゃうこともあります。でも、これを楽しみに通われる方も多くて、「年間の生ジュースをコンプリートした!」なんて言う人もいるんですって。

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

 とにもかくにも美味しいメニューがたくさんあり過ぎて、お伝えしきれないのが残念ですが、最後に、私の親父とお袋は、「カツサンド」や「ビーフシチュー(冬限定)」なんかも好きで「旨い、旨い」と言って食べていました。思い出すなぁ。もし良かったら食べてみて下さい。

(構成◎土原亜子)

●SHOP INFO

旨い店はタクシー運転手に訊け! ハンバーグにエビフライまで、何を食べても旨い洋食屋『レストラン・オオタニ』

店名:レストラン オオタニ

住:東京都板橋区熊野町47-8
TEL:03-3959-5040
営:9:00~24:00
休:なし
http://osietesite.com/gourmet/tokyo/yosyoku/cury/ohtani

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。

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