唐突ですが、マクドナルドのビッグマックは530kcal、ロッテリアトリプルチーズバーガーは615kcalあるそうです。しかし、そんなの軽い軽い! 推定1,000kcal、もしかしたら2,000kcalはあろうハンバーガーが横浜某所にあるというではありませんか。

そんなわけで、向かったのは横浜市の鶴見。

 実は鶴見は、少し前までブラジルやアルゼンチンなどの料理店や食材店が集中していた、元「南米タウン」。日本在住のブラジル人や南米の人、そして沖縄出身の人も多く暮らす、独特の雰囲気を持った街です。

 なので、リオ五輪のときに一時賑わったおしゃれなシュラスコレストランではなく、ブラジルそのままの家庭料理が味わえる「ブラジル食堂」もいまだ健在。ブラジルをはじめ南米の食材店兼食堂で、ブラジルのおふくろの味、豆&豚スープの「フェイジョアーダ」をはじめ、ブラジル料理の定食などが味わえます。

 今回、筆者が取材で訪れたのは、JR鶴見駅からバスで約10分、鶴見川を渡ったエリアにある『パライゾ ブラジル』です。

高さ約13cm。肉が4枚も入ったダイナミックバーガー

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

 この店の一番人気メニューが「Lanche Paraiso(ランチ パライゾ)」(1,500円)。ワクワクしつつ、店内のTVでブラジルの討論番組を観ながら待つこと15分、やってきたのは……! あれ? 思ったより普通サイズ。もっとマンガみたいに巨大なのが出てくるかと思っていたのですが…。

 しかし、バンズに挟まれた中身を見て驚愕しました。上から、バンズ、トマト、レタス、鶏胸肉牛肉の「ビステ」に、ブラジリアンソーセージの「カラブレーザ」、とろけるチーズの下にもハンバーガーミート! そして下のバンズ。

肉4腫! まさに肉祭り状態です。

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

 高さは約13cm、できたてのビッグマックぐらいの大きさですが、肉の割合が半端じゃありません。さっそく味わってみると、肉同士が喧嘩することなく、しっかりとまとまっています。「味付けは岩塩とコショウだけ、シンプルなのよ」とオーナーのサンタマリアさん。なるほど、シンプルだからこそ肉同士のクセがぶつからないわけですね。しかもクドくないので食べ飽きることがありません。

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

 底のバンズ側にある、とろけるチーズとそれぞれの肉がうまくマッチして、気づいたらあっという間に完食。ほどよい塩気とそれぞれの肉の食感の違いが、クセになりそうなおいしさ。料理と一緒に、ケチャップやマヨネーズ、そしておそらくタバスコとマヨネーズを混ぜたようなスパイシーなソースを出してくれるので、途中で味変も可能です。

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

 お店はオープンして約15年。最近ではブラジルの人だけではなく、おいしいとの噂を聞きつけた日本人のお客さんも多いそう。オーナーのサンタマリアさん曰く、このハンバーガーは「ブラジル人にとっては普通サイズよ」とのこと。

サッカーや格闘技などが強い、パワフルなイメージのブラジルですが、それにも納得です。

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

 イチボ肉500gにゴハン、サラダ、豆のスープがついた「イチボ焼き500g」(2,298円)も人気メニュー。長い串に刺さってドーンとやってくるイチボや見た目のインパクトもすごい。

 そして、前もって予約すれば、ブラジル弁当も頼めます。この日はごはんに、オクラのフェイジョアーダ、サラダ、ニョッキのトマトソース。ニョッキはパスタですが、粉モノをおかずにごはんを食べる……お好み焼きをおかずにする、関西文化と同じ匂いを感じます。

 ほかにも、ライス、サラダ、豆のスープがついた「ビーフカツ チーズ」(1,690円)や「ブラジルビーフシチュー」(1,260円)といった定食や、ブラジルのコロッケ「コシーニャ」(300円)、サクサクのパイ生地に肉やチーズを挟んだ「パステウ」(300円~)などもあり、おやつ感覚でブラジル料理を楽しむこともできます。

店内はブラジル一色。気分はプチ海外旅行

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

 店を出る前に、食材売場もチェック。ここで買えば自宅で本格的なブラジル料理に挑戦することもできます。料理をしないという人は、「インカコーラ」や「ガラナ」といった、炭酸飲料がおすすめです。

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

 店内は、食材売場とイートインコーナーに分かれています。

席数は32席あり、待たされることはまずありません。ただ、サンタマリアさんはじめ、スタッフの皆さんは日本語がまだ若干不慣れ。基本的なオーダーなどは問題ありませんが、そういう雰囲気も含めてブラジルらしさを楽しむのが吉です。

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 スタッフも張り紙もテレビもブラジルの母国語・ポルトガル語であふれるブラジル食堂『パライゾ ブラジル』。思いっきり肉を食べたい時、スタミナをつけたい時は、この店で、パワフルなお袋の味を堪能してみてください。

●SHOP INFO

実は南米タウン・鶴見のブラジル食堂で推定2000kcalの「ビッグバーガー」を食べてきた

店名:パライゾ ブラジル

住:神奈川県横浜市鶴見区栄町通3-26-4
TEL:045-503-6466
営:12:00~22:00、水~日10:00~(LO21:30)
休:なし

●著者プロフィール

石澤理香子

東京23区あるある研究所所長。某情報誌などで東京・神奈川・千葉を回り、常に街の情報に目を光らせている。その活動は、街に行ってフラフラ歩き、ソウルフードを食べ歩いたり、街のヘンテコなものを見つけたり。主な著書は豊島区や中野区など東京23区の「◯◯区あるある」(TOブックス刊)

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