日本のラーメンといえば、もはや“和食”の1つといっても過言ではありません。れっきとした食文化です。

年ごとにトレンドも変わり、次々とできる新店のメニューを食べれば、今の流行りのラーメンがわかります。

 今年8月にオープンした東京・吉祥寺の『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR 』も今風のスタイリッシュな店構えです。が、肝心の看板メニューがちょっと謎なのです。

「メガ盛りの油そばだ」という言う人もいれば、「とんこつ醤油だ」と言う人もいるし、「出汁そばだ」「激辛の油そばだ」と言う人も。ハッキリしない口コミですが、大別すると4つの意見があり、かなり違う味のよう。人それぞれ好みがあるにせよ、店には店のイチオシがあるはず。そこで、確かめに行ってきました。

片っ端から食べてみた!

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

 お店に伺ったのは午後2時過ぎ。コンクリート打ちっぱなしのグレーを基調としたクールな店内に、真っ白な券売機が浮かび上がっています。メニューを見ると、「醤油豚骨麺」(750円)と「油そば野菜」(800円)。他に野菜の量を増やした「油そば野菜増し」「油そば野菜増し増し」(各800円)。

「ん?? 出汁そばや辛い油そばは?」

 そこでお店の方に聞いてみました。すると「うちは昼と夜でメニューが変わり、“出汁蕎麦”と“油そば(辛)”は夜のメニューなんです」とのこと。

しかもこちらのお店、昼は『麺ハチイチ』、夜は『81 NOODLE BAR 』と店名まで変わるというのです。これはかなり斬新なスタイルです。では、いっそのこと1日で昼夜メニューを制覇し、勝手にイチオシメニューを探ることにしました。

上品な「醤油豚骨麺」に感激!

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

 まず、注文したのは「醤油豚骨麺」。“チャッチャ系”の大きな背脂とは違い、非常に細かな背脂が浮かんでいるスープです。レンゲでひとすくい飲んでみると、背脂の臭みは全くなく、むしろ食欲をそそる脂の甘い香り。そしてマイルドなコクがあります。カエシの醤油の塩味加減もよく、ネギとニンニクの香りも優しくて、じつに上品な味です。豚骨醤油といえば、昭和のラーメンの代表的な味でもありますが、それをかなりハイクオリティにアップグレードした感じです。

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!
吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

 続いて注文したのは『油そば野菜増し増し』。高さ15cm強に積まれたもやしのタワー。重量は約600gで、もやしは3玉分ほどです。見た目は、二郎系のガッツリタイプです。

その “もやしタワー”には、にんにく、背脂入りの濃厚な特製醤油ダレがかかっており、シャキシャキしたもやしの食感とタレの旨味で、飽きずに食べ進んでいけます。

 下の中太縮れ麺にたどり着くと、今度はさっぱり系のにんにく醤油ダレが潜んでおり、油の絡まった麺にもコクがあって相性が絶妙。麺の量は190g(茹でる前)と多めですが、二郎系とは全く違い、全体的にあっさりしていて、女性でもペロッと食べられる量です。

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

 次に注文したのは、夜のメニューの「油そば(辛)」。これは先ほどの「油そば野菜」とは違い、汁気がありません。なので、中太縮れ麺の食感の力強さがダイレクトに伝わってきます。むっちり、もっちり、シコッとした麺に、辣油や唐辛子の辛み、上品な脂の甘みが絡みつきます。

 そういえば、油そばは昭和30年前後の東京生まれ。平成初期に第一次ブームがあり、昨年あたりから、第2次ブームといわれていますが、ここのはかなりハイレベルな味です!

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

「油そば(辛)」の麺は、先ほどの「野菜増し増し油そば」同様の中太の縮れ麺。具は2種類のチューシュー、メンマ、刻み葱、海苔1枚。

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

 こちらの「醤油豚骨麺」や「油そば」を作った料理人・東野史郎さんにお話しを伺うと、

「うちの姉妹店にはホルモン焼肉の『ハチイチホルモン』(吉祥寺)があり、豚の様々な部位の上質な食材を仕入れることができるんです。とくにスープに使う、“豚ゲンコツ”や背脂はかなりこだわって、最高に質が良いものを使っているので、臭くないんですよ。

また同じく姉妹店の『油そば5坪』(東京・田無市)もあるので、そこの人気メニューを出しているんです」

驚愕の「出汁蕎麦」!

 ここまでいただいた3品だけでも甲乙つけ難く、すべて“イチオシメニュー”に思えてきました。そして、最後に登場した「出汁蕎麦」もまた、ものすごかったんです。

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

「出汁蕎麦」の見た目ですが、最近、最も流行っているシンプル系で、丼の中は、麺、スープ、ネギ、薄いバラチャーシューだけ。スープは、ザ・ニッポンを感じる昆布・煮干しの澄んだ旨み出汁です。麺をすすってみると、びっくり。思わず「この麺は蕎麦ですか?」と聞いてしまったくらい、繊細な香りが立ちます。和風出汁、繊細な麺。でもきちんとラーメンのコクを感じます。

 この「出汁蕎麦」を作ったのは先ほどの料理人の東野さんではなく、児島隼人さんという別の方。実は、ミシュランの「ビブグルマン東京2018」に掲載されている西荻窪の炭火焼・和食の店『はや人』の和食料理人で、実はそこも姉妹店なんです。

「私は和食畑で、今までラーメンは作ったことがなかったので、一から勉強したんです。色々試した結果、昆布と煮干しの出汁だけのスープにしました。

そして、その出汁に合わせるべく、岩手・盛岡の製麺所と4~5ヶ月かけて試行錯誤した結果、麺は全粒粉を配合することにしたんです」と児島さん。

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!
吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!
吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

 4つの麺を食べ終わってみると、どれも今の東京を代表するラーメンの味をブラッシュアップさせ、繊細に“旨み”を表現していることがわかりました。

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

「じつは、この店は日本が誇るラーメンを世界に広めるための旗艦店(フラッグシップ)としてオープンしたんです。姉妹店である3店舗の料理人の技術を結集して、毎日食べても飽きないよう、考え抜いたメニューです」と児島さん。

 確かに、「醤油豚骨麺」をはじめ、「油そば野菜」、「油そば(辛)」「出汁蕎麦」は、4つをローテーションで回して毎日、食べたいくらい魅力的です。ぜひ、皆さんも昼夜、通って全部を制覇してみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

吉祥寺の新店『麺ハチイチ/81 NOODLE BAR』の全ラーメンを制覇! 絶対食べるべきイチオシ麺はこれ!

店名:麺ハチイチ/81 NOODLE BAR

住:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-21-10
TEL:050-1428-8861
営:11:00~15:00
17:00~23:00(L.O22:30)
休:不定休

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