早稲田・高田馬場エリアといえば、早稲田大学をはじめ、各種専門学校が集まり、東京の中でも最も学生が多い街。安い・うまい・盛りが良いの三拍子そろった「ワセメシ」と呼ばれるごはん屋がたくさん並んでいます。

とりわけ多いのが、ラーメン屋さん。なんと、高田馬場駅~早稲田駅までの2kmほどの間に約50軒もあるんです。

 そんなラーメン激戦区に、2018年6月に滋賀県から参入したのが『近江熟成醤油 十二分屋』です。店名通り、近江(滋賀県)の熟成醤油を使った「醤油ラーメン」を看板にする店で、オープンして間もないのに、昼夜問わず、たくさんの人が店に吸い込まれていくのを目撃します。先日、筆者も食べてきました。

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

醤油の違いが面白い醤油ラーメン!

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

 メニューを見ると、醤油ラーメン(680円~)を看板にしつつ、実は“醤油ラーメン屋が作った”味噌ラーメン、鶏白湯ラーメン、つけ麺、和え麺などいろいろな麺があります。その数14種類! さらに、餃子(300円)、唐揚げ(450円)、焼きめし(500円)、豚丼(350円)、十二分屋丼(350円)など、サイドメニューも豊富。さすが「ワセメシ」に参入しただけあります。

 しかも、醤油ラーメンは3種類あり、一つひとつ使用する醤油が異なるとのこと。いったい何を選ベば良いのやら。そこで、店主の宮川さんに説明してもらいました。以下のとおりです。

 その1:
 標準の醤油ラーメンは「十二分屋そば」(680円)。

滋賀県彦根市にある、1853年創業の水谷醤油醸造場の本醸造の生しょうゆ「生地なり」を使っていて、キリッと引き締まった味わい。

 その2:
「十二分屋そば」より濃厚なのが「KOHAKUブラック」(750円)。ダイコウ醤油(滋賀県長浜市)の杉樽三年仕込みの「あまいろ(濃厚しょうゆ)」と、マルハマ醤油(島根)の「さしみしょうゆ」をブレンドした醤油を使っており、とろりと甘めなスープで、女性に人気。

 その3:
 最もコクがあるのタイプが、「十二分屋レトロ」(700円)。昔ながらの製法で、醤油の発酵・熟成感が強い岩佐商店(滋賀県高島市)の「マルイしょうゆ」を使用。旨味が深く、まろやかな味。

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

 さらに……

「実は、もう1つオススメの醤油ラーメンが「KOHAKU」(700円)です。これは『マルハマ醤油』の「淡口醤油」を使っています。うちの醤油ラーメンのスープは全て、羅臼昆布と蛤でとっていて、カエシ醤油と、最後に鶏油を入れます。醤油の旨みが強いと蛤の味が後ろに回るので、それを強く感じるにはこれくらいの薄口が良いと思います」と宮川さん。

 そこで、標準の「十二分屋そば」とオススメされた「KOHAKU」をお願いしました。なお、「十二分屋そば」のトッピングは、穂先メンマ、九条ネギ、低温調理の肩ロースのチャーシュー2枚です。

特製になると、海苔、味玉、チャーシュー2枚が追加されます。

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

 まずは「十二分屋そば」。大きなレアチャーシューや具が丼のフタの役割をしているようで、スープはアツアツ。一口いただくと、まず鶏の香りが強く感じられ、そのあと、芳醇な醤油の香り。一瞬、やや辛口にも感じるキリッとしたお醤油味ですが、ほんのりと甘みも感じます。麺は中細麺で、スッキリしたスープによく合います。

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

 続いて「KOHAKU」。スープの色は薄め。最初からはまぐりのエキスが舌に広がります。醤油味というより、塩味に近い端麗な味わい。こちらの麺は、平打ちで、スープとの絡みがとても良いんです。

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出
滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

 同じ醤油ラーメンというカテゴリでも、こんなに味わいが違うなんて。

まるで“利き酒”ならぬ“利き醤油”のようなラーメンです。これは面白い!

近江醤油の繊細な美味しさを伝える

「琵琶湖を擁する滋賀県は、古くから酒や醤油などの醸造業が栄えた地です。昔ながらの醤油造りをしている醸造場が多く、味わいの違う美味しい醤油がたくさんあるんです。ラーメンを通して、その魅力を東京の人にも紹介したいと思って、関東に初出店しました」と宮川さん。

 なるほど。醤油に対する相当なこだわりを感じます。では最も女性に人気と言っていた醤油ラーメン「KOHAKU ブラック」(750円)もいただかなくては…。ということで、翌日、再びお店へ。

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

 その名の通り、真っ黒なスープで、確かに醤油の旨みが濃厚! でもしょっぱくなくて、深くてまろやかなコク。一味が入っていて、そのピリッとした辛味が甘いスープによく合います。平打ち麺は、昨日のと同じものとは思えないくらい、味がしみていて、これは麺が楽しいラーメンだと実感。女性ウケがいいというのも頷けます。

 いやはや、これだけ味の違う醤油ラーメンを1軒のお店で食べられるなんて。しかも1品1品、麺や具材を絶妙に変えているあたり、研究され尽くしている感が素晴らしい。

 こうなると、「十二分屋レトロ」(700円)だけ食べていないので、ぜひトライしたいところです。みなさんも、早稲田の新しい「醤油ラーメン」を全制覇してみてください。ちなみに、学生さんたちが食べていた「唐揚げ」や「十二分屋丼」もかなり美味しそうでした。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

滋賀ラーメン『十二分屋』が東京初上陸! 近江熟成醤油と蛤の深うまい味にハマる人続出

店名:近江熟成醤油ラーメン 十二分屋

住:東京都新宿区西早稲田2-10-15 松村ビル 1F
TEL:03-6273-9112
営:11:00~21:00
休:火
https://twitter.com/notfoun0512/

編集部おすすめ