美味しいものが食べたい。でも体型のことも気になる。

そんな人のために、トレーナーの宮本健太郎先生がレクチャーする「筋肉メシ」。第1回目は、まずはやせやすい体に変えるための「タンパク質の摂り方」です。

やせたいのに、間違いだらけの食事とは?

 朝食を抜いて、腹ペコ。ついついお昼に「ラーメンライス」、「かつ丼とミニうどんセット」などガッツリ腹にたまるもの食べていませんか?

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

 こういった、一見するとお得なランチメニューは、栄養的に見ると「糖質+糖質」の組み合わせであり、全体的に「脂質」もたっぷり。肉体労働の人ならまだしも、オフィスワークの人にとっては明らかにカロリーオーバーです。

 昼ごはんをしっかり取るのは大事ですが、こういう「糖質と脂質」の組み合わせの繰り返しは、日々「太りやすい体」を作っているのと同じ。週末にランニングなどの運動をしても、なかなか体は変化しないはずです。

 また「糖質」や「脂質」をメタボの敵だと思って、ごはんや油モノを極端に減らす人も多くいます。一時的に体重は減りますが、じつは体は「太りやすく、痩せにくい体」になってしまっているのです。なぜなら、その前にやるべき肝心なことをやっていないからです。

 それはズバリ「タンパク質不足」を解消すること。

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

 そもそも「タンパク質」とは、筋肉をはじめ、骨、皮膚、髪の毛、歯、脳、さらに神経伝達物質やホルモン、血液など、全身の細胞を作る主成分です。

 体内の「タンパク質」が不足すると、全身の細胞は材料不足になり、日々行われる代謝(細胞再生)が正常に行われなくなってしまいます。

さらに体の中で最もカロリーを消費してくれる筋肉量も少なくなっているため、「痩せにくい体」になっていくのです。さらに言えば、細胞が劣化するので「老化や病気」の原因にもなっているんです。

タンパク質を優先的にとる暮らし

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

 とはいえ、私もラーメン、丼モノなどが大好きで、ときどき、ジムの近くの博多ラーメンや牛丼、焼肉も食べますし、さらにお酒も好きで飲みます。その食事1回が明らかに「タンパク質不足・糖質&脂質が過剰である」と重々承知な私でさえ、やめられないほど魅力的なわけです。

 だから、今回は、そういう食事も食べてもいいことにしましょう。ラーメンOK、牛丼もヨシ! しかし、体作りのトレーナーとしては、それだけで良いとはいえません。体を変えるためには、まず目指すべき最初の目標として「太りにくく、痩せやすい健康的な体」を作るのがベストです。

 なので、「タンパク質を優先的にとる」というのを食事のルールにしましょう。それが「代謝の良い健康な体」作りの早道だからです。

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

1週間21食と考えよう

「タンパク質を優先的にとる」というルール、最初の考え方として「1日3食」という捉え方をやめて、「1週間21食」と考えてみてください。朝、昼、晩の3回の食事をとるのはそのままですが、1日単位ではなく1週間単位で21食というカウントの仕方をするわけです。なお、今回は、習慣づけを優先するので、カロリーに関してはいったん考えなくてOKです。

 ところで人は、1日にどのくらいの量のタンパク質を摂ることが理想なのか、知っていますか?

 コンビニで売られている「サラダチキン」1個あたり、タンパク質約22g前後です。これをだいたい4つ分とるのが、成人が1日に必要なタンパク質量。

正確にいうと、体重1kgあたりの栄養必要量で1.5~2.0g。つまり体重60kgの人は90g~120g必要です。

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約束【1】「プロテインミール」を7回とる

「1週間21食」のうち、7食は「タンパク質優先型の食(プロテインミール)」にします。例えば、私のオススメのメニューで言うと、下のようになります。

・プロテイン1~2スクープ
・オートミール30~60g
・低脂肪のヨーグルト200gまたは牛乳200cc
・バナナ1本、またはオレンジ

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

 この1食で、1日のタンパク質必要摂取量の約半分の40~60gとることができます。サラダチキンなら2個分ですね。

 別の内容でも同量のタンパク質量を摂取する計算ができるなら、それで大丈夫です。自分が食べやすい「プロテインミール」を決めることが習慣づけには重要です。なお、この7食は朝に摂るのがベターですが、自分の生活スタイルに合わせて昼・夜のどこに持ってきてもOKです。

約束【2】動物性タンパク質を意識して摂る

 残りの14食は、メニューは自由ですが、肉や魚などの「動物性タンパク質」を必ず意識しておかずに入れてください。毎食だいたい手のひら一つ分が目安です。

 例えば、ポークソテーなら厚切り1枚は必須です。ちなみにこの時、豆腐などの「植物性タンパク質」をカウントしないでください。必ず肉や魚、卵、牛乳、チーズなど動物由来のものをとりましょう。

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 なお、定食スタイルがベストですが、もしラーメン、うどん、そば、丼などの単品メニューを食べたくなったら、「卵」や「肉」「魚」の入っているものにしましょう。また、1~2食程度は、羽目を外してお酒を飲むのもOKですが、ここでも「動物性タンパク質」のつまみは忘れずに食べてください。

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

タンパク質を毎日摂る重要性

 タンパク質を優先した「プロテインミール」をとると、オートミールはGI値(炭水化物が分解され、糖に変わるまでのスピード)が低いため、血糖値が上がりにくくなります。「血糖値が上がりにくい」=「お腹が空きにくい」ため、食事のドカ食いを防ぐ効果があるのです。

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

 ここで改めてタンパク質の必要摂取が大事な理由を確認しておきます。先に述べたように、タンパク質は筋肉だけではなく、全身の細胞を作る主成分です。

 タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。さらに、タンパク質は脂肪や糖質と違い、体内にため込むことができないので、余分にとっても、必要な分しか使われず、体外に排出されてしまいます。

 つまり、毎日欠かさずタンパク質を必要量摂取しておかないと、不足した分だけ、体にダメージが蓄積していくということなんです。

 とくにプロテインパウダーで摂取するのをオススメする理由としては、カロリーが低く、簡単で効率よくタンパク質を摂取できるから。まずは「プロテインミール」を1週間7回とる習慣から始めてみてください。(続く)

今回の筋トレ「スクワット」

 体の中でも大きな筋肉から鍛えていくことが代謝の良い体に変えるポイント。そこでまずは下半身の筋トレの代表格「スクワット」を毎日、習慣づけましょう。

今回意識する筋肉は、「太ももの前、後ろ、お尻」の3つの筋肉です。

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

1.肩幅に両足を開き、つま先はやや外に向けます。手を頭の後ろで組みます。重心はややかかとにおきます。

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2.1.の状態からお尻を突き出すようにして、しゃがんでいきます。

3.膝よりもお尻が少し下にきたら、立ち上がります。この時、膝よりつま先が前に出てもOKですが、横から見た際、背中とふくらはぎが平行になるのが正しいフォーム。これを10回繰り返し、1セット。3セット行います。

(取材・文◎土原亜子)

●お話しを聞いた方

現役トレーナーに聞く筋肉メシ! 「タンパク質」を賢く摂って、食べても太りにくいカラダになるには?

宮本健太郎

『エベレストフィットネス』代表。日本体育大学卒 第一種高等学校教諭(保健体育)。全米ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。

NSCA認定パーソナルトレーナー。大学生時代よりプロボクシングでの競技生活をスタート。競技引退後は某有名ボクシングジムのチーフトレーナーとして後進の育成に従事し、2011年から2018年3月までこの職を勤めトレーナーとしてのスキルを磨く。今季夏より独立し、ボクシング&フィットネスのジム『エベレストフィットネス東高円寺』を経営。
https://everest-fitness.jp

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