「排骨(パイクー)担々麺」をご存知ですか? “豚のから揚げ=排骨(パイクー)”を載せた坦々麺のことです。本場は中国ですが、日本でもたまに中華屋さんなどでみかけます。
そんな「排骨担々麺」の専門店が東京・神保町に登場したという情報を入手しました。店名は『排骨担々 五ノ井』。さっそく調査に行ってきました。
絶品のサクサク排骨(パイクー)!

暖簾をくぐった瞬間、ふと不安が頭をよぎりました。パイクー(豚の唐揚げ)と担々麺の組み合わせ。非常に魅力的ですが、普通のラーメン以上にしつこいのでは? と心配になったのです。油で揚げているし、担々麺もこってり味だし。
券売機には、「排骨担々麺」を筆頭に、「排骨ラーメン」「排骨冷やし担々麺」「排骨冷やし」などが並び、とにかくパイクー推しがすごい。そこで看板メニューの「排骨担々麺」(1,000円)を注文してみました。
カウンターのお客さんを見ると、そのパイクーをダブルにする「排骨担々 ダブル盛り」(1,400円)を食べている人も! よほどのパイクー好きとお見受けします。

ご主人は、オーダーが入ってから、下ごしらえしてある豚肩ロースをフライヤーで揚げていきます。次に矢邉製麺所製の中細麺を茹で、丼にラー油とカエシのゴマだれを投入。
絶妙なタイミングでパイクーが揚がり、中華包丁で、ザクザク切ったら、担々麺に投入。青菜とネギを載せて、完成です!

山椒の香り、ゴマの香り、そして揚げたてパイクーの香ばしい匂い。香りの三重奏に、胸が踊ります。まずはパイクーを一切れ。表面はサクッとしていて、中は柔らかくてジューシー。
今度は、レンゲを深く差し込んで、濃厚なスープを一口いただくと、意外や意外、さっぱり系の麻辣味です。投入されていた真っ赤な「ラー油」も、色の割に辛さは控えめ。ゴマダレのまろやかな風味が合わさって、とても優しい味です。

麺を啜っているうちに、パイクーは沈んでいき、衣が担々スープを吸っていきます。この柔らかくなった衣も、かなりいい感じ。
店主に一問一答!
美味しいものを食べたら、やっぱり質問したくなります。というわけで店主の五ノ井さんに一問一答!

──パイクーの美味しさの秘訣は?
五ノ井さん:うちのパイクーは、豚肩ロースをタレに漬け込んで、片栗粉をつけて揚げています。揚げ具合は、肉の真ん中まで火が通る少し手前。熱々の担々麺の上に載せるので、お客さんが食べる頃に、じんわり中まで火が通ってジューシーに仕上げるように心がけています。

──香りがとてもよかったのですが、その秘密は?
五ノ井さん:ラー油は、四川の山椒と唐辛子をたっぷり入れてゆっくり火にかけ、シビれ感よりも香りを移す方法で自家製ラー油を作っています。また、ゴマを粗めに擦って粒を残したゴマだれを作って、複数の醤油と合わせて返しにしています。
──担々麺がとてもさっぱりしていましたが、どんな工夫を?
五ノ井さん:ベースのスープは鶏の胴ガラ、豚のゲンコツ、香味野菜。親鶏を丸々1つ使って煮込んだ中華スープです。うちはいわゆるピーナッツペーストを入れないタイプのさっぱり系。

──ご主人の経歴を教えてください!
五ノ井さん:以前は和食の修業をしていたのですが、父に誘われ渋谷の排骨担々麺の老舗『亜寿加』に入り、2代で料理人をやっていました。父と一緒に新しい店を立ち上げるつもりだったのですが、残念ながら他界してしまい、私一人で開くことにしたんです。

五ノ井さんの穏やかな話ぶりを聞いていて、このお店の排骨担々麺がさっぱり、優しい味で食べられる理由がよくわかりました。
ちなみに、「排骨冷やし担々」や「排骨冷やし」というメニューもありますが、なんと通年のメニューなんだそうです。「冬の乾燥してくる時期になると、意外にも “冷やし”が良く出ます。のど越しがいいからかもしれませんね」と五ノ井さん。
カリッと揚がったアツアツのパイクーと冷やし担々麺の組み合わせは、さらにさっぱり食べられそうです。みなさんもぜひ味わってみてください!
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:排骨担々 五ノ井
住:東京都千代田区神田猿楽町1-3-6
TEL:03-3259-0125
営:11:00~15:30 16:30~21:00
土11:00~17:00
休:日・祝
https://twitter.com/paikutantan