未曾有の最大10連休が実現される、2019年のゴールデンウィーク。来たるべき超大型連休に向けて、現在、旅行の計画を練っている方も多いと思います。

 今回、そんな皆様に向けて、通常連載の対象エリアとなっている東京都から範囲をググッと拡大し、日本全国を対象に、各エリアで特にオススメできるラーメン店を、エリアの特徴にも簡単に触れながら、紹介させていただきます。

 紹介すべき事項が膨大になることが予想されるため、今回の特集は「東日本編」と「西日本編」の2編に分けてご紹介。その上で「東日本編」では、北海道エリア、東北エリア、関東エリア、中部・北陸エリアを、「西日本編」では、近畿エリア・中国・四国エリア、九州・沖縄エリアを対象とし、「ここは、是が非でも足を運んでいただきたい!」と太鼓判を押せる優良店について言及することにします。

 このコラムが、皆様方のGW中の旅行計画づくりの一助となれば、これ以上の喜びはありません。では、2回目となる今回は「西日本編」です!

「近畿エリア」は大阪・京都を中心に回るべし

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀の6府県から構成される近畿エリア。

 全国クラスの実力店を数多く擁し、近畿のみならず、西日本最大のラーメン激戦区として名声を轟かせる大阪府、近畿ラーメンシーンの源流を形成する老舗に加え、毎年約50軒に及ぶ新店が産声を上げる京都府、最近、話題店が続々とオープンし、ラーメン好きから熱い視線が注がれる兵庫県と奈良県、全国でも指折りの有名ご当地麺〈和歌山ラーメン〉を生み育てた和歌山県、〈近江ちゃんぽん〉等のご当地麺を擁し、琵琶湖沿いの狭いエリアに良店がひしめく滋賀県。

 近畿エリアのラーメンシーンは、ザックリと申し上げれば、ラーメンのレベル(質)、ラーメン店の数(量)ともに圧倒的な大阪府・京都府を中核として、これら二県の影響が兵庫県・奈良県・滋賀県にまで及び、一大ラーメン文化圏を構築している状況。

加えて、ご当地麺王国「和歌山県」が独自の存在感を放ち、同エリアにキラリと光る個性を与えている。

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン
【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 大阪府と京都府で召し上がっていただきたいオススメ店は、『カドヤ食堂本店』(大阪市)、『中華蕎麦 葛』(大阪市)、『烈志笑魚油 麺香房 三く』(大阪市)、『麺や 而今』(大阪府大東市)、『麺や 紡』(大阪府茨木市)、『彩色ラーメンきんせい』(大阪府高槻市)、『らぁ麺とうひち』(京都市)、『麺屋 極鶏』(京都市)、『新福菜館本店』(京都市)、『無鉄砲本店』(京都府木津川市)等。多少ラーメンがお好きな方であれば、一度はその名を耳にしたことがあるだろう、錚々たる全国レベルの名店ぞろいだ。

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 また、兵庫県の『らーめん専門 和海』(尼崎市)、奈良県の『麺屋NOROMA』(奈良市)、和歌山県の『うらしま』(紀の川市)、滋賀県の『ラーメンにっこう』(彦根市)等も、これらの県に立ち寄る機会があれば、万難を排して足を運んでおきたい人気店だ。

 以上、関東エリアに次ぐ店舗数の多さを誇り、大阪府だけでも、100軒回った程度では底が全く見えない奥深さがあるが、初めて近畿に足を運ばれるのであれば、大阪府一県に的を絞るか、大阪府と京都府を鉄道で往来しながらおススメ店を攻略していくのがベストだろう。この二県に関しては、石を投げれば優良店に当たるほどラーメン店が充実している。

限られた胃袋の容量で何軒回れるか。その点のみが懸案事項となるだろう。

ご当地麺の宝庫「中国・四国エリア」は3県横断がオススメ

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 広島県の〈尾道ラーメン〉〈広島中華そば〉〈広島式汁なし担々麺〉〈広島つけ麺〉〈呉冷麺〉、岡山県の〈笠岡ラーメン〉、山口県の〈下松牛骨ラーメン〉、鳥取県の〈鳥取牛骨ラーメン〉〈素ラーメン〉、徳島県の〈徳島ラーメン〉、高知県の〈鍋焼きラーメン〉。これらは、すべて中国・四国エリアのご当地麺である。

 中国・四国エリアのラーメンシーンを理解するに当たっては、他のエリアにも増してご当地麺に注目し、それらの麺を提供する代表格となる店を把握しておくことが重要。

 例えば〈尾道ラーメン〉の本拠・尾道市であれば、この系統を知る上での「要」となる『朱華園』(尾道ラーメンの元祖)と『つたふじ本店』(『朱華園』と並ぶ尾道ラーメンの名店)』に、広島市であれば〈広島中華そば〉なら『中華そば陽気』(同系の伝説的名店)、〈広島式汁なし担々麺〉なら『きさく』(元祖)、〈広島つけ麺〉なら『新華園』(元祖)に、呉市であれば、〈呉冷麺〉の元祖である『珍来軒』に足を運べば良い。

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン
【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 行程としては、数日掛けて岡山、広島、山口の三県を横断するルートがオススメ。

一例として、岡山県の岡山市(『冨士屋』『だてそば』)、笠岡市(『坂本』『いではら』)から、広島県尾道市、広島市を経由し、山口県下松市(『紅蘭』『北斗亭』)にまで至れば、大変充実した食べ歩きとなるはず。

 腰を据えて1ヶ所に留まり、〈徳島ラーメン〉〈鳥取牛骨ラーメン〉といった、分布するエリアが広範囲にわたるご当地麺をガッツリと食べこんでみるのも、もちろん「アリ」な選択肢だ。

広い「九州・沖縄エリア」は目的を絞って食べ歩きを!

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 九州は、主に豚骨等を強火で炊き上げた白湯スープにストレート麺を合わせた「豚骨ラーメン」の印象が根強いエリア。そして実際に、豚骨ラーメンを提供する店の数はきわめて多いのだが、一括りに「豚骨」と言っても、食べ比べが楽しめるほどには、各県で提供されるラーメンの味には差異があり、それが九州ラーメンシーンの魅力へと直結している。

「豚骨ラーメン」の「豚骨」とは「豚の骨(ゲンコツ・アタマ・背ガラ等)から採った出汁を用いたスープ」という意味以上の何物でもなく、用いるタレ・油・麺によって、味が変わるのは、むしろ当然のことなのだ。

 強火で豚骨を炊き上げた濃厚スープに、博多よりやや太いストレート麺を合わせた〈久留米ラーメン〉が、九州豚骨ラーメンの源流だ。

オススメ店は福岡県の『大砲ラーメン本店』(久留米市)、『沖食堂』(久留米市)など。

 豚骨にさらに「鶏」を加えて出汁を採ったスープに、マー油(焦がしニンニク油)をトロリと垂らした〈熊本ラーメン〉も、独創性に優れたラーメンだ。オススメ店は『こむらさき』(熊本市)、『黒亭』(熊本市)など。

 また、甘み豊かなカエシが鮮烈な印象を刻む豚骨スープに、柔らかなストレート麺を合わせた〈佐賀ラーメン〉も、九州ラーメンを語るに当たって欠かすことができないご当地麺だ。オススメ店は『いちげん。』(佐賀市)、『もとむら』(佐賀市)など。

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 その他、〈熊本ラーメン〉の源流である熊本県玉名市の〈玉名ラーメン〉(オススメ店:『天琴』『桃苑』)や、ニンニク&胡椒をデフォルトで強烈に利かせた大分県佐伯市の〈佐伯ラーメン〉(オススメ店:『遊楽』『藤原来々軒』)といった、地域性が強いご当地麺にも喩えようのない妙味がある。

 九州は「福岡県」「佐賀県」「熊本県」「大分県」「長崎県」「宮崎県」「鹿児島県」の七県の集合体。したがって、その総面積は相当広大であり、対象を特定の1、2県へと絞り込み、その県内の実力店をじっくりと巡り歩くのがオススメの行程ということになる。

 個人的には、九州ラーメンが初体験であれば、ぜひ久留米へと足を運んでもらいたい。上述したとおり、久留米市は九州豚骨ラーメン発祥の地。大型休暇の機会を捉え、九州豚骨のルーツに思いを馳せてみるのも悪くない選択だ。

【西日本編】ラーメン官僚が厳選! GWに食べたい日本全国の超優秀ラーメン

 また、沖縄県は、九州から地理的に隔絶され、九州とは全く異なる麺文化を有する。同県が誇る麺料理と言えば、何と言っても〈沖縄そば〉。沖縄そばは、県内の数多くの店舗で提供されているが、初訪問であれば、手堅く『山原そば』(本部町)、『首里そば』(那覇市)、『元祖大東ソバ』(那覇市)などの定番店を押さえておきたい。特に『首里そば』は、首里城観光の際に容易に立ち寄れる優良店。ぜひ足を運び、絶品の沖縄そばをご堪能いただきたい。

●著者プロフィール

田中一明

フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。