今日の仕事終了! 電車に乗って家に帰る前に、ちょっとだけオンからオフへ切り替える時間が欲しい。そんな時にふらっと寄りたい、美味しいお酒と料理、そしてあたたかい雰囲気の店、あったらうれしいですよね。

 神田周辺はもちろん、大手町や日本橋にお勤めの人も、仕事帰りに寄り道して、一杯飲みにくる神田駅エリアの飲食店。中でも、古き良き雰囲気が感じられ、魚が美味しいと評判の店が『神田 新八』です。1981年のオープン以降、常連さんが多く、ずっと愛され続けているその理由とは?

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

 1階には小上がりの座敷席とテーブル席、2階にはカウンターと座敷席、3階には個室などがあり、用途によって様々な使い方ができる『神田 新八』。

「昔は一般的な居酒屋でしたが、昭和の後半に新亀酒造さんとの縁をきっかけに、美味しい純米酒が飲める店として周知されて。今は神亀酒造の日本酒を中心に純米酒で80種前後揃えていますよ」と女将の佐久間さん。

 さらに『神田 新八』が客の心を掴み続けているのは、下町の雰囲気と気さくなサービス。

常連客の中には、スタッフのファンとなって通い続けている人もいるとのこと。なるほど、長い間人気のお店なのに納得です。

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

 もちろん、料理だって一切の手抜きはなし。米は契約農家で収穫された米で、野菜は千葉・三里塚の有機野菜。素材の良さプラス、新亀酒造の酒粕に北海道のクリームチーズを漬けたものや、遠野のどぶろくで作るドレッシングでいただくサラダなど、料理の一つ一つにストーリーがあり、食べる時の楽しみの一つになっています。

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

 ここにきたら絶対に食べたい名物料理といえば魚料理。

刺身、焼き魚、煮魚など、旬の一番美味しい魚を味わえます。

 ではどんな料理が出てくるのか、名物・看板料理をいくつか紹介します。

旬の魚、そして味の相乗効果を生み出す日本酒で乾杯!

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

 まずは、『神田 新八』に来たら必ず注文して欲しいのが、「のどぐろ」。通年で提供されており、時期により、九州~日本海沿いで水揚げされる日本で一番美味しいものが味わえます。

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

 もちろん刺身も絶品。白身、赤身の魚や貝など、旬の美味しさを堪能できます。

刺身はもちろんですが、極細に切られたツマの大根には、これまた極細ミョウガやシソがあえてあり、このツマだけでも美味しい! 九州の糸島で作られているとろりとした手作り醤油を少しつけて味わうと、旨みと清涼感が口の中に広がります。

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

 合わせるお酒は店の顔の一つでもある、神亀酒造の純米清酒「ひこ孫」。実はこのお酒、醸造において「協会9号」という古いタイプの酵母を使用しているため、発酵過程でコハク酸や乳酸が多く出現し、このコハク酸が料理に含まれるアミノ酸やグルタミン酸と混じることで、味の相乗効果を生み出しているそう。味は辛口なのに、遠くに品のある甘さがあり、まさに料理と一緒に味わうのにぴったりのお酒です。

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

 ちなみに、3階の席の予約時にリクエストすれば、女将の三味線演奏を楽しむこともできるので、外国から来たお客さんなどを接待するのにも喜ばれそう。1階は喫煙可、2階は禁煙と分かれているので、居酒屋イコール煙が嫌、という人と飲むときにもオススメです。

 ふらっと1人で入って、日本酒をゆったり味わうのもいいし、予約して複数で行って、女将の弾く三味線をBGMに、旬の料理を味わうのもよし。

 ちなみに“新八のレジェンド”の作る「鯵の南蛮漬け」は、見つけたらすぐに注文を! 暑い季節なら、契約農園で採れた「だだちゃ豆」や、おひたし、和え物などもオススメですよ。

(撮影◎島本絵梨佳 取材・文◎石澤理香子)

●SHOP INFO

東京下町の名酒場、神田『新八』で酒と魚と下町情緒に浸ってきた

神田新八 (かんだしんぱち)

住:東京都千代田区鍛冶町2-9-1
TEL:03-3254-9729
営:16:00~23:15(料理LO22:30、ドリンクLO22:45)
休:なし