「つくね」といえば、焼きとり屋やモツ焼き屋などで、なんとなく&とりあえず、注文してしまう定番串の1つです。
ですが、侮ってはいけません。
作り方は、ミンチ肉をこねて丸め、串に刺して焼く、といたってシンプルです。しかし、お店によって、使うお肉は鶏肉だったり、豚肉だったり違いますし、使う部位もそれぞれ異なります。また、軟骨や蓮根を入れて食感で楽しませてくれたり、焼き方やタレのこだわり、食べ方などの工夫があったり。たかがつくね、されどつくね。なのです。
つまり、「つくね」を食べれば、その店の“やる気”や“良し悪し”がわかると言っても過言ではありません。そこで今回、東京の「絶品つくね」の店を3軒、食楽web編集部の目線でセレクト。さっそくご紹介しましょう。
巨大で繊細! 西荻『焼きとり よね田』のジャンボつくね

まずは、西荻窪に本店がある『焼きとり よね田』です。1階は店を囲むようにカウンターがあり、平日休日問わず、ぐるりとお客さんで常に埋まっている人気店。
席についたら、ドリンクオーダーと同時に厳選した鶏肉ミンチ肉の「つくね」(1本250円)をオーダーしておきましょう。

その理由はというと…びっくりするほど巨大だから。一般的なつくねの4倍ほどはあると思います。その証拠に串が4本刺さっていて、持ち上げるとつくねがガクンと頭を下げるほどの重量感。そのジャンボつくねを、しっかり焼き上げるのに時間がかかるのです。
箸で割ってみると、ハンバーグのごとくジュワーッと肉汁が溢れるんです。食べると、細かく刻んだ鶏軟骨が柔らかいのに絶妙なコリコリ感。さらに、さっぱりとした醤油ダレのキレの良さ。いわゆる継ぎ足し系の深~い味なんです。
ちなみに、「トッピング目玉焼き」を一緒に注文しておくと、皿の下に目玉焼きがのって登場します。この目玉焼き、最後にバーナーで焼いているので、黄身がとろとろ。この黄身とタレを絡ませながらジャンボつくねを食べるです。
1本でかなり食べ応えがあるので、女性はシェアするのがオススメですが、男性や胃袋に自信がある女子は、1人1本、注文してみてください。大満足するはずです。
1人1本厳守! 大門『秋田屋』の絶品「たたき」

続いて絶品のつくねが味わえる店は、東京・大門の『秋田屋』です。つくねではあるのですが、正確に言うとメニュー名はつくねではなく「たたき」(220円)。使っているのは豚肉。ちなみに従業員同士では「だんご」と呼んでいます。

店先に焼き場があり、紀州備長炭で1串1串、焼き職人が丁寧に焼き上げているのが見えます。特製の「たたき」は、専用のアミでがっちり挟み、何度も裏表の返し焼きをしていきます。

出来上がると、それはまるで“シシケバブ”のように表面は黒々、見た目は引き締まっています。しかし、噛むとソーセージのごとく肉汁がプシュ~と出てきて、柔らかくジューシー。そして肉の旨味が濃くて、細かな軟骨もたくさん入っていて、完璧! それを包み込むタレも、スッキリしつつ深くて上品な味なんです。

1本と言わず何本も食べたくなる、後を引く味なのです。しかし、ここの「たたき」は1人1日1本厳守。もう1本頼もうとすると、お店のおばちゃんに「1人1本っ!」と注意されますので、心して1本をじっくり味わってください。
考えた人すごい! 新宿『もつ焼き処 沼田』の「つくP」

3軒目の絶品つくねのお店は、新宿三丁目の『もつやき処 沼田』、もしくは『モツ煮込み沼田』で出している名物「つくP」(1串430円)です。Pはピーマンのことで、半分に切った生ピーマンの上に団子つくねが載って出てきます。肉は、豚肉。ここに豚の喉なんこつの刻みが入っています。
食べ方は、「ピーマンの上でつくねを潰し、ピーマンの肉詰めのようにしてお召し上がりください」とお店の方。言われた通りに食べてみてください。

生ピーマンのみずみずしくてシャッキリした食感とほのかな苦味。炭火でカリッと焼いたつくね団子とその絶妙な塩加減。パリッとピーマン、ふわっと肉団子、そして中にコリコリのなんこつ。

というわけで、絶品つくね3選、ぜひ食べに行ってみてください。ちなみに、「つくねの美味しい店は、煮込みも旨い」という方的式があります。そちらもぜひお試しください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:焼きとり よね田
住:東京都杉並区西荻窪3-11-10
TEL:03-3332-2094
営:17:00~23:30(22:50LO)、土16:00~23:30(22:50LO)、日・祝16:00~22:30(21:50LO)
休:無休
店名:秋田屋
住:東京都港区浜松町2-1-2
TEL:03-3432-0020
営:15:30~21:00LO、土15:30~20:30(20:00LO)
休:日・祝・第3土
店名:もつやき処 沼田
住:新宿区新宿3-12-3
TEL:03-5269-8320
営:17:00~24:00
休:三連休以上の連休最終日