ラーメンの探求をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンを、エリアを問わず食べ歩く、“ラーメン官僚”こと田中一明さんが、2019年にオープンした都内の注目店を厳選してご紹介。年明けの食べ初めにもぴったりな“ラーメン神セブン”です。
実力派店主が手がける「キング製麺」|王子

シックな深緑色に彩られたシックな店舗。2軒のミシュランガイド掲載店舗を率いる水原店主が切り盛りする3rdブランドが、こちらの『キング製麺』だ。
同店の1杯の最大の特長は、自家製麺を用いていること。それも、ただの自家製麺ではない。家製麺の名店『手打焔(那須塩原市)』へと何度も足を運び、その技法を自分なりに検討・分析し、紡ぎ上げた渾身の力作。

基本メニューは「白だしラーメン」。片口イワシ、昆布、アサリ等の魚介素材に加え、大量のカツオから出汁を採ったスープは、刀のごとく研ぎ澄まされたうま味が、食べ手に鮮明な印象を刻む。そのスープを、自家製の平打ちストレート麺が余すところなく拾い、口元へと運び込む。これを飲んで感動のため息を漏らさない食べ手など存在しないだろう。
●SHOP INFO

店名:キング製麺
住:東京都北区王子本町1-14-1 高崎ビル 1F
TEL:非公開
営:11:00~15:00
休:火曜、金曜 ※不定休あり
九条ネギの香り豊かな逸品「和歌山ラーメン まる岡」|亀有

ご当地麺「和歌山ラーメン」の実力店『和歌山ラーメンまるイ』で腕を磨いた店主が、本場仕込みの1杯を提供。看板メニューは、修業元と同じくネギラーメン(メニュー名は「定番ネギラーメン」)。契約農家から直送された九条ネギを、スープが隠れて見えなくなるほど盛り付けた独特の構成は、食べ手に鮮烈な記憶を刻み込むのに十分。

スープや麺も、新店とは思えないほどクオリティが高い。国産豚骨を2日間かけて炊き込んだスープは、ザラリとした骨粉の触感を排除すべく徹底的に漉(こ)すことで、滑らかな口当たりと奥深いコクを演出。
●SHOP INFO

店名:和歌山ラーメンまる岡
住:東京都葛飾区亀有5-20-14
TEL:03-5856-3358
営:11:00~21:00
休:水曜
新時代を拓く貝出汁ラーメン「宍道湖しじみ中華蕎麦 琥珀」|雑色

オープンは、2019年5月1日。看板メニューは、券売機の筆頭を飾る「宍道湖しじみ中華蕎麦(塩)」。
スープが口の中へと飛び込んだ瞬間、気品ある島根県・宍道湖産の蜆の香りがそよ風のように鼻腔へと駆け抜け、間髪を入れず、貝由来のコハク酸のうま味が味蕾をしっとりと潤す。塩ダレも、まろやかさとカドを兼ね備え、蜆の魅力を等身大以上に引き出す傑作。スープが喉元に触れた後の余韻も並大抵の心地良さではなく、食べ手は鳥肌を立てるしか術がない。

麺もこだわりの塊。名門『菅野製麺所』から数多くのサンプルを取り寄せ、試食を重ねた上で厳選。しなやかさとコシの強さを兼ね備え、過不足なくスープを持ち上げる麺は、この1杯における最適解だ。
●SHOP INFO

店名:宍道湖しじみ中華蕎麦 琥珀
住:東京都大田区西六郷2-1-3
TEL:非公開
営:11:30~14:30、18:00~21:00
休:日曜、祝日
「鶏」を極めし鶏清湯ラーメン「自家製麺 純」|立石

オープンは、2019年6月19日。店主は、ラーメン愛が高じ、ラーメン職人養成学校である『食の道場』の門を叩き、この度一国一城の主となった経歴の持ち主。
基本メニューは「地鶏醤油」。素材ごとに出汁が抽出できるタイミングを逆算しながら寸胴に投入し、最高の状態で採るよう心掛けているというスープは、鶏の羽ばたきが聞こえてくるような気がするほど、等身大の地鶏のうま味が引き出されたもの。啜る度に、鶏の滋味がじわりと身体中の細胞へと沁みわたる。

スープに被せる液状油として地鶏の鶏油を、トッピングとして鶏つくねを採用するなど、複数のパーツを鶏で統一し、一体感のある食味を構成しようとするギミックにも光るものがある。自家製麺ももちろん、こだわりの塊だ。
●SHOP INFO

店名:自家製麺 純
住:東京都葛飾区立石8-3-6
TEL:03-5875-6046
営:11:00~14:00、17:00~20:30、日曜11:00~14:30(各L.O.)
休:月曜
千葉の実力店が都内へ凱旋!「麺道わがまんま」|葛飾区金町

6月21日、千葉県鎌ヶ谷から東京(葛飾区金町)へと移転リニューアルオープン。おススメは、移転を契機に新たに開発した「~ホタテとチーズの~麺道旨塩らーめん」だ。
ラーメンの素材としては珍しい素材(ホタテとチーズ)を、主役へと抜擢した思い切りの良さもさることながら、両主役を支える動物系ベースの清湯出汁も会心の出来映え。塩ダレの介添えも相まって、身体中の細胞が歓喜で震え出すほど分厚い滋養味を実現している。さらに、「トリュフ」に香りの一翼を担わせるギミックも駆使。

ラーメンという枠に収まらないダイナミックな発想力が、食べ手を惹きつける強力な武器となっている。
●SHOP INFO

店名:麺道わがまんま
住:東京都葛飾区東金町1-39-1 グリーンハイツ金町 1F
TEL:非公開
営:11:30~15:00、17:00~22:00 ※スープなくなり次第終了
休:不定休
“ノスラー”を「今」の1杯へ。「らーめん処 くろ助」|新高円寺

店主は、多くの実力派店主の下で修業し、ラーメンづくりに必要なノウハウを地道に習得していった努力の人。お客さんとの繋がりを大切にしたいと、目指すのは、老若男女を問わないスタンダードな1杯だ。
基本メニューは「醤油ラーメン」。スープは、鶏を主軸に据えつつ豚・香味野菜を織り交ぜた動物系出汁と、「エソ」の煮干しを主役とした魚介出汁を、絶妙なバランスでブレンドしたもの。

合わせる醤油ダレも、妥協とは無縁。舌上で大きく膨らむ醤油のうま味、喉元に心地良い余韻を残す上質な風味が、丁寧な工作を想起させる。
食べ進めるにつれ、新たなうま味が顔を出し、味覚中枢が歓喜に沸き立つ。気が付けば、丼が空っぽになっていた。
●SHOP INFO

店名:らーめん処 くろ助
住:東京都杉並区梅里2-24-13 民団杉並支部ビル 1F
TEL:03-5929-7506
営:11:30~14:00、18:00~翌1:00 ※日曜のみ22:00閉店
休:不定休
ラーメン界のゴッドファーザーが手がける「スタミナ満点ラーメンすず鬼」|三鷹

『麺屋とらのこ(閉店)』『麺酒やまの』など、数々の実力店を手掛けてきた力量の確かさに加え、その親しみやすい人柄から、ラーメン界のゴッドファーザーと称される鈴木店主が手がける三鷹の『すず喜』が、夜営業の時間を活用して始動させた二毛作店。
基本メニューは「スタ満ソバ」。
「『アリランラーメン(千葉県の地ラーメン)』『二郎系』に加え、千葉県のご当地麺『竹岡式ラーメン』もオマージュしている」というスープは、豚の重厚なコクがうま味の中央部にドカンと鎮座。ひと口啜れば、ガツンと濃密な醤油ダレのうま味が口内の隅々にまで拡散し、その後、艶やかなニンニク油の香味が、鼻腔を心地良く刺激。まさに、レンゲを持つ手が止められない味わいだ。

このスープに合わせているのが、「すすり応え良し・噛み心地良し・風味良し」の三拍子が揃った自家製極太麺。甘辛い醤油ダレがたっぷり沁み込んだトッピングの「豚バラ肉」も、食べ手の胃袋を鷲掴みにする。
●SHOP INFO

店名:スタミナ満点ラーメンすず鬼
住:東京都三鷹市下連雀3-28-21 公団三鷹駅前第2アパートB-1
TEL:070-2797-8807
営:18:45~24:00(仮) ※売り切れ次第終了
休:日曜