いよいよ2020年が幕開け! 初詣にはどちらの寺社仏閣を訪れますか? 初詣の醍醐味はただ参拝するだけでなく、普段は訪れることのない街のグルメや雰囲気を楽しむことにもあります。

そこで今回注目したのが、毎年、参拝客数ランキング2位を誇る「成田山新勝寺」。

成田駅前から約800m続くこの表参道には、150店以上の飲食店や土産物屋が軒を連ねています。この中から地元が愛してやまない老舗の名物グルメを3つ、ご紹介します。
鰻を捌く、焼く、職人技が圧巻! 風情あふれる鰻店『川豊』

成田は、利根川や印旛沼の川魚が豊富に採れる地域でした。そのため、昔から現在に至るまで、成田グルメといえば“鰻”といわれるほど、参道には約60店もの鰻店が並んでいます。

その中で一際存在感を放っているのが、明治43年創業の「川豊(かわとよ) 本店」。3代目が後を継ぎ、来年で110年目を迎えるこの店は、平日の昼時でも1時間待ちになる日も珍しくないほど客足が途絶えません。表参道に漂う香ばしい香りに誘われ足を止めると、職人が手際よく鰻を捌き、丹念に焼きあげる姿を見ることができます。

趣のある建物はその昔、「旅籠」として活用されていたもの。門前町の風情を感じながら、鰻を堪能できるのも人気の秘訣です。1、2階の広い座敷スペースに腰掛け、川魚のつまみが付いたビールや日本酒をいただきながら、「うな重」が出てくるのを待ちます。

待ってました! スタッフがテキパキと働くこの店は、客入りまで計算され尽くされ、そんなに待たずに「うな重」がテーブルに出されます。鰻はその時の最高のものを目利きで仕入れており、現在は鹿児島県大隅産や愛知県三河産の鰻を主に使用しています。

ふっくらとした鰻は箸でスッと切れて、口の中でほろほろと崩れ、とろける食感。これはウマい! 創業から継ぎ足し続けた伝統のタレは甘すぎず、コクがあり、鰻の旨味もよく感じられます。

店先の捌きたての鰻に串を打ち、サッと白焼きしてから蒸し器で蒸して余分な脂を落とし、旨味だけを残して蒲焼にする……。すべては職人の経験による絶妙なタイミングでなされるからこそ、この食感、旨味が生きているのです。
●SHOP INFO
店名:川豊 本店
住:千葉県成田市仲町386
TEL:0476-22-2711
営:10:00~17:00(L.O.)
休:なし(不定休あり)
ネタがデカい! 職人の粋もいい! 『成田江戸ッ子寿司』

扉を開けると、「へい、らっしゃい!」と威勢のいい板前さんの声で威勢よく出迎えてくれる『成田江戸ッ子寿司』。昭和13年創業、3代に渡り続く、参道では一番古い老舗の江戸前寿司店です。

長いカウンターの上のケースには、成田の市場から仕入れた新鮮な魚介がずらりと並びます。その数、およそ30種類! 東京の寿司屋にも負けない豊富さで、握りにするもよし、刺身もよし、オススメの一皿でいただくもよし。板前さんと会話を弾ませて、寿司屋ならではの雰囲気も味わいましょう。

「今の時期は金目鯛や北海道の生ダコ、白子やあん肝がオススメ。縞アジや穴子も絶品だよ!」。板前さんにオススメされるまま、お寿司を握ってもらいました。江戸前らしい「大きなネタ」も圧巻です。

新鮮で脂ののったネタは、とろける美味しさ。さらに、シャリが見えないほど分厚い名物の「玉子」もオススメの一つ。大味ではなく、三つ葉とエビ入りの繊細な美味しさを感じます。
成田という場所柄、外国人が多く訪れるのもこの店の特徴。カウンターで隣りあったら、美味しい寿司をツマミに会話を弾ませるなんてこともザラ。これぞ、世界に誇る寿司の成せる技ですね。
●SHOP INFO

店名:成田江戸ッ子寿司 参道本店
住:千葉県成田市花崎町536-10
TEL:0476-22-0530
営:11:30~14:30(L.O.)、17:00~22:00(L.O.2130)
休:なし
こってり懐かしい味でボリューム満点!『鉄板焼きそば 鈴木』

参道から路地を入っていったところにポツンと佇む平屋。ここに、知る人ぞ知る老舗の『鉄板焼きそば 鈴木』があります。店主の鈴木さんが50年近く営業を続け、地元に愛される味を守り続けてきました。
地元の学生にはこの焼きそばで育ったという人も少なくなく、大人になっても忘れられない味を求めて帰ってくる人も多いそう。濃い目のこってりとした焼きそばの味には、そんな魔力があります。

喧騒から外れた店には飲食スペースもあり、窓からはのどかな風景が広がります。

少し濃厚なソース味が、どこか懐かしくて美味しい! 「並」は屋台の焼きそば3つ分くらい、「特盛」は皿にこんもり山ができるほどの結構なボリュームです。麺は中太でボソボソと短く切れていて、具はキャベツのみで青海苔と紅生姜がトッピング。味付けはブルドックソースですが、隠し味が入っているのかスパイシーさが残ります。こってりと油っぽいですが、箸が止まらない! ペロリと食べてしまいました。

余談ですが、鈴木さん曰く、近隣の成田高校の生徒(成高生)が訪れると、特盛がさらに特大盛になるとか。今も昔も成高生にとっては憩いの場。いつまでもあり続けて欲しい、いろんな意味で味わい深い店です。ちなみに、1月8日までは残念ながらお休みなので、時期をずらして成田山詣に出かけて、立ち寄ってみてください。
(撮影・文◎草地麻巳)
●SHOP INFO
店名:鉄板焼きそば 鈴木
住:千葉県成田市上町698-1
TEL:0476-23-0316
営:11:00~15:00
休:火・水曜
※不意な休み、早めに店を閉める場合あり。年末年始は12月31日~1月8日までお休み予定