「メスティン」といえば、キャンプ好きの間では言わずと知れたアウトドアギア。とはいえ、キャンプとは無縁な人からすれば「何それ?」と思うはず。

筆者もキャンプはしたことがあるものの、基本的にはインドア派なので、その存在を知ったのはつい最近のこと。

 メスティンは、スウェーデンのトランギア社が生み出した携帯食器であり、調理道具にもなるアイテムです。今回はこのメスティンを自宅で使ってみたので、その魅力をご紹介したいと思います。

シンプルなデザインと機能性を兼ね備えた調理ギア

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 メスティンにはサイズが2種類あり、いずれも熱伝導率の高いアルミでできています。熱が全体に回りやすく、アルコールバーナーでもごはんが炊けます。通常サイズの炊飯容量は約1.8合まで、ラージサイズの炊飯目安は約3.5合までとなっており、1人分なら通常サイズ、2~3人分ならラージサイズを使うのがいいでしょう。

 取っ手は折りたたみ式になっているので、持ち運びやすいのも魅力のひとつ。アウトドアではメスティンを食器にしたり、小物入れにしたりといった使い方もできます。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 メスティンを使ううえで唯一面倒なことといえば、フタと本体の縁をやすりでなめらかにしないと使いづらい点と、シーズニングが必要な点。これさえ済ませれば長く使えるので、これらの手入れは最初に忘れずにしておきましょう。

メスティンで「レモンローズマリーチキン」に挑戦!

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 今回は初めてのメスティンだったので、メスティンを使った2冊のレシピ本を購入してみました。メスティン愛好会の「メスティンレシピ」と「メスティン自動レシピ」(山と渓谷社)です。後者は固形燃料を点火するだけで作れるレシピを紹介しており、今回は家庭用ガスコンロを使うので前者のレシピがとくに参考になりました。なお、ここで紹介するレシピは筆者がさらに簡素化したものなので、気になる人は本を購入してください!

 というわけで最初に作ったのは「レモンローズマリーチキン」です。

用意したのは鶏もも肉1枚、レモン1/2個、刻みにんにく大さじ1、塩適量、ブラックペッパー適量、オリーブオイル大さじ1、料理酒大さじ1、ローズマリー2枝。さらにれんこんなどの根菜を加えたり、料理酒は白ワインに変えたりしてもいいと思います。

 鶏もも肉はひと口大、レモンを薄切りにしたら、密封袋にレモン以外の材料をすべて入れ、よく揉み込みます。下準備はたったこれだけ!

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 あとは、メスティンに密封袋の中身とレモンを入れ、フタをして強火で3分、弱火で5分加熱していきます。ガスコンロの場合、加熱しすぎないように注意してください。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 完成したのがこちら。弱火でじっくり加熱したのでうまく蒸し焼きされており、鶏肉がすごくジューシーに。短時間でこんなにしっとり仕上がるとは、メスティン恐るべし!

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 にんにくたっぷりですがレモンが加わることで後味がさっぱりしていますし、これはワインのおつまみにもなりそうです。

ごはんものは加熱後の蒸らしを忘れずに

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 続いて作ったのは「塩鮭ごはん」。米を浸水する時間を含めると、およそ70分ほどかかりますが、レモンローズマリーチキンと同様、点火してからは火加減の調整だけでOKです。

 メスティンにお米、料理酒、水を入れて30分待ちます。浸水し終えたら塩鮭、薄切りにしたみょうがを入れてフタをして弱火で17~20分ほど加熱しましょう。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 加熱し終えたら、フタを下にしてタオルやふきんで包み、10分間待ちます。

この蒸らし時間が直火でごはんを炊くときには欠かせません。蒸らし終えたら、千切りにした大葉を散らして完成。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 味付けは鮭の塩気のみですが、これだけで十分です。ごはんの仕上がりもバッチリで、まさかこんなに薄いアルミ製の鍋でここまでおいしくごはんが炊けるとは思ってもみませんでした。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 メスティンから直接ごはんを食べていると、家の中なのにキャンプで食事をしているような気分になれるのも面白いです。

メスティン1つでデザートも作れる

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 メスティンといえば食事を作る道具というイメージが強いですが、おやつ作りにも使えます。今回は「チョコチップバナナケーキ」を作ってみました。

 ホットケーキミックスと牛乳をしっかり混ぜ合わせ、バナナは輪切りにします。メスティンの本体とフタにバターをしっかり塗ったら、先ほどのホットケーキミックス、バナナ、板チョコを入れましょう。これで準備は終わりです。

 フタをしたら弱火で6分、さらにひっくり返して3~4分焼きます。この焼き加減がどうしても難しく、焼きすぎると焦げてしまうので要注意。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 完成したチョコチップバナナケーキがこちら。そう、最後に載せたチョコレートが焦げてしまったんです……。チョコレートは上に散らすのではなく、なかに入れるほうが焦がさずに済むと思います。とはいえ、味はなかなかのもの。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 通常、ホットケーキには卵を入れるので、卵なしで作ると味気ないのではと思いましたが、チョコレートとバナナのおかげでまったく問題ありません。ただし、冷めてから食べると少しあっさりしすぎている気がしたので、アツアツのうちに食べるのがおすすめです。

インドア派も必見! キャンプの定番調理道具「メスティン」を自宅キッチンでフル活用してみた

 メスティンには蒸し器や燻製器として使うための網や、ハンドルカバー、保温袋などのオプションパーツも用意されています。シンプルな道具だからこそ、使い方は無限大。ぜひ自分なりの使い方を見つけてみてください。

●DATA

トランギア

https://www.iwatani-primus.co.jp/products/trangia/

●著者プロフィール

今西絢美

「おいしいものナビゲーター」として、調理家電や食に関する記事を執筆。フードツーリズムマイスター、利酒師の資格も持つ。ウェブサービスやアプリのトレンドも絶賛追跡中。

コンテンツ制作会社「TEKIKAKU」取締役。

編集部おすすめ