無性に食べたくなるもののひとつに「餃子」があります。その衝動は突然やってきます。
餃子ってB級グルメの筆頭格に挙げられますが、実はヘルシーな食べ物。餃子の皮の中に、肉やニンニクなどの薬味や香味野菜がたっぷり詰め込まれているんですから。つまり、栄養素がバランスよく詰まった完全食!? そんなことを考えていた矢先、たまたま飯田橋を訪れる用事があり、思い出しました。ここには餃子の名店『おけ以(おけい)』がある。3年連続でミシュランのビブグルマンにも選ばれた知る人ぞ知る、老舗の中華料理店です。

駅から2分くらい。コロナ禍ということで少し営業時間がずれていますが、お昼のラストオーダー間際に入店できました。久しぶりの『おけ以』の餃子に、心が踊ります。あの絶品の味は今も変わってはいないか…期待は膨らむばかりです。
「東京の餃子といえば、おけ以」…その味わいは健在!

店内は街の中華屋さんといった風情で、とても落ち着きます。なんと創業66年目。現在の店主は、3代目の馬道 仁さんです。
創業当時から変わらないレシピで忠実に伝統の味を守りながら、いかに香ばしく、今の人にも受け入れられる餃子に仕上げるか、試行錯誤。そうして、現在の「香ばしい焼き色が付いた羽根付き餃子」となったのです。

座ってすぐ、餃子1人前とビールを注文しました。餃子は焼き上がりまで7~8分。最初は鉄鍋に強力粉入りの水を入れて餃子をコーティングながら蒸し煮します。水分がなくなってきたら最後に大豆油を回しかけ、焼き色が付けていきます。皮の香ばしさを物語るように、パチパチといい音を鳴らし、いい香りが漂ってきました。
冷凍してから焼くことで、香ばしい餃子が出来上がる

焼き上げる際、馬道さんが火加減を見ながら鉄鍋をクルクルと回していきます。これは火の当たり具合を均等にするためだそう。実は、カリッとフワッと美味しく焼き上げるための工夫はこれだけじゃありません。餃子の餡は寝かせることで旨みを引き出し、出来上がった餃子は一旦冷凍し、水分を飛ばしているそう。

「餃子は最初、蒸し煮するので、冷凍しないとすいとんみたいに膨らんでベチャッとしてしまう。
香ばしい焼き色、香りがたまらない!

こうして、香ばしい焼き色をした『おけ以』の餃子が出来上がっているんですね。綺麗な焼き具合を見た瞬間、「久しぶりにやってきてよかった~!」と幸せな気分に。早速一口。あぁ~、これです。このパリパリ感。どこか懐かしい味。そして、シンプルなのに深い旨みが肉汁とともにやってきます。まさに、至福の瞬間…。
食感や大きさのバランスも絶妙ですが、最大のポイントは餡の優しい味わい。粗めに挽いた豚バラ肉に白菜、ニラ、生姜を混ぜ(ニンニクは未使用!)、味付けは塩コショウと少々のうま味調味料のみで仕上げています。

他の料理を食べればわかりますが、『おけ以』の味付けは「優しさがベースにある」。余計な素材を入れず、味付けもシンプル。
「ぜひ、最初の1個は何も付けずにそのままお召し上がりいただき、旨みを感じてください。あとはお好きな味付けでどうぞ」と馬道さん。こんなに噛みしめて味わう餃子、久しぶり。ほっこりした気分で溢れ、すっかり餃子に癒されました。
餃子は1人前からテイクアウトも!

ちなみに餃子は、テイクアウトもできます。1人前から4人前までの容器もあるそうなので、お土産や夕飯のおかずに買って帰るのもいいですね。テイクアウトを美味しく味わうなら、オーブンで温めるのがオススメだそう。もしくはフライパンでうっすらと焼いて、温めてもよし。
ちなみに「お取り寄せ」もできますが、現在 2か月待ち。期待しながら餃子が届くのを待つもいいですが、お店で食べる焼きたての味は別格ですよ。

(撮影・文◎草地麻巳)
●SHOP INFO
餃子の店 おけ以
住:東京都千代田区富士見2-12-16
TEL:03-3261-3930
営:11:30~13:50(L.O)、夜17:00~20:00(L.O)
休:日曜・祝日・第3月曜
https://okei-gyoza.com/