JR「中野駅」より徒歩およそ5分。中野ブロードウェイを抜けた先に、どこかノスタルジックな雰囲気をただよわせる喫茶店を見つけました。

その名も『不純喫茶ドープ』。おしゃれカフェ全盛のこの時代に喫茶店。しかも“不純”とは、いったいどういうことなのでしょう? 心が揺さぶられます。

 実はここ、昼は定番の喫茶メニューを提供する「純喫茶」と、夜はお酒とおつまみも楽しめる「喫茶酒場」と、ふたつの顔を持っているお店で、週末になると行列もできるほどすでに人気を集めているんだとか。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 入口前のケースに並ぶのは、コーヒーをはじめ、色とりどりのクリームソーダやプリンなどの喫茶店定番メニューのサンプル。宙に浮いたスパゲッティが郷愁を誘います。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 35年前からある喫茶店を、ほとんど手を加えずにリフォームした店内。年季の入った壁や家具などはほぼそのまま残しており、いわゆる“わざとらしさ”のないレトロ感にあふれています。こちらではどんな喫茶メニューが楽しめるのか、早速ご紹介していきましょう。

童心にかえる『不純喫茶ドープ』の定番メニュー

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 喫茶店の定番として、「クリームソーダ」と「ナポリタン」は欠かせません。「クリームソーダ」はソーダのほか、メロンやはちみつレモン、いちごの4種類がラインナップされています。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 名物メニューの「ナポリタン」は、ソフト麺を意識したという太麺を使用。具にはタマネギとベーコンなどが入っていて、ケチャップでシンプルに味付け。

もはやこれは「パスタ」ではなく「スパゲッティ」と呼ぶにふさわしいたたずまいです。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 太麺を使用しているだけあり、フォークに巻き付け持ち上げてみるとずっしりとした重量感。こげたケチャップの甘さがほどよくからんだ麺はしっかりとコシがあり、食べごたえがあります。具のベーコンも大きめにカットされているので、ボリューム感たっぷり。シンプルな味付けながら飽きもこず、最後の一口まで満足感のある一皿です。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 合間に味わったのは、鮮やかな青色のソーダにバニラアイスが浮かぶ、定番スタイルの「クリームソーダ」。ソーダは、プール帰りに食べていたかき氷の味を彷彿させる懐かしい味わい。ソーダがからまるアイス部分の炭酸のシュワシュワ感と、やさしい甘さの絶妙な口当たりがたまりません。

 夜の酒場メニューには、通常のクリームソーダにくわえて焼酎入りの「クリームソーダハイ」も登場! お通し(280円)に麦チョコをそえてくれるユニークなサービスもあり、昼間と同価格というのもうれしいポイントです。

人気の「昭和プリン」は必食! 充実の喫茶メニューにも注目

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

『ドープ』を訪れたら必ずオーダーしたいのが、看板メニューの「昭和プリン」。これに合わせて「ニトロコーヒー」もオーダーします。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

「『とろけるプリン』が流行る中、いい意味で昔の“雑”なイメージのプリンを再現した」というのが、この「昭和プリン」です。方々を探しまわり、ようやく手に入れたというデザート皿にのせて供されます。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 見た目からして頑丈さを感じる形状。生クリームとサクランボのトッピングが彩りを添えます。一口すくって持ち上げてみると、しっかりした固さと重量感。そんじょそこらじゃ崩れない、ゆるぎない安定感があります。

 甘みはひかえめ。やさしい卵の風味がふんわり広がるプリンは、なめらかな口あたりながらもぎっしりと身の詰まった濃厚さを感じます。軽い食感の生クリーム、苦みよりも甘みが強いカラメルとの相性も絶妙。小学生のころに友達のお母さんが作ってくれたプリンのような、手作りのぬくもりを感じられる一品です。

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

 窒素ガスを合わせてサーバーから抽出する「ニトロコーヒー」は、黒ビールのような見た目が特徴的。ストローを使わずグラスから直接飲むのがお店のおすすめです。

 クリーミーな口当たりとさっぱりした後味。苦みも少ないので、何も入れずにそのままグイグイと飲み進められます。

夜の酒場タイムには、「ニトロビール」580円、「ニトロハイ」550円、「ニトロハイボール」550円もあるので、ぜひ試してみてください。

コンセプトは「せつない気持ちのゴミ捨て場」

“不純”な喫茶店って何!? 『不純喫茶ドープ』(中野)で郷愁ナポリタンを食べてきた

『不純喫茶ドープ』をプロデュースした井川さんに、お店のコンセプトについてのお話を伺いました。「喫茶店が普及した時代は、お酒を提供して女性が接客するキャバクラのような業態もひっくるめて“喫茶”と呼ばれていました。その中で“純喫茶”は、純粋に喫茶メニューだけを提供する店として差別化されたのです。『不純喫茶』はその逆再生というか…、お酒も提供していますしね(笑)。色々意味があるんですけど、皆さんの解釈で楽しんで頂ければと思います」

 昔の純喫茶の内装をほぼそのまま使っているのも、こだわりのひとつです。「オールドスクールへのリスペクトです。昔の喫茶店を知る世代には懐かしく、若い世代には新鮮に感じてもらえてるのが面白いですね」(井川さん)

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 同店の会計システムはすべて「Paypay」などの電子マネーや交通系IC、クレジットカード対応の「キャッシュレス決済」。現金は一切使えません。入店時にはスタッフが確認してくれますが、この点だけはご注意ください。

 なつかしさと新しさが交錯する『不純喫茶ドープ』。昭和と令和のハイブリットな魅力をぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

(撮影・文◎櫻井れき)

●SHOP INFO

店名:不純喫茶ドープ

住:東京都中野区新井1-9-3 2F
営:12:00~23:00(L.O.フード22:00/ドリンク22:30)
休:不定休

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