“からあげの聖地”である大分県中津市に隣接する宇佐市は、“からあげ専門店発祥の地”と言われています。宇佐市にはからあげの名店が多数ありますが、中でもカラアゲニストならば誰もが知るお店が『からあげ太閤』。
この太閤に唯一分家を認められたのが、熊本市に本店を置く『宇佐からあげ禅閤』です。10月2日、この禅閤の都立家政店がオープンしました。日本唐揚協会認定カラアゲニストとしては、試さずにはいられない! というわけで、矢も楯もたまらずさっそく現地へ向かいました。

西武新宿線・都立家政駅南口を出て、商店街を少し歩くと人だかりができていました。ここが今回のお目当て『宇佐からあげ禅閤 都立家政店』。からあげ好きたちがさっそく大挙して買いに訪れているようです。筆者もその人だかりに混じって注文します。「骨なしもも」(100g280円)と「骨なしむね」(100g240円)を、それぞれ醤油ダレ味、塩ダレ味で。それに加え、「手羽先」と「とり皮」もいただくことにしました。
超実力店のからあげを実食! その味わいは?

オーダーすると番号札を渡されます。数分待つことになりますが、この待ち時間が嬉しい。
5~6分ほどしてからアツアツのからあげを受け取り、さっそく実食。まずはムネ肉から。ほっくりと柔らかい食感です。塩ダレ味は旨塩系の味付けで、ほのかに塩の旨みも感じられます。醤油ダレ味も、肉に歯を入れたとたん、醤油の香ばしい風味がグンと迫ってきます。弾力のある歯ざわりも楽しい。

そしてモモ肉。こちらでは鶏皮で肉をひとつひとつていねいにくるんでいます。これは本家の太閤直伝の製法。衣がカリッとした食感に仕上がるだけでなく、肉の旨みと肉汁を閉じ込める効果もあります。
このモモ肉、とにかく肉汁がスゴい! さすが、しっかりと旨みが閉じ込められています。肉が“肉汁まみれ”の状態で、舌の上でツルンと滑るよう。油断していると、勢い余って口から飛び出してしまうのではないかと思ってしまうほど。しかも衣が極薄! カリッとした爽快な音とともに崩れ始めた衣が、肉汁に溶かされながら、じわじわと肉と一体になっていきます。
こんな絶妙な衣には、そうそうお目にかかれるものではありません。醤油ダレ味は醤油の風味、塩ダレ味は塩の旨みとかすかな甘み、そこに鶏皮のコクも加わった、ダブルパンチな美味しさに完全にノックアウトされてしまいました。

とり皮は薄焼きのお煎餅のようなバリッとした食感で、おつまみだけでなく、おやつにもいけそうな味わい。食べ始めると止まらなくなるパターンです。ところどころに「肉が付いてるのかな?」と思うような厚い部分がありますが、もちろん肉ではなく皮の一部。ここが少しモッチリとした食感でまた美味しく、ちょっと得した気分になります。そして手羽先も肉厚で骨までしゃぶりたくなる美味しさ。

開店直後にお邪魔しましたが、お店の前では多くの通行人が足を止め「わあ、からあげ屋さんだ」と驚嘆と歓喜の入り混じったような声を上げていました。みんな大好きなからあげで、しかもふんわりといい香りが辺りに漂っていることもあり、思わず足を止めてしまうのもわかります。こんな美味しいからあげ屋さんがオープンした都立家政にお住まいの人は幸せですね。ちょっとうらやましくなってしまった筆者でした。
●SHOP INFO

店名:宇佐からあげ禅閤・都立家政店
住:東京都中野区若宮3-15-6
TEL:03-6337-5741
営:11:00~20:00
休:無休
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。