日本でもすっかりお馴染みとなった言葉「春節」。ニュースでもよく耳にする言葉です。
台湾でも1年に1度のお待ちかね、みんな楽しみな旧正月。大晦日には家族や親戚一同が集まり、一家団欒を過ごします。そんな時台湾では、どんなものを食べているのか、ちょっと気になりますよね。日本のようにお節料理のようなものはあるのでしょうか。
台湾の旧正月の過ごし方とは?

台湾の大晦日には家族が集まり、まずは先祖に供養。テーブルには、いつもより豪華な料理が並びます。でも実は日本のように、年越し蕎麦やお節料理といった定番料理は少なくて、地域や中国大陸の出身地によって、料理が異なるのだとか。言うなれば、各家の伝統のご馳走がドーンと並ぶ「団欒飯」というイメージです。
それでも共通してよく食べられるのが水餃子。
縁起が良くて、豪華な料理とくればぜひ食べてみたいもの。今回は東京と東京近郊で、台湾の旧正月料理が食べられるレストランを紹介します。
台湾江浙料理の高級店『點水樓(ディエンシュイロウ)』(四谷)

最初は、新宿の高級台湾江浙(こうせつ)料理店『點水樓(ディエンシュイロウ)』です。『點水樓』は台北でも有名な高級台湾江浙料理店。台湾版ミシュランと呼ばれる「台湾レストラン評価」で、2度の5つ星を獲得しています。こちらは日本ではまだ珍しい、中国東部の江蘇省・浙江省で発祥した伝統的な料理の「江浙料理」が食べられるレストラン。出来立てを味わってほしいと、テイクアウトはしていません。が、この度春節をお祝いして5つの料理を期間限定で、新宿伊勢丹にて販売予定(2022年1月26日~2月1日)。高級店の味を簡単に自宅でも味わえます。
名物料理のひとつで名物の牛肉麺「點水樓四谷別館特製牛肉麺(ディエンシュイロウヨツヤベッカントクセイニュウロウメン)」

『點水樓』の人気メニューのひとつ、「牛肉麺」も販売が決定。10種類の漢方スープと、筋のないやわらかで大きな牛肉が美味しい牛肉麺が、お家で食べられるとはうれしい限りです。
食べ応えたっぷりのフカヒレのスープ「元〓(チュウ/[中/皿])鶏湯翅(ユェンゾンジ-タン)」

フカヒレが入った豪華なスープも、ご家庭で簡単に楽しめます。生姜が効いたスープは、丸鶏を10時間以上煮込んで、旨みを存分に引き出しています。これに1人前35gのフカヒレが入り、見た目にも華やかで旧正月にはぴったりの一品です。
やわらか絶品!台湾風豚の角煮料理「點水カオ(火へんに考)方荷葉夾(ディエンシュイカオファン)」

やわらかな食感が美味しい台湾風豚の角煮「點水カオ(火へんに考)方荷葉夾(ディエンシュイカオファン)」も登場。皮付きの豚バラ肉をまる一日煮込むという、手間ひまかけられた料理です。角煮は脂身の甘さを感じ、ひと口食べるとスッと溶けるような美味しさ。今回は中華バンズの「割包(グァバオ)」付きで、バーガーとしても楽しめます。
彩りも鮮やかにな「雪菜素包(シェイチャイスーバウ)」と「海鮮米粉(ハイシェンミィフェン)」

温めるだけの簡単冷凍パックは、中華饅頭とビーフンもあります。『點水樓』が今回販売する中華まんは「雪菜素包(シェイチャイスーバウ)」。もともとは中国の農家で作られる冬の料理で、シャキシャキな食感が楽しく、雪菜の程よい苦味がたまらなく美味!
そして筆者もイチオシの「海鮮米粉(ハイシェンミィフェン)」も販売。干しなまこ、タラバガニ、えびなどの豪華な食材から出た旨みたっぷりスープをビーフンが吸って、美味すぎるんです。
この5つの料理は、1月26日から2月1日まで新宿伊勢丹の地下食品売り場の催事スペースで販売されます。しかもレストランで食べるより、かなりお得な料金での販売というから嬉しい限り。上記の5品がセットになった、「5点セット」(17500円・税込み)で購入できます。高級店のあの味を、気軽に簡単に家でも味わえるとあって注目です。
●SHOP INFO

店名:點水樓四谷別館(ディエンシュイロウ)
住:東京都新宿区四谷3-13-23
TEL:03-6709-9681
営:ランチ11:30~15:00(L.O.14:00)、ディナー17:00~22:00(L.O.21:00)
休:なし
※時価により価格改定が行われる可能性有り
華やかな旧正月料理が食べられる! 台湾料理『青葉』(新宿)

新宿の歌舞伎町のビルの地下にある台湾料理『青葉』。創業は1970年、歴代首相や著名人も足繁く通う老舗の名店です。こちらを取り仕切るのは、桃園出身の李克順オーナーシェフ。13歳で台北の料理店で修業を始めた、台湾料理一筋60年の大ベテラン。李シェフに台湾の正月料理を伺ったところ、早速目にも鮮やかな料理を紹介してくれました。
僧侶も壁を乗り越えてくる美味さのスープ「佛跳牆(フォーティャオチァン)」

まず紹介してくれたのは、「佛跳牆(フォーティャオチァン)」というスープ。直訳すると、僧侶が飛び越える壁という意味。フカヒレやアワビ、なまこなどの高級乾物を使い、あまりの美味さに修行中のお坊さんも壁を越えてぶっ飛んでくるという、通称「ぶっ飛びスープ」の名で親しまれています。
漫画「美味しんぼ」でも紹介され、日本でも有名になったスープは、世界三大スープのひとつです。
皮付き豚を醤油、紹興酒などでじっくり煮込んだ「紅焼蹄膀(ホンシャオティーパン)」

こちらは『青葉』の名物料理でもある「紅焼蹄膀(ホンシャオティーパン)」。台湾の国際料理大会で日本代表として出場し、2年連続で金賞を受賞した至極の一品。大きな皮付きの豚足は見た目も豪華で、手の込んだ料理を出す正月料理の中でも、メインとなる一品なのだとか。油で揚げてから4時間以上煮込むという、手間ひまのかかる料理ですが、箸でスッと切れるほどやわらかな肉に感動です。

『青葉』の料理は日本人に合わせた味ではなく、「台湾そのものの味になるように調理している」と話す李シェフ。同店のメニューは現在220種類以上。「もし、メニューにないものがあったら、言ってくれれば作るから。」と笑う李シェフ。
●SHOP INFO

店名:青葉(あおば)
住:東京都新宿区歌舞伎町1-12-6 歌舞伎町ビルB1
TEL:03-3200-5585
営:11:30~23:00
休:なし
シャンパン×台湾料理のペアリングを楽しめる『富錦樹台菜香檳(フージンツリー)』(日本橋)

お酒と食事を一緒にする文化がない台湾の中で、お酒とともに楽しむ台湾料理を推奨し話題となった『富錦樹台菜香檳(フージンツリー)』。日本の一号店COREDO室町テラス店は、商業施設ビルの中にありながら、テラス席では開放感が味わえると人気のお店です。レストランがあるのは誠品生活を有するフロア。まわりの台湾ショップでお買い物をしながら食事も楽しめるので、台湾好きにはお馴染みです。そんなハイセンスな『富錦樹台菜香檳(フージンツリー)』は、自宅で味わえるテイクアウトメニューの「春節セット」を昨年より販売しています。
自宅でのんびりシャンパンと「春節セット」

自宅でのんびりと旧正月気分を満喫できる「春節セット」。2人で楽しむのにちょうど良いサイズ感で、少しずついろんな料理が味わえるのがいいところ。今年の「春節セット」の内容は、代表料理を二段重に盛り込んだ富錦樹台菜香檳風お節です。一の重は、ナツメとハイビスカスのソースが美味しい豚バラ肉の角煮や、台湾揚げ出し豆腐が入った5品、二の重は、台湾産カラスミのチャーハン、プライムビーフの一口ステーキなど5品と豪華なもの。販売期間は1月17日(月)~2月28日(月)で、当日の店頭注文も可能ですが、スムーズな受け取りをしたいなら受け取り希望日の前日18時までの予約がおすすめです。
伝統的な台湾料理をベースに、新鮮な野菜やフルーツを取り入れ、油を控えたヘルシーでやさしい味わいが『富錦樹台菜香檳(フージンツリー)』のコンセプト。台湾本店と同じレシピで調理しているので、台湾の人気店の味がお家でも味わえます。
●SHOP INFO

店名:富錦樹台菜香檳(フージンツリー)
住:東京都中央区日本橋室町3-2-1 COREDO室町テラス2F
TEL:03-6262-5611
営:当面の間11:00~22:00(※通常は11:00~23:00)
休:なし (ただし施設に準ずる)
横浜中華街で随一の台湾菓子専門店『茂園』(横浜)

台湾菓子も旧正月には欠かせない“縁起の良い食べ物”として知られています。横浜中華街にある、台湾菓子の専門店の『茂園』は、中区に自社工場を構え、伊勢佐木町で台湾菓子を販売しています。
ナッツぎっしりの「伍仁月餅(ウーレンウェイピン)」

日本でもお正月に向けて、スーパーではパックの大袋のお菓子が登場しますが、台湾でも春節の時期には、スーパーなどでは大袋のチョコやクッキー、伝統的なお菓子がたくさん売られるのだとか。「いつもより豪華なお菓子が登場するので、帰省の土産に持って帰る人も多い。」と語る黒岩さん。『茂園』の春節のイチオシは、3つのお菓子。
まずは、カシューナッツやくるみなど5種類のナッツが入った「伍仁月餅(ウーレンウェイピン)」。小豆などの餡はなく、入っているのはナッツだけという高級品で、思う存分ナッツが味わえる月餅です。
黒餡に塩漬卵が2個入る「双蛋黄月餅(スァンタンファンウェイピン)」

次は、上品な甘みの黒餡にアヒルの塩漬け卵が2つ入った「双蛋黄月餅(スァンタンファンウェイピン)」。「丸い形は円満を表す縁起物とされるので、旧正月のお菓子として人気が高い。」のだとか。この黒餡は黒みつをギュッと凝縮したような深いコクがあって滑らかで、もう驚くほど美味しいんです。どれにするか迷ったら、まずはこちらがオススメです。
甘さとしょっぱさに止まらなくなる「蛋黄酥(ダンファンス)」

サクサクのパイ生地のような「酥(スー)」は、小麦粉とバターなどで作られる焼き菓子のこと。この「蛋黄酥(ダンファンス)」という焼き菓子は、小豆餡に塩漬けのアヒルの卵黄を丸ごと入れた豪華版です。やさしい甘みの餡に、少し塩気を感じるアヒルの卵黄がベストマッチ。甘さとしょっぱさがひとつで味わえる焼き菓子です。
定番人気の「パイナップルケーキ」から、サクサクパイの「太陽餅(タイヤンピン)」まで、種類豊富な『茂園』。ここのお菓子は甘さ控えめで、どれもとっても美味しいんです。ひとつ180円からと手頃な価格も魅力的。中華街の散策の際、ぜひチェックしてほしいお店です。
●SHOP INFO

店名:茂園
住:神奈川県横浜市中区山下町220
TEL:045-663-0901
営:11:00~21:00
休:不定休
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日本とは少し趣の異なる台湾の旧正月料理。台湾に行かなくても気軽に味わえるようになりました。今年の旧正月は、台湾料理を味わってみてはいかがでしょうか。
●著者プロフィール
矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国などのフォトガイドブックを執筆。近著の、東京と東京近郊で見つける「台湾」を取材した『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)が大好評。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。