最近、プリンブームです。と聞いてもピンと来ない方もいるかもしれませんが、一昨年、昭和レトロな固めのプリンに注目が集まり、一方で、とろ~りなめらかプリン好きにも火がついた結果、全国各地にテイクアウトを含むプリン専門店が続々とオープンしているんです。
そんな中、東京・本郷三丁目のパン屋さんで売っている数量限定の「本郷プリン」(420円)が飛ぶように売れているという情報を入手。さっそく買いに行ってきました。

その店は本郷三丁目駅から徒歩3分の場所にある『本郷ベーカリー』。たくさんの惣菜パンや食パンが並ぶなか、「本郷プリン」が燦然と並んでいました。
そのプリン、すでにただならぬ雰囲気を放っています。というのも通常のプリンの色とは違い、ややオレンジ色を帯びていて、見るからに濃厚そう! さっそく購入して食べてみました。
贅沢な味わいにうっとり

フタを開けてみると、バニラの香りがふわっと立ちます。小さな気泡も見えて手作り感たっぷり。表面は固めに見えますが、スプーンですくった感触は、プルプルしていて、中はなめらか。

バニラの贅沢な香りがあたりに漂い、食べてみるとめちゃくちゃ濃厚&クリーミー。特筆すべきはそのコク! 卵の濃厚さは言うに及ばず、牛乳や生クリームなどすべての素材のコクがぎゅっと詰まっている感じです。高級レストランで最後に出てくるような、ものすごくリッチなデザートの味わいです。

一度目で美味しすぎて感動し、リピートすべく2度目に買いに行ったときに、このプリンの美味しさの秘訣についてお店の方に聞いてみました。
答えてくれたのは『本郷ベーカリー』の総料理長・平松怜音さん。
「パン屋さんで売っているプリンだけど、びっくりするくらい美味しいと思ってもらいたくて、濃厚なコクとなめらかな口当たりを目指しました。オレンジ色に見えるのは、使っている卵の卵黄が濃いオレンジ色だからです。しかも濃厚なコクを出すために、全卵と卵黄の割合で、卵黄をかなり多めにしているんですよ」とのこと。
その卵というのが「マキシマムこいたまご」という高級卵。一般的な卵の値段の3倍近くするそうで、丁寧な飼育法とこだわりの餌により、卵黄の濃さを極限まで引き出した卵なんですって。

「卵以外だと、牛乳、生クリーム、バニラビーンズのほか、マスカルポーネチーズやウイスキーも入れて卵液を作っています」と平松さん。
この卵液をスチームコンベクションオーブンに入れ、85℃の低温で40分かけてゆっくりじっくり蒸し焼きするそうです。じつは平松さんは、前職ではイタリアンのレストランのシェフをしていたそうで、その経験を生かし、パンはもちろん、プリンなどのデザートにもさまざまな工夫を凝らしているのです。
「何度か作っているうちに、隠し味にバニラ風味を感じるスコッチウィスキー“バランタイン”をほんの少し入れることで、思い描いていた味のプリンが完成した感じです」
たくさんの種類のパンの合間に作っているので、プリンは1日30個限定。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:本郷ベーカリー
住:東京都文京区本郷2-26-11
TEL:03-6801-8755
営:8:30~18:00(売り切れ次第営業終了)
休:年中無休