コロナ禍以前、日本は空前の「台湾ブーム」に湧いていました。老若男女、様々な人たちが台湾に魅了されており、そのファン層のあり方もそれぞれでしたが、台湾ファンのほぼ全ての人が口を揃えて言うのが「台湾料理はうまい」でした。
台湾料理店は都内にも複数あり、美味しいお店が多いですが、どうも台湾現地でいただくそれとは味がちょっと違うような気もします。おそらくは「日本人の舌に合うようアレンジされている」「長年の日本での営業によって、現地の味とはまた違うことになっている」といった理由で「味が違う」ことに繋がっているのではないかと思います。

こうなると、ますます台湾現地で食べた、あの味が恋しくなってきますが、そんな思いを抱く人にオススメしたいサイトがあります。その名も『愛料理』。
この『愛料理』というサイト、台湾国内の一般人からプロに至るまでが、あらゆる料理のレシピを投稿しているもので、言わば台湾版クックパッドとも言うべき便利なもの。当然、台湾人向けに作られているサイトなので、記載は台湾で公用語として使われている中国語の繁体字です。慣れない人にとっては、その漢字の羅列を見て、挫折しそうになりますが、これをGoogle Chromeの「日本語」翻訳で開くと、解読することが可能なんです。

単純翻訳なので、日本語としては意味がわからないところ、妙な翻訳も多く見られますが、それでもなんとなく本場・台湾料理のレシピを読み取ることができます。つまり、この『愛料理』のレシピを使えば、台湾現地の味を自分で作ることができるという寸法です。
今回は、この『愛料理』に投稿されていたレシピから「ワンタンスープ」「鶏肉飯」「トンポーロー(豚の角煮)」を作ってみたいと思います。
台湾現地の味と変わらない絶品の「ワンタンスープ」レシピ

台湾では「扁食」という名で知られる「ワンタンスープ」。東部・花蓮エリアでは、このスープだけを1食としていただく人も多く、筆者にとってもかなり恋しい台湾料理の一つです。
材料(2人分)
・ワンタンの皮……適量
・豚肉のミンチ……200g
・エビ……100g
・玉ねぎ……1個
・セロリ……1本
・パクチー……適量
・塩……適量
・胡椒……適量
・化学調味料……適量
・ごま油……2~3滴
作り方
1.玉ねぎ、セロリ、パクチーをみじん切りにする。エビは洗ってみじん切りにする
2.1のうち、玉ねぎ、エビ、豚肉のミンチ、塩、胡椒、化学調味料を合わせ粘りが出るまでよく混ぜる
3.2をワンタンの皮で包む
4.鍋に水を入れて沸騰させる。沸騰したらワンタンを加え、浮いてくるまで煮込む。塩、胡椒、化学調味料、ごま油を入れ、最後にセロリを乗せて完成
手間はそれなりかかるものの、特別な調理技術は必要なく簡単に「ワンタンスープ」を作ることができました。台湾ではスープものにセロリを入れることがあり、このことでアッサリ・スッキリとした良い味になります。つい何杯もいただきたくなる、台湾現地の味とさほど大差がない滋味深い味に仕上がりました。
「魯肉飯」と双璧の定番ごはん「鶏肉飯(ジーローハン)」のレシピ

続いて「鶏肉飯(ジーローハン)」を作ります。台湾のごはんでは「魯肉飯(ルーローハン)」が有名ですが、筆者が台湾を巡る際は「鶏肉飯」もよくいただきます。西南部・嘉義がメッカで、このエリアでは鶏肉ではなく七面鳥の胸肉を使ったものが多いです。七面鳥はさすがに入手しにくいので、今回は普通の鶏肉の胸肉を使って「鶏肉飯」をやってみたいと思います。
材料(2人分)
・鶏胸肉……2枚分
・油葱酥(揚げネギ)……適量
・塩……適量
・醤油……適量
・ラード……適量
・ご飯……適量
作り方
1.鶏胸肉を塩水に30分漬けた後、鍋にお湯を沸かし、鶏胸肉を投入。約30秒ほどで火を止め、鍋に蓋をして完全に冷めるまで置いておく(約1時間半~2時間)
2.1の鍋から鶏胸肉を取り出し、食べやすいサイズに手でむしっていく
3.フライパンでラードを熱し、醤油を加えて弱火にし、こがさないようよく混ぜて3分ほどで火を止める
4.お碗にご飯を盛りつけ、2の鶏胸肉を盛り付ける。さらに油葱酥(揚げネギ)を乗せて 3のタレをかけて完成
日本の台湾料理店ではまだ出す店が少ない「鶏肉飯」ですが、簡単に作ることができました。鶏胸肉を冷ます時間がかかるものの台湾の味をいただくことができます。鶏胸肉だけだと、あっさりしすぎて物足りないですが、タレと油葱酥(揚げネギ)によって味わいが引き立ちます。
定番家電「大同電鍋」を使った「トンポーロー(豚の角煮)」レシピ

そして最後が「トンポーロー(豚の角煮)」です。台湾の家庭で多く使われている「大同電鍋」を使って作るレシピが『愛料理』に載っており、こちらを参考にやってみたいと思います。
材料(2人分)
・皮つき豚バラ肉……400g
・玉ねぎ……1個
・赤唐辛子……1本
・コーラ……200cc
・醤油……200cc
・水……300cc
・紹興酒……大2
・黒糖……大1
・生姜……1カケ
・八角……1カケ
・たこ糸……適量
・ラード……適量
・付け合わせ野菜(ほうれん草など)……適量
作り方
1.皮つき豚バラ肉を立方体サイズに切り、鍋で下茹でする。下茹でし終えた後にたこ糸で十字に結ぶ
2.生姜をみじん切りにする。フライパンでラードを熱し、生姜を炒める。香りが立ってきたら八角、赤唐辛子を入れさらに炒める
3.2に醤油を入れて煮詰めた後、コーラ、水、紹興酒、黒糖を入れ沸騰したら火を止める
4.「大同電鍋」に 1の豚バラ肉を入れた後、3を加える。さらに「大同電鍋」の鍋の上から3cmほどまで水を注ぎ蓋をする
5.「大同電鍋」に電気を入れ、1時間ほど煮込む
6.皮つき豚バラ肉を取り出し、別途茹でるなどした付け合わせ野菜と一緒に盛り付けて完成

「皮つきの豚肉が手に入りにくい」「『大同電鍋』が要る」「調味料などが要る」といった、ややハードルが高いメニューではありますが、こちらもまた日本の台湾料理店では味わうことができないような現地の味に仕上がりました。コーラと醤油と紹興酒がメインの味付けですが、甘くぼんやりしそうなところに、赤唐辛子が味をキリッとシメてくれるような印象。ご飯のお供に、そして、お酒のおつまみにも最適な一品に仕上がりました。
台湾料理はもちろん世界各国のレシピが見られる画期的サイト『愛料理』

合理的なことを好む台湾人が多く投稿する『愛料理』ですので、簡単なレシピが多く、解読し日本でも入手できる食材さえ使えば、誰でも気軽に台湾現地の味を再現することができます。また、『愛料理』では台湾料理だけでなく、世界各国の料理やスイーツに至るまで、様々なレシピが投稿されています。
この『愛料理』、筆者は一度ハマると抜け出せない沼のようなレシピ投稿サイトだと思っています。料理好きの方、台湾の味が恋しい方には特にオススメです。
(撮影・文◎松田義人)
●DATA
愛料理
https://icook.tw/